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注目記事2018.12.12

改めて気になる、“財閥系”って何だろう

看板から「三井」が消える

大手生命保険会社の「三井生命保険」が、2019年4月に「大樹生命保険」と社名変更することになりました。「大樹」は「たいじゅ」と読み、同社の主力商品の名前にちなんだものです。

1927年発足の三井生命は、2015年に経営難から日本生命に買収され、日本生命の子会社となりました。長い歴史の「三井」のブランドは圧倒的な信頼を持ち、社名から「三井」が消えることを残念がる社員も多そうです。日本生命に買収されたといっても三井系の資本も残るため、広い意味では三井生命はこれからも「三井グループ」の一員なのですが、三井グループには「グループ外から資本を支配された企業は三井ではない」との認識があります。そのため社名から「三井」が消えることになったのです。

三井グループには、三井の商号・商標を管理する「三井商号商標保全会」という組織があります。1956年につくられたというこの組織は「三井」のブランドを守るために活動しており、三井生命に対して「三井」の冠を使うことは認めないと判断したと伝えられています。

財閥のブランド力

「三井商号商標保全会」と同様の組織は、三菱グループにもあります。それが「三菱社名商標委員会」です。この委員会は三菱グループのシンボルである“スリーダイヤ”の価値を守るために活動しています。

2018年春「三菱東京UFJ銀行」が行名変更し「三菱UFJ銀行」となりました。その際、実は「MUFG銀行」という名前が有力候補に挙がったものの、「三菱」の文字が消えることへの猛反発があったことから、最終的に「三菱UFJ銀行」に落ち着いたと伝えられています。

同様の出来事はもう一つの有力財閥系である住友グループでも起きており、金融業界ではありませんが「住友金属工業」と「新日本製鐵」の経営統合では「新日鐵住金」という社名が誕生し、「住友」の二文字が消えたと話題になりました。

それぞれに独自のカラー

このように財閥のブランド力は圧倒的です。

では、改めて財閥系とは何か、整理してみましょう。

財閥とは戦前に独占的に事業を展開していた一族のこと、あるいはその経営形態を指します。財閥は戦後、解体されましたが現在でも資本のつながりなどによって、それぞれに企業グループを形成しています。一般的には三井・三菱・住友の企業グループを財閥系と呼び、これに安田グループを加えて四大財閥と呼ぶこともあります。

三井住友銀行や三菱UFJ銀行は名前を見ればどの財閥系かすぐわかります。安田グループはちょっとわかりにくく、みずほ銀行、明治安田生命などが安田グループです。

財閥系にはそれぞれ独自のカラーがあり「組織の三菱」「人の三井」「結束の住友」と言われることが多いようです。

財閥系イコール安泰?

財閥系企業は、就職人気も高いのが特徴です。

まず、有名企業・大企業が一つのグループとして連携していることで、経営の安定性が高いという魅力があります。それに伴って待遇面でも充実している傾向にあります。

××系というブランドはそのまま信用力にも通じますから、事業展開上も有利になるという強みもあります。これは就活という側面でも「いい会社に勤めている」という、個人の評価につながります。こうした点は、就職先を考える上で、ぜひ考慮に入れたいところです。

もちろん一方で、「財閥系だから一生安泰だ」という安易な考えは禁物です。就職人気が高いということはそれだけ入社後の競争も厳しいということで、単なる安定志向だけで選ぶことはオススメできません。また、冒頭に紹介した三井生命のように将来的にグループの一員から外されてしまう可能性もあるわけで、個人の努力だけではどうしようもないリスクも含んでいるという覚悟も必要でしょう。

まとめ

三井・三菱・住友・安田などの財閥系グループは安定性や信頼度、事業スケールなど大きな魅力を持っています。その看板の力は確かな財産といえるでしょう。

しかし、だからといって入社してしまえば安泰という考えはあまりに安易です。グループの一員から外れてしまうリスクさえあることも自覚して、どんなときでも自分の力で道を拓いていける力を身につけるよう、入社後も自分磨きを怠らないようにしたいものです。