就活でよく出る適性検査の種類から対策までを徹底解説。「SPI」「玉手箱」形式WEBテストの練習問題も
ES・選考対策公開日:2023.09.12
エントリーシート(ES)や面接と並んで、多くの企業の採用選考で課される適性検査。適性検査はESや面接と違って、練習した分だけ点数の伸びる選考です。ここでは、主な適性検査の種類から問題の特徴までを紹介しています。また、キャリタス就活には採用選考で利用頻度の高い適性検査である「SPI」や「玉手箱」形式の問題を体験できる適性検査対策コンテンツ、「お試し!WEBテスト」と「キャリタス模試」があるので、こちらの活用方法もご紹介します。
適性検査とは?
就職活動の採用選考で課される適性検査は主に、国語と算数などの基礎的な学力を測定する能力適性検査、職種や社風への適性などを測る性格適性検査があります。能力適性検査だけを実施する企業もあれば、性格適性検査と併せて課す企業もあり、企業が就活生の何を測り、評価したいのかによって異なります。
受検形式もさまざまです。自宅のPCで受検するWEBテスト方式、受検会場にあるPCで受検するテストセンター方式、企業の会議室などでマークシートを使って回答するペーパーテストなどがあります。
新型コロナウイルス感染症の流行前にはテストセンター方式が主流でしたが、感染予防のために自宅で受検できるWEBテスト方式が増えました。新型コロナウイルスの感染流行も落ち着いたことと、自宅で受検するWEBテストでの替え玉受検問題もあり、テストセンター方式が再び増える傾向にあります。
適性検査を課す企業の割合
次に選考試験で、適性検査を実施する企業はどのくらいあるのか見てみましょう。以下で紹介するデータは、2023年春に卒業した内定者に実施した調査結果「2022年内定者調査」(日経HR 2022年9月)を基に作成しています。
インターンシップ・キャリアに参加するために、適性検査を受けた人の割合は42.2%でした。ESなどの書類選考に次いで多い選考過程となります。インターンシップ・キャリアは学部3年(院1年)の夏休みから本格的に始まります。参加のための選考で適性検査を受ける可能性が4割以上もあるならば、選考の始まる6月までにはある程度の対策を済ませておいた方が良いでしょう。
本選考では、適性検査を課す企業の割合はさらに高くなり、約8割が適性検査を課していることがわかりました。インターンシップ・キャリアに参加しない人も、企業の採用選考が本格的に始まる前の学部3年生(院1年生)の12月までには対策を終えていた方がいいでしょう。
適性検査はどの段階で実施される?
インターンシップ・キャリアで4割、本選考で8割の企業が実施する適性検査ですが、選考のどの段階で実施されるのかを見てみましょう。
最も多いのは「ES提出と同時」(54.4%)で、ES提出時に合わせて適性検査も受検するように指示されています。ESと適性検査の結果が1次選考となる企業が半数を超えていました。次に多いのが「ES通過後、1次面接の前」(22.8%)でした。ES提出前も1割弱あり、ES提出前後で8割を超えました。
適性検査は何回実施される?
適性検査は通常は1回で終わりますが、1回目の適性検査とは異なるテストを実施する企業も1割ほどあります。アンケート結果では、2回目に実施される検査で多かったのは、「性格適性検査」「企業オリジナルテスト」「内田クレペリン検査」などでした。「性格適性検査」は特定の職種向け(SE〈システムエンジニア〉や鉄道運転士など)があり、「企業オリジナルテスト」では技術職など専門的な知識を問うテストが実施されていました。
適性検査の種類は?
適性検査にはどんな種類があり、どの検査が採用されているのかを見てみましょう。「2022年内定者調査」では、本採用で実施された筆記試験のうち、最も多かったのは「SPI(WEBテスティング)」(33.7%)で、約3分の1の企業で同テストが課されました。2番目に多いのが「SPI(テストセンター)」(16.5%)。SPIはこの2つを合わせて約半数に達しています。SPI以外では、自宅で受検する「玉手箱」(15.4%)、「企業オリジナル試験」(8.9%)などが続きました。以下ではそれぞれの検査について説明します。
SPI
SPIは先に紹介したように企業の採用選考で最も多く利用されている適性検査で、リクルートマネジメントソリューションズが提供する適性検査になります。自宅のPCで受検する「SPI(WEBテスティング)」、専用会場でPC受検する「SPI(テストセンター)」、企業でマークシートを使って回答する「SPI(ペーパーテスト)」などがあります。
SPIは、語彙力や読解力を測る「言語問題」と計数問題や論理的思考などを問う「非言語問題」で構成される能力適性検査と、性格適性検査で構成されます。能力適性検査は中学から高1レベルの問題がほとんどです。文系学生で長く理数系の授業や試験を受けていない人は、非言語問題の解法を忘れていることも多いので、対策本などを買って練習するといいでしょう。
SPIには他に、英語問題の「ENG」や物事の共通性などを見つけ出す「構造的把握力検査」があり、SPIと併せて受検を課す企業もあります。
玉手箱
SPIに次いで利用されているのが、日本SHLの「玉手箱」です。SPI同様、能力適性検査と性格適性検査(OPQ)で構成されます。短時間で多く問題を解く必要があり、スピードが求められます。玉手箱の特徴は能力適性検査に「英語」があることです。英語の長文を読んで回答する問題が出るので、時間内に英文を速く正確に読む能力が求められます。
玉手箱のテストセンター方式が「C-GAB」と呼ばれるテストです。玉手箱と同じ問題ですが、テストセンターでは電卓の持ち込みができないために、筆算で素早く解く必要があります。日本SHLはSE(システムエンジニア)職で使われるWEBテスト「Web-CAB」、コンサルティング会社や証券会社で使われる「GAB」、「GAB」の簡易版で英語問題がある「IMAGES」などのペーパーテストも提供しています。
企業オリジナル問題
企業のオリジナルテストは、志望企業のことや業界に関することから、職種に必要な知識を問うもの、一般常識まで、非常に幅広い問題が出されます。「SPI」や「玉手箱」に似た問題もあれば、高校受験や大学受験に近い内容もあります。
企業や職種によって出題傾向は異なりますが、オリジナル問題を出す企業は過去から継続的にオリジナル問題を採用し続けていることが多いようです。先輩たちの情報から過去の問題の傾向を把握するようにしてください。
TG-WEB
テスト業者の提供する問題の中でも特に難しいと言われるのが「TG-WEB」(ヒューマネージ)です。能力適性検査は言語問題と数理問題で構成され、「論理的思考力を問う」問題が特徴で、性格適性検査もあります。テストセンター、WEBテスト、ペーパーテストの各方式がそろっています。
人気企業やコンサルティング、技術職・研究職などの専門職の採用試験に使われることが多いです。問題が難しく、制限時間も短く、他の適性検査とは異なる問題が出るので、対策は必須でしょう。
内田クレペリン検査
隣り合う数字を足して下1桁の数字を記入する作業を繰り返すのが「内田クレペリン検査」(日本・精神技術研究所)です。1行に116個の数字が書いてあり、1行あたり1分間、隣り合わせの数字を足して下1桁の数字を記入していきます。
この単純作業を繰り返すことによって、作業の正確性や集中力などを判定します。WEBテストではなく、数字の書いてある専門用紙に、鉛筆で記入するという回答形式です。事務職の採用選考などに使われることが多いです。
デザイン思考テスト
課題を発見し解決策を導き出す力である「デザイン思考力」を測定するのが「デザイン思考テスト」(VISITS Technologies)です。60分間のWEBテストで、「新しいニーズに気づく力」「ソリューションを創り出す力」などの能力を測ります。
イノベーションを生み出せる人材を求める、大手総合商社やコンサル、大手電機メーカーなど200社以上が選考に利用しています。
適性検査の対策・ポイントは?
多種多様な適性検査があることがわかったことでしょう。ここでは適性検査対策とそのポイントを紹介します。
問題を解いてみる
まずは適性検査の問題を実際に解いてみて、自分の実力を把握する必要があります。どんな問題が出て、どのくらいできるのか?苦手分野はあるのか?などを確認してください。特にSPIシリーズは適性検査のシェア5割を占めています。最低でもSPIの問題は解いて、自分の実力を把握してください。
余裕があれば「玉手箱」も試したいところです。「SPI」と「玉手箱」で7割近くを押さえることができます。この2つをベースにし、後は志望企業の過去の選考情報を入手し、該当する適性検査の問題集などを購入して対策してください。
本番に近い環境で練習を
現在の適性検査の主流は、自宅や専用会場でPCを使って解く回答方式です。学生の皆さんはマークシートや記述式の試験を多く受けてきたと思いますが、PC上で問題を解いて回答する経験は少ないかもしれません。画面上にあるタイマーの時間が減っていくのを見て焦ったり、手元で計算しながらPCで回答したりするなど慣れが必要です。
各適性検査の問題のジャンルや傾向を把握し、対策本などで問題を解く練習も必要ですが、本番と同じような環境で問題を解くことも必要です。次に、キャリタス就活にある適性検査対策用コンテンツを紹介します。
「キャリタス模試」とは「SPI」「玉手箱」形式などの模試
「SPI形式問題」「玉手箱形式問題」「一般常識問題」を受けられるのが「キャリタス模試」です。月1回10日間受検期間を設けて模試を実施しています。模試の実施期間中に受ければ、全国順位や全国平均点との比較などを見ることができます。実施期間終了後でも、順位などは出ませんが過去問として受けることができます。
「キャリタス模試」の使い方 3種類の適性検査、全390問
「キャリタス模試」は、「SPI」「玉手箱」「一般常識」の3つのジャンルで、自分の得意・不得意分野を探し出すことに使ってください。「SPI形式問題」は毎回25問×6回=150問、「玉手箱形式問題」は毎回30問×3回=90問、「一般常識問題」は毎回50問×3回=150問あります。
本選考が本格的に始まる前の2023年内でも8回挑戦できます。模試で自分の実力を把握し、苦手分野が見つかったら過去問を繰り返し解いたり、対策本などで練習問題に挑戦したりするなど苦手分野の克服をしましょう。
「お試し!WEBテスト」とは
WEBテストやテストセンターなど、PC上での受検環境を再現したのが「お試し! WEBテスト」です。「言語問題」5問と「非言語問題」10問を用意しています。制限時間も設定してあり、残り時間が画面上部に表示されています。本番さながらの緊張感の中でWEBテストにチャレンジできます。
「お試し! WEBテスト」の使い方
「お試し! WEBテスト」は、「SPI」や「玉手箱」の問題数に対する制限時間に近い設定をしています。問題を解くスピードが適切か、残り時間が少なくなった時でも慌てずに問題を解くことに集中できるか、などを確認してください。
PC操作や緊張感になれるためにも、本番のテストの直前に受けてみてください。本番ではいかに平常心を保てるかも重要なポイントになります。
性格適性検査の対策
性格適性検査は能力適性検査と一緒に受検することもあれば、性格適性検査単独で受検することもあります。性格適性検査は「考え方」や「行動」に対して「はい・いいえ」や「そう思う・そう思わない」などで回答する検査です。
質問に対する正解があるわけではありませんが、「約束を破ることがある」や「時間を守れないことが多い」など、社会人として本来備わっているべき行動や考え方が身についていない場合は、適切な回答ができるよう、すぐに考え方と行動を改めましょう。
性格適性検査では同じような質問が何度も出てきて、回答が一貫していないと「嘘をついている可能性がある」と判定されることがあります。質問に対して嘘の回答をするのではなく、普段から社会人として当たり前の考え方を持ち、行動するように心がけてください。
また、性格適性検査の結果が面接に使われることがあります。具体的には「ストレス耐性が弱い」という結果が出た場合、面接などで「普段の生活でストレスを感じるのは、どんな時ですか?」や「苦手な人と一緒に行動する時、その人にどのように接しますか?」などの質問が想定されます。1度、無料の性格適性検査を受けてみて自分の傾向を把握しておくのもいいでしょう。
適性検査の注意点
ここでは適性検査を受ける際の注意点や受検の際の準備などについて解説します。
カンニング・替え玉受検防止
2022年秋、会社員が謝礼を受け取って就活生の代わりにWEBテストを受ける「替え玉受検」事件が起きました。この事件以前から一部のテスト会社はAI(人工知能)による監視システムを導入していましたが、社会問題化したことを受けてテスト会社各社は、不正防止策を強化しています。
AI監視システムは、AIがPC内蔵カメラで受検者を監視し、不正が疑われるような行動をした場合には試験官に報告するという仕組みです。このほかにも、試験官とパソコンの画面を共有する、試験官にPC内蔵カメラで部屋の中を見せるといった対策をしているところもあります。
受検への備え
マークシート方式や記述式の場合には、筆記用具を忘れることはないと思いますが、WEBテストの際にも筆記用具など準備すべきものはあります。テストセンターの場合には受検に不要なものは窓口に預けることになりますが、自宅で受検するWEBテストの場合には、筆記用具やメモ用紙、電卓などを使うことは可能です。
PCに標準装備されている電卓で十分と考える人もいるかもしれませんが、短時間で大量の問題に回答するのがWEBテストの特徴です。画面の切り替えの時間なども無駄にはできません。別途用意しておいた方がいいでしょう。
また、自宅で受検する際には通信回線のトラブルがないように準備しましょう。「画面がフリーズした」「回線が切れた」といったトラブルに気を付けてください。万が一のことを考えると、締め切りギリギリの受検は避けた方がいいでしょう。
得点の予想
適性検査は受検した本人は自分の得点を知ることができません。ただし、一部の適性検査では予想することができます。「SPI(テストセンター)」は受検者の回答状況によって出題される問題が異なります。間違えると同レベルの問題が出され、正解するとより難しい問題が出されるのです。計算問題が続くようだと、点数が低いと判断することができるでしょう。
「SPI(テストセンター)」は1度受検すると、その結果を他の企業に使いまわすこともできます。点数が高いと思えば以前のテスト結果を使ってもいいでしょうし、悪いと思えば再受検した方がいいでしょう。
他のテストについては、模試を受けたり対策本で練習問題を解いたりし、おおよその正答率を把握してください。合格基準は企業によって異なりますが、7割を目安にするといいでしょう。
以上、適性検査について解説しました。企業によって出される適性検査の種類や受検方式が異なります。そのため、志望企業が実施する適性検査は何なのか、どの受検方式なのかなどの情報をあらかじめ入手し、対応することが必要になります。適性検査によって出題されるジャンルはある程度決まっていますので、自分の得意・不得意を分かった上で、不得意分野を中心に対策をしてください。
適性検査対策は努力の結果が点数として目に見えるため、就活の選考の中でも取り組みやすい選考対策です。そのために、選考試験対策に長い時間をかけてしまう人もいます。採用選考は適性検査以外にも、エントリーシートや面接があります。100点を目指す必要はないので、苦手分野の克服を中心に7割以上を目標にするといいでしょう。
執筆:日経HR編集部