喫煙・飲酒の禁止を採用条件にすることはできる?【弁護士が答えます】
就活ノウハウ公開日:2024.02.15
昨今、喫煙に対して非常に厳しい目が向けられていることは皆さんもご存知かと思います。飲酒に関しても、喫煙ほどではありませんが、羽目を外すと白い目で見られることでしょう。こうした情勢の中、「喫煙をしないこと」を採用条件にする企業も存在するようです(飲酒禁止を採用条件にする企業はまだ目にしていませんが、日本のどこかにはあるのかもしれませんね)。
ただ、喫煙も飲酒も、個人の趣味嗜好のひとつです。会社内で喫煙をしたり飲酒をすることは言語道断であるとしても、プライベートな時間に喫煙や飲酒を楽しむことは本来自由です。
今回の記事では、企業が、本来個人の自由であるはずの喫煙・飲酒の禁止を、採用条件として設定することが許されるのか、という問題について解説します。
企業の採用の自由
まずは、企業(使用者)の視点から見ていきましょう。企業には、契約の自由・採用の自由があります。つまり、法律等によって制限されていない限り、ある人を採用する・しないの選択は企業の自由であるということです。
法律による制限の一例を挙げますと、性別を理由とする採用差別の禁止や障害者雇用の義務などが存在します。
また、厚生労働省が作成する「公正な採用選考をめざして」というパンフレットには、「応募者の適正・能力とは関係ない事柄で採否を決定しない」ことが求められています。例えば、家庭環境、宗教、思想といった事柄を理由に採用を拒否することは不適切であるということですね。
喫煙・飲酒の禁止は企業の採用の自由の範囲内か
前記の視点を踏まえますと、喫煙・飲酒の禁止を採用条件とすることは、明らかに不適切だとは言い難いところです。
そもそも、喫煙も飲酒も、人が生きていく上で必要不可欠であるとはいえず、個人の権利として弱い側面があります。「タバコと酒がない人生なんて意味がない。」という人もいるかもしれませんが、他者の権利(企業の採用の自由)と衝突した場合、「喫煙と飲酒は大事な権利だから、その禁止を採用条件にすることはダメですよ」という評価は難しいかと思われます。昨今の情勢からしますと、喫煙・飲酒の禁止を採用条件にすることは許されるのではないかと考えられます。
余談ですが、私が子どもの頃は、大人がそこら中でタバコを吸っていました。子どもが、おつかいでタバコを買いに行かされることもよくありました。今の時代だとあり得ないことですね。法律的な話はともかくとして、タバコは極力吸わない方がよいのでしょう。この記事を読んだ非喫煙者の皆さんは、そのままタバコを吸わずに過ごしてください。喫煙者の皆さんは、健康に配慮して少しずつ吸う本数を減らしましょう。
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PROFILE
定禅寺通り法律事務所
下大澤 優弁護士
退職代行、残業代請求、不当解雇、パワハラ・セクハラなど、数多くの労働問題を取り扱っています。これまでにも、発令された配転(転勤) 命令の撤回、未払残業代の支払など多くの事例を解決しています。