ガクチカ、選考、インターンシップ等を先輩に聞く人気企業内定者パネルディスカッション──理系編

体験談・インタビュー

公開日:2023.06.06

2023年3月16日、国内の大手人気企業から内定を得た23年卒・理系の先輩たちによるパネルディスカッションが、オンラインにて開催されました。それぞれどんなインターンシップ・キャリアに参加したか、興味を惹きやすいガクチカ、選考でのノウハウ…。みんなが知りたかった、就活準備の極意を存分に語ってくれました。

【パネリスト】
<鷹さん>
国立大学学部卒 内定先:国内大手商社
<チーターさん>
私立大学院卒 内定先:KDDI株式会社
ウサギさん>
私立大学院卒 内定先:国内大手総合デベロッパー

どんな学生生活でしたか?

大学では、フォーミュラカーを作るサークルに所属していて、週7日は活動していました。車を設計から製造し、大会に出てそれを走らせるという、ちょっと珍しいサークルです。

大学院で情報工学を専攻していました。入学したとき、友だちとサッカーチームを立ち上げたり、学部2年時にはアメリカへ短期の語学留学へ行ったりしました。

大学院で、建築や設計を専攻しています。卒業研究からの派生で、廃駅をリノベーションするNPO法人を手伝い、鉄道会社へ提案しました。いろいろな情報をもらえるような関係性を築くこともできたと思います。

就活はどのタイミングで始めましたか?

学部3年生の時に就活を始めましたが、グループワークで大学院生の論理的思考力や余裕たっぷりの対応に圧倒されて、自分も院へ進むと決めました。大学院での就活は修士1年時の5月頃から始め、専攻のIT・通信関係の職種に加え食料品、医薬品など幅広く見ていきました。コンサル業界も面白そうでしたが、激務のイメージがあって…。自分とマッチしているIT・通信へ絞り込みました。福利厚生面の条件が良かったということも大きかったです。

3年生の5月から就活を始め、夏のインターンシップ等では自動車メーカーや部品メーカーだけを見ていました。でも自分は技術職よりブランディングやマーケティングの技術を売り込んでいく方に興味があるとわかり、冬のインターンシップ等以降には商社やコンサルも範囲に加えました。

やりたいことが専攻の延長線上にあったので、同じ分野で幅広くインターンシップ・キャリアに参加しました。企業による雰囲気の違いなどを肌で感じることが多かったです。業界的に体育会的かと思っていましたが、社員の皆さんは様々なタイプがいて、自分でもやっていけるんじゃないかと前向きな気持ちになれました。

選考型インターンシップ・キャリアの攻略法を教えてください

選考は、大手ではほとんどの企業でありました。エントリーシートや動画のディスカッションや面接など、提出物には一貫性を持たせることが大事だと思います。私が一番苦労したのはグループディスカッションでした。YouTubeでいろいろな想定での面接動画を見て、雰囲気だけでも味わっておくといいと思います。他には、そのインターンシップ等に行っていたOB・OGを探し出してアドバイスをもらいました。エントリーシートとは別に、ガクチカのエピソードを文章化しておきました。それを何度も読んで面接に臨み、気付いたことを足していって内容をブラッシュアップしました。

自分もグループディスカッションが一番難しかったと思います。特にコンサル業界は積極的でハイスペックな学生ばかりで、議論がとても活発化しました。そこで経験を積んでおくと、他の業種のグループディスカッションで役立つと思います。面接では、一方的に話すのではなく、面接官に仕事内容を聞くなどして双方向に会話できるよう持っていきました。例えば「公共機関のIT化にはどんなスキルが必要か」といったことを聞くと、すごく興味を持って答えてくれました。それから、相手のことを事前に検索して、知っておくのも有効だと思います。

私の場合はインターンシップ等で選考があったのは1社で、あとはエントリーシートのみでした。でも、初めての時は何を書いたらいいかわからなかったので、エントリーシート投稿サイトを参考にしました。サイトでは過去の先輩方が選考を通過したエントリーシートが会社ごとに見られます。どんなエピソードがその企業に受けるかを抽出して真似ることから始めましたね。面接では、エントリーシートの内容を丸暗記するのではなく、会話のテンポを崩さない、不自然にならないというのが心掛けた点です。第一志望の企業の時、話すことを忘れて失敗したので、普段の会話で臨むことが大切だとわかりました。

私も投稿サイトを活用し、高い評価をもらっている記事をコピーして共通項からその企業の強みを見つけ出すなど、企業研究にも使っていました。

面接で聞かれた難しい質問は何でしたか?

「ギネスに載るならどの項目がいいですか」と聞かれました。自分は健康管理が強みだと思っていたので、健康管理で載りたい、なんて言ってしまいました。

私はNPO法人との活動について、過去にさかのぼって40分ぐらい聞かれたのが今でも記憶に残っています。その時どう思ったかとか、どう言ったかとか。学生としてのあなたを相手にどう信用させたかなど。当時の細かいエピソードは忘れがちなので、あらかじめ自分で確認しておくのがいいと思います。面接官はそうやってエピソードを深掘りしてくることもありますから。

ある企業の面接で、その時既に業界トップの企業から内定をもらっていたのですが、「なぜうちを受けに来たんですか」と聞かれたことです。答えにくかったのですが、両社のモノづくりの違いを思い起こして説明したら納得してもらえました。

インターンシップ・キャリアでの気付きはありましたか?

夏のインターンシップ等で初めて参加した時はすごくシャイなこともあり、積極的に参加できませんでした。リーダーなんてとてもできないと思っていたのですが、最後に社員の方に「君はリーダーに向いている」と意外なことを言われたんです。その後のインターンシップ等では、積極的にリーダーをやるようにしました。

社員さんから面接本番はこうした方がいい、というアドバイスももらいました。私はおっとり見える割には芯が強そうだから、それを短時間で相手に伝えた方がいい、とか。

先ほどのことと関連するのですが、私は車好きなものの、実際働くとなるとピンポイントに車だけに関わり続けていくのは合わないかも、と気付いたのはインターンシップ等に参加した時のことです。技術系の企業では、論理的に考える力やマネジメント能力が身に付いて、それ以降の就活に活用していました。

インターンシップ等に参加している企業には、早期選考というものがありました。皆さんもそうですか?

ありましたね。でも、インターンシップ等そのものに落ちてしまったり参加していない場合でも、その人たちの枠を用意している企業もあると思います。実際私が最終的に内定をもらった企業は夏も冬も落選したところでした。でも、申し込みの過程を見ていて、本選考では成長していると判断されたので採用に至ったのだと言われました。申し込むこと自体は大事ですね。

自分の専門分野は、就活にどう関係しましたか?

最終的に選んだ商社は、専攻と関係のない企業です。学部生ということもあり、専攻は気にせず自分の行きたい会社を見ていけばいいのかなと思います。研究の話というより、自分の性格や考え方を深掘りされたという印象がありましたから。

本選考での面接は、ほとんど研究内容が中心でした。私も専攻分野とは違う職種で内定をいただいたのですが、技術職として1カ月間参加した夏のインターンシップ等で、この仕事を今後続けていけないとわかりまして。自分の価値観を優先して選ぶべきだと思います。

最後まで迷っていたのが「上流」か「下流」かです。例えば建築業界で上流は最初の企画を考える作業、下流は現場でそれを組み立てる作業を言います。いろいろなことに興味を持ちたい、そしてやりたいことが広がるという意味で、私は上流を選びました。この上流・下流という言葉は就活を進める上でよく出てきます。どちらでも優劣はありませんので、自分が好きになれるか、向き不向きで見ていってください。

ガクチカではどんなアピールをしましたか?

学部4年生の卒業制作で駅を設計していた時、廃駅の再生活動をしているNPO法人を知り、話を聞いたり意見を交わしたりした経験をガクチカに活用しました。いろいろなストーリーがあったので、それが伝わるよう意識して、志望動機にも繋がるように。一貫性を持たせることに気を遣いました。その他には、コンペに参加したエピソードも用意して、結果ではなくチームみんなで意思疎通を図っていたということを重点に置きました。特に文系理系ということは意識せず、この2つがベースです。話し方としては、論理的で具体的でありながらもストーリー性を含ませるというのが心掛けた点です。

私はフォーミュラカー製造のサークル活動を中心に、企業によってエピソードは使い分けて話していました。例えば自動車メーカーや技術系なら設計や製作の部分を切り取って。商社やコンサルでは理系の部分をカットしてチームマネジメントなどに焦点を当てていました。バリエーションは、文系タイプと理系タイプの2つですね。

ガクチカエピソードは3つ用意して、話しやすい順番を決めていました。1つ求められた時は一番話しやすいもの、2つの場合は二番目も、という具合に。ガクチカは「これだ」という鉄板を用意するのもいいのですが、何パターンか持っておくのもおすすめです。

大学の推薦枠やOB・OG訪問の活用について教えてください

大学によって違うのでしょうが、私は推薦状をすぐに出してもらえました。今内定をいただいているKDDIは大学の学校推薦を利用しました。ITや通信業界には、一般選考と学校推薦の2ルートがあります。学校推薦ルートだからといって内定は確実ではありません。最終選考で内定をいただいてから承認するか辞退するか決めるということもありましたので、学校推薦をいろいろな企業で併用してうまくスケジュールを組んでいました。

私は学校推薦を利用しませんでした。それを使って内定すると、絶対に行かなければならない決まりだったからです。面接などを通じて企業とのマッチングを見ていきたいと思っていましたし、自分でふるいにかけることができなくなります。

専攻分野に沿った推薦先一覧がありましたが、あまり行きたい企業がなかったので最初から推薦は考えていませんでした。内定辞退を防ぐために、内定と交換で推薦状が必要となる企業もあると聞きました。キャリアセンターでいろいろ確認ができると思います。

OB・OG訪問は、積極的にやってほしいです。リクルーターと接触できる、面接練習やエントリーシートのチェックをしてもらえることがある、全体セミナーでは聞けないことも話してもらえる、OB・OG訪問の回数が内定につながる場合もあるといった、いくつものメリットがあるからです。私の場合はコンサル関係のOBに話を聞いて「激務だなあ」と知った経験もあります。

私が受けた感じでは、OB・OG訪問を重視しているところとそうでないところがありました。訪問できればいいのですが、できなかったら受けるのをやめようなどは思わない方がいいと思います。企業側からOB・OG訪問の機会を設定してくれる場合もありますから、焦らなくてもいいですよ。

参加者から寄せられた質問に答えます

Q:夏のインターンシップ・キャリアから内定をもらうまでの、研究と就活の割合を知りたいです。

日中は授業、夕方はサークル、夜にエントリーシート書き、週末はサークルという生活をしていました。3年生からサークル活動は土日のみにしましたが、夏は就活2割・サークル8割くらい。秋は就活のやる気が消えてしまい、冬からはまた元の割合に戻りました。

専攻の授業の比重が重くて、何とか就活と両立できていたという感じです。研究はちょっとおろそかになっていたかもしれません。エントリーシートには、院ではなく学部4年生の卒業制作とNPO法人のことについて書いたので、それは安心材料でした。

自分は勉強と就活は土日にはやらないと決めていたので、平日だけに詰め込んでいました。学部4年時にも大学院の授業を取っていたので授業は比較的楽で、夏からは研究1割・就活9割という感じでした。研究は進捗報告前日にやってあとは就活にかけるという配分です。

Q:院卒の場合、学部時代の就活はどのようなことをしていましたか。

大学院へ行こうと考えていたので、学校の合同説明会へ話を聞きに行ったくらいです。その時、技術職だと学部卒は入りにくいということも聞き、院生になってから就活するメリットやデメリットを調べていたという感じですね。

学部時代に参加したグループワークで院生のすごさに圧倒され、就活は辞めて大学院進学に切り換えました。だから学部時代の就活はそれだけです。割り切った決断だったと思います。


理系の先輩たちでも、自分の専攻分野とは違う業種や職種へのアプローチをしているケースもありますね。やはり「自分がやりたいこと、なりたいもの」を見極めるのが最重要です。研究での体験談は、ガクチカとしてアピールできるエピソードも多いでしょう。学生生活全体を財産として就活に臨んでみてください。

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PROFILE

鳥羽山 康一郎(とばやま こういちろう)
静岡県生まれ。広告制作会社、外資系広告代理店にてコピーライター、クリエイティブディレクター、プランナーとして勤務後、2006年よりフリーランスとして独立。外資系マーケティング理論の知見を活かし、広告・Webライティング等を中心に執筆活動を展開中。地方取材、インタビューも得意とする。

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