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チャレンジャーバンクの可能性

チャレンジャーバンクとは自ら銀行免許を取得したうえで、テクノロジーを活用して金融サービスを提供する企業のこと。店舗を持たず、インターネット、特にスマホアプリを通じたサービス提供に特化している。金融プラットフォームであるBaaS(Banking as a Service)を自社開発してクラウド上に構築し、他社に金融サービスを提供するのも特徴である。海外ではすでに多数のチャレンジャーバンクが設立されており、日本でも注目されている。

金融にも強い総合サービス業

提供:きらぼし銀行

多様化する課題に向き合う「TOKYOに、つくそう。」

東京きらぼしフィナンシャルグループ傘下のきらぼし銀行は、東京を中心とする首都圏を基盤として地域に貢献する銀行である。企業として成長していくために、従来からの銀行業の枠組みを超えて「金融にも強い総合サービス業」への進化を将来像に描いている。

東京きらぼしフィナンシャルグループは、2024年3月、こうした姿勢をよりいっそう明確にするため、パーパス(存在意義)として、「TOKYOに、つくそう。」を制定した。専用Webサイト「TOKYOに、つくそう。」(https://www.tsukusou.tokyo-kiraboshifg.co.jp/)も開設しており、「TOKYOの課題、きらぼしにできること。」をテーマに、すべての人が輝けるTOKYOを実現すべく、多様化する「課題」と向き合い、きらぼしが「できること」を紹介している。

東京を中心とする首都圏においては、中小企業の事業承継やカーボンニュートラル、少子高齢化や子育て支援など、昨今の社会情勢の急速な変化により、ニーズや課題もより多様化・複雑化している。お客さまの抱える課題に対してお役に立てることは何か。金融を軸とした機能強化を志向するなかで、グループ会社を拡大してきた。新会社が加わるたびに、お客さまに向けた職員の提案の幅が広がり、いまやコンサルティングから事業承継、M&A、エクイティ、ベンチャー投資と多彩なサービスが提供できるようになった。2022年に広告代理店と債権管理回収会社、2023年にはシステム・エンジニアリング・サービスやシステム受託開発に取り組む会社を加えて、全22社のグループ体制となっている。

デジタルプラットフォームの推進

きらぼし銀行の強みとなっているのが、グループとして特徴的なデジタル戦略を推進していることである。2022年1月には、きらぼしグループ内にデジタルバンクの“UI銀行”を開業した。デジタルバンクは世界的にみると多数設立されているが、日本では“UI銀行”が2番目の開業となった。“UI銀行”は店舗を持たず、取引はすべて非対面で行う。専用のスマホアプリを用いて預金、ローン、為替の手続きができ、これまで接点のなかったお客さまとの関係構築に役立っている。2024年4月にはスマホアプリをリニューアルし、使い勝手を向上させた。また、“UI銀行”のシステムを活用して、幅広い業種の企業と連携しBaaS(Bankig as a Service)型のサービスを提供していく方針で、きらぼしグループは「お客さまの新しい価値を創造するプラットフォーマー」となることを目指している。

一方、フィンテックを活用するきらぼしテック株式会社は、きらぼし銀行が合併前の旧行時代も含め2005年から提供してきた、働いた範囲内で必要な時に資金を受けられる「前給」というユニークな福利厚生サービスを提供する(2022年3月にきらぼしテックに事業譲渡)。“きらぼしテック”ではこれを進化させ、「前給」をデジタルマネーとして受け取れるスマホアプリ「ララQ」を開発、2021年11月にリリースした。さらに利用者の利便性向上を目的にSBI新生銀行グループの株式会社アプラスの「BANKIT®」サービスと連携させた新たなデジタルウォレット「ララPayプラス」としてリニューアルし、2023年8月から提供を開始している。きらぼしグループは、UI銀行、ララPayプラスのデジタルサービスを起点に、金融と非金融が融合したサービスの提供を目指している。

スタートアップ支援に若手を多数登用

さらに、きらぼし銀行では、ベンチャー企業を支援する体制を強化するため、2023年7月、SS(Start-up Studio)部を発足させた。きらぼしグループでは、これまでもインキュベーション施設「KicSpace HANEDA」の設置やファンドを通じたファイナンス支援など、さまざまな取り組みを行ってきた。その施策を牽引する組織として、従来きらぼし銀行内に創業支援室を置いていたが、この部署を部へと格上げし、名称も新たにSS部としたものである。

SS部発足に伴い、きらぼし銀行では、自ら異動を希望するSR(セルフ・レコメンデーション)制度を用いて若手を募集した。支店勤務の若手がこれに応募し、当時入行1、2年目の若手のうち7名がSS部に異動することになった。ベンチャー企業の創業者には、若手経営者も多い。SS部には経験を積んだ行員も配置されているが、新しく異動する若手行員には、従来の銀行員にはない、フレッシュな感性を生かした大胆で柔軟な発想により、固定概念を打ち破るような活躍が期待されている。現在では、若手2名が外部機関に出向し、スタートアップ支援に取り組んでいる。

このように、きらぼし銀行は、さまざまな側面から、ともすれば保守的に見られがちだった従来の銀行像を覆し、「金融にも強い総合サービス業」の実現に向けて、確かな成長を見据えた力強い挑戦を続けている。

記者の目 WEB限定

銀行業界は、堅いイメージで見られており、年功序列、前例踏襲、変化に乏しいといった保守的な言葉で捉えられがちだ。こうしたイメージを真っ向から否定し、銀行業界に新しい風を吹き込もうとしているのが、きらぼし銀行である。きらぼし銀行を訪れると、本部スタッフの服装が自由であることに驚かされる。なかにはTシャツの人もいる。もちろん、お客さまのもとを訪問する支店ではスーツ姿だが、銀行の本部で自由な服装が許されているのは珍しい。ここに、従来の銀行像を打ち破りたいと考える経営者の強い意思を感じる。

また、銀行で働く人は、経済・経営・商学部の出身者ばかりと思っている人が多いかもしれないが、きらぼし銀行では、さまざまな学部出身者が働いている。理系出身者が支店で営業を担当していることもあれば、文系出身者がシステム部門に勤務していることもある。さらに従来の銀行では、支店長を目指すのが一般的なキャリアだったが、きらぼし銀行では、法人融資、個人営業はもちろん、コンサルティング、証券、FinTechなどの専門家を目指す人も多く、一人ひとり目指すキャリア像は異なっている。年1回、各自が作成したキャリアデザインシートをもとに面談を行って、キャリア形成を支援している。

一方、興味深いのは、きらぼし銀行の採用者のなかに占める地方出身者の多さだ。ここで言う地方とは、首都圏(1都3県)以外という意味である。2023年に新卒採用された76人中19人が地方からの採用だった。出身地と関係なく実力と人物本位の採用を行っていることが見て取れる。

株式会社きらぼし銀行

事業内容 銀行業
資本金 437億円
従業員数 2,214 名(2024年3月31日現在)
事業所 東京、神奈川、埼玉、千葉の本支店、出張所ほか

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