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注目記事2021.11.17

すべての経済活動の基盤を支える日本銀行

新聞などのメディアで「日本銀行」の4文字を目にしない日はありません。私たちの生活に密着した重要な金融機関が日本銀行です。ではその具体的な役割は? ここで改めて整理してみましょう。

物価の安定と金融システムの安定を担う

日本銀行と聞いてあなたは何を思い浮かべますか。重厚な東京・日本橋の建物を連想する人も多いことでしょう。

よく言われるのは、この本店の形。旧館を上空から見下ろすと「円」の字に見えることから、設計者が隠し文字として設計したという話は有名です。もっともこれは単なる都市伝説の類いで根拠はないそうです。

それはともかく、当時の建築学会の第一人者であった辰野金吾博士の設計による日本銀行本店は、秩序と威厳が表現された荘厳な外観となっています。

1923年の関東大震災でもびくともしなかったというエピソードは「円」の頼もしさを象徴しているようです。

日本銀行は改めて言うまでもなく日本の中央銀行です。中央銀行とは、国や国家連合など同じ通貨を使用している地域の金融組織の中核となる銀行や機関を指します。

中央銀行の大きな責務は物価の安定と金融システムの安定。金融政策については独自の判断をするという位置づけのため、政府からは独立した存在となっています。

なおイギリスはイングランド銀行、欧州連合(EU)は欧州中央銀行(ECB)が中央銀行に当たります。アメリカではFRB(米連邦準備制度理事会)を中心に複数の機関が分担して中央銀行の役割を担っています。

お金の価値の急変を防ぐ

日本銀行の役割とは何でしょうか。

一番大きな役割が「発券銀行」、つまり貨幣を発行することです。皆さんの財布の中に入っているお札には“日本銀行券”と印刷されています。これを独占的に発行しているのが日本銀行です。

日本銀行券を安定的に供給するとともに、汚れたり破れたり古くなったりしたものを廃棄するといった管理をしています。

「銀行の銀行」という役割もあります。民間の銀行は日本銀行に口座を開設しており、日本銀行はこの口座を通じて民間銀行の預金を無利子で受け入れたり、資金を貸し出したりします。銀行間の決済を仲立ちする機能ももっています。

さらにもう一つあるのが「政府の銀行」の役割。税金や社会保険料などで受け入れた政府の資金を管理しています。公共事業費や年金などはこの口座から国民に支払われています。公務員への給与も同じようにここから支払われます。要するに国のお金の管理を行っているわけです。

忘れてはならないのは、物価を安定させてお金の価値が急激に変動しないように調節するという重要な使命を担っているという点です。

モノやサービスの値段が安定しているからこそ、私たちは安心してお金を使うことができ、経済活動も安定します。そこで日本銀行は国債や手形の売買などを通じてお金の量をコントロールし、景気の調節を図っています。これを公開市場操作(オペレーション)と呼んでいます。

基本的にインフレの時は世の中のお金を少なくし(売りオペレーション)、デフレの時は世の中のお金を増やします(買いオペレーション)。

こうした基本方針は日本銀行政策委員会の「金融政策決定会合」と呼ばれる会合で決定されます。

人々のために尽くすという使命感のもとで

1882年に我が国唯一の中央銀行として設立された日本銀行。その変わらない使命は“人々が安心してお金を使えるようにすること”です。

従って、“公共的な仕事に携われる“、“社会全体に貢献できる“、といったことが一番のやりがいといえるでしょう。

一方、非金融分野で始まったDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れは金融分野にも及ぶようになり、今後大きな影響を受けることが予想されます。そうした激しい変化の中で金融システムの安定という使命を果たしていくには、常に新しいアンテナを張り巡らせて適切な対応を行うためのチャレンジが求められるでしょう。この点も日本銀行ならではの仕事の醍醐味といえます。

国民のために尽くす覚悟と高い使命感をもった方ならきっと大きなやりがいが実感できるでしょう。

まとめ

いかがでしたか。日本銀行の重要性がおわかりいただけましたでしょうか。普段の生活で私たちが日本銀行の存在を意識することはあまりありません。普通の銀行と違って個人の口座を開くこともできず、じかに接することのないのが日本銀行です。いわば縁の下の力持ちのような存在ですが、それだけに担っている責任は重く、仕事のやりがいも大きいといえます。