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「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」とは何か?
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中央銀行

提供:日本銀行

CBDC(Central Bank Digital Currency)とは、中央銀行がその国の通貨建てで発行するデジタル通貨のこと。現金(紙幣・貨幣)と同様に、国内のあらゆる決済に使用できる。CBDCの導入には最新のIT技術のほか、法律や制度の整備が必要だ。国際的な連携も必要なことから日本銀行ではFRB(米国連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)などの主要な中央銀行との共同研究を進めている。

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“物価の安定”と“金融システムの安定”が政策目標

日本銀行は、わが国の中央銀行として、「銀行の銀行」「政府の銀行」という役割を担い、“物価の安定”と“金融システムの安定”に努めている。同時に、「発券銀行」として紙幣(日本銀行券)を発行するほか、経済の調査や海外の中央銀行との連携を行うなど、日々の業務は幅広い。

杉村和俊(企画役)が所属する決済機構局決済システム課も、そうした業務を担う部署の一つだ。

「経済取引におけるお金の受け渡しを“決済”と言います。決済を円滑に行う仕組みを一般に“決済システム”と言い、日本銀行は金融機関どうしの決済などに利用される、国の基幹となる決済システムを運営しています」

加えて、日本銀行では時代とともに進化する新しい決済の動きや、決済の未来のあり方などを見据えた取り組みを進めている。その一つが「デジタル通貨」への対応だ。デジタル通貨とは、紙幣を使わずにデータのやり取りでさまざまな支払いができるお金のこと。カードやスマホで支払いができる電子マネーも近年急速に普及している。

「わが国では電子マネーなど民間のサービスとしてのデジタルな決済手段が生活に浸透していますが、中央銀行がデジタル通貨を発行するという将来も考えられるのではないかと、世界的に検討が進められています。先進国ではまだ実証実験の段階ですが、一部の途上国ではすでに発行が始まっています」

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日銀が「円」のデジタル通貨CBDCを発行する日に備えて

中央銀行が発行するデジタル通貨は、一般にCBDCと呼ばれている。日本銀行は2020年に公表した取り組み方針のもとでCBDCの実証実験を開始し、2023年4月からはパイロット実験をスタートさせた。金融機関との接続や利用者が操作する端末を含め、CBDCに関わるあらゆる主体の目線に立った課題の検証が目的だ。

「日本銀行はこれまで金融機関どうしの決済には深く関わってきましたが、リテール決済と呼ばれる個人分野ではデジタルな決済を手がけていません。ですので、民間の事業者がお持ちの技術や知見を学びながら、実験を進めていく必要があります。こうした観点から、私たちは『CBDCフォーラム』を設置し、民間企業60社にご参加いただく形で、多面的な議論を始めています」

一国の通貨のあり方を変えるためには、慎重な検討と万全な準備、さらには国民の合意が必要だ。わが国はまだCBDCの導入を決めてはいないが、そうした動きが加速した時のために、杉村たちは準備している。1億人以上のユーザーが想定される新しい通貨が混乱なく処理されていくシステムの準備には、多種多様な知見や技術が必要だ。

「この仕事の面白さは時代の最先端を扱うところです。自らの知見に外部の方々の知見を重ねながら、日々成長しているという実感があります」

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多彩な経験が次の部署で活きるキャリア・アップの風土

法学部出身の杉村は、入行後に米国のロースクールにも留学している。「公益の実現、当事者間での利害の調整、インセンティブの設計といった考え方は、法学を学ぶ中で培ってきました。日本銀行にはCBDCをはじめ、制度設計に関する仕事が数多くあります。これまで働いてきた中でも、民法や会社法といった個別の法律に関する知識はもちろんのこと、もう少し広い意味での『リーガルマインド』が、より良い仕組みづくりに活かされたと感じる瞬間は多かったです。そして、働く場としての日本銀行の良いところは、一つの職場で培った専門性が次の職場で活きることです」

杉村は法律や制度の視点から経済や金融の発展に尽くしたいと考えている。法的知識が杉村の専門性と言えるが、異なった専門性を持った仲間と仕事をしたり、経営者や研究者、弁護士など外部の知見を吸収することによって最善の結論に近づけるだけでなく、自ら活躍できる領域が次々と広がっていくと話す。

「理系出身者も含め、多彩な学部の出身者がさまざまなバックグラウンドを活かして活躍しています。学部や得意分野は何であっても、公共的な仕事に誇りを持って経済全体に貢献したいという思いのある人には、やりがいのある仕事がたくさんあります」

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記者の目
WEB限定

わが国では日本銀行(BANK OF JAPAN)が金融制度の根幹を担う「中央銀行」の役割を果している。通貨が統一されたEUでは欧州中央銀行(ECB)が、米国では連邦準備制度理事会(FRB)が同様の役割を担っている。

日本銀行は、「物価の安定」と「金融システムの安定」を図るという目的のもと、金融や経済分野のみならず法律、情報技術などさまざまな背景を持つ人材が、それぞれの専門性や得意な領域を有効に生かして、高い能力を発揮している。

国民経済の基盤である「決済」システムの関連では、金融サービスと情報技術を融合した革新的な金融(FinTech)などの環境変化への対応や、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の研究・検証を進めている。

CBDCを検討する上では、国家レベルの安全対策をはじめ、法律や制度のあり方、国民の合意形成など、数多くの議論が必要だ。日本銀行は2023年7月、リテール分野でのデジタル決済等について知識や経験を有する民間事業者を集めて、CBDCを検討する定期会合をスタートさせた。今後は複数のワーキンググループを設定し、技術と制度の両面から検討を進めていくという。

日本銀行

[ 事 業 内 容 ]「我が国の中央銀行として、銀行券を発行し、通貨・金融の調節を行うこと」「金融機関間の資金決済の円滑確保を図り、信用秩序の維持に資すること」と規定。
[ 資 本 金 ]1億円
[ 従 業 員 数 ]4,609名(2023年3月末現在)

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