私生活上の行為で懲戒処分!?【弁護士が答えます】
就活ノウハウ公開日:2024.02.07
懲戒処分とは、従業員が会社の定める服務規律に違反した場合、それに対する制裁として行われる不利益な措置です。懲戒処分の例として、軽い処分から順番に、けん責・戒告、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、そして最も重い処分である懲戒解雇があります。
会社が従業員に対し、懲戒処分を行うためには、あらかじめ就業規則に懲戒の種別・事由(懲戒を科す理由)を定めておく必要があります。もっとも、会社が、懲戒の事由について詳細かつ具体的に定めていることは少なく、一般的には「故意または重大な過失により会社に損害を与えたとき」等、漠然とした内容であるため、解釈の余地が出てきます。
私生活上の行為で懲戒処分となることがあるのでしょうか?
通常、会社は、従業員の私生活までも監督、干渉することはできません。そのため、従業員は、就業時間中は会社の管理監督に服することになりますが、それ以外の時間は何をしていても、本来は自由なはずです。その一方で、従業員は就業時間外であっても、「●●会社の従業員」という立場を有しているため、私生活上の行為であっても、会社に影響を及ぼす場合があります。
今回のテーマを考えるにあたって、ここがポイントとなります。
過去、私生活上の行為に対して、会社が行った懲戒処分の有効性が争われた事件において、最高裁判所は、次のように判断しました。
「職場外でされた職務遂行に関係のない労働者の行為であっても、企業の円滑な運営に支障を来すおそれがあるなど企業秩序に関係を有するものもあるのであるから、使用者は、企業秩序の維持確保のために、そのような行為をも規制の対象とし、これを理由として労働者に懲戒を課することも許される…。」
つまり、私生活上の行為であっても、企業秩序の維持に影響を及ぼす行為については、懲戒処分の対象となってしまう可能性があります。
例えば、犯罪となる窃盗や暴行を起こしてしまった場合や会社の社会的評価を下げ、会社運営に影響を与えるような行為に関しては懲戒処分の対象になる場合があります。
ただ具体的に、どのような行為であれば、企業秩序の維持に影響を及ぼすと言えるのかについては、一概には言えず、行為の内容、会社の事業内容や規模、会社が社会において占める位置、行為をした従業員の社内での地位などの事情を総合的に考慮し、「企業の秩序がどの程度乱されたのか」、「会社の社会的評価に及ぼした悪影響がどの程度だったのか」によって、個別具体的に判断されることになります。
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英明法律事務所
福島 一代弁護士
パワハラ・セクハラ、労働条件、給料・残業代請求、不当解雇、労災認定など、労働者が抱える様々な法的問題を解決しています。人事労務分野の活動も幅広く行っています。