内々定と内定ってどう違うの?【弁護士が答えます】
就活ノウハウ公開日:2023.08.15
日本の新卒就職においては、採用内内定(以降、内々定)を経て採用内定(以降、内定)に至り、その後入社(日)を迎えるという流れが一般的です。でも"どの時点からが内々定"で"どの時点からが内定"なのか、ひいては内々定から内定を経て入社に至るまでに、会社と学生との間の法的関係はどのように変化していくのか、ということについてはよく知らないという方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、内々定と内定の違いに注目して解説したいと思います。
内々定・内定はどう違う?
日本では大学卒業見込みの学生の就職について、内定開始日よりかなり前に、企業が就職希望の学生に対して口頭で「内々定」を伝えて、内定開始日に正式に書面で「内定」を通知することを慣行としてきました。
・企業の視点:早期に有為な人材を自社に確保できる
・学生の立場:早い段階で就職を希望する会社への入社の目途をつけることができる
という双方にメリットがあるため、定着したのです。
ただ内々定の段階では多くの場合、企業・学生双方ともに雇用契約の確定的な拘束関係に入ったという意識には至っていないと考えられ、雇用契約が成立したとはいえない場合が多いと考えられます。
一方内定については、内定開始日に正式な「内定」が通知され、かつ内定通知のほかに雇用契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていない場合に雇用契約が成立した状態(始期付解約権留保付の雇用契約※)となります。ざっくりいうと、「両者間で採用・入社の意思を正式に確認したことで雇用契約(ただし条件付き)が成立したと考える」ということです。
※始期付解約権留保付の雇用契約とは
内定から入社するまでに一定の期間があり(=始期付)、また入社までにやむを得ない事由が発生した場合に内定を取消すことがある(=解約権留保付)という条件が伴う雇用契約のこと。
内々定・内定は取り消しできる?
このように内々定と内定では、前者の段階では雇用契約は未成立であり、後者の段階では雇用契約が成立するという点で法的に大きな違いがあります。この違いは万が一取消しとなった場合に学生が採り得る選択肢に大きく影響しますので、内々定の取消しについては損害賠償責任を追及することができるにとどまることが多いのに対し、内定取消しにおいては”雇用契約上の地位にあることの確認請求(その企業の従業員となることができる法的な地位にあることについて、裁判所に公的に確認してもらうための訴訟)”をもなし得ます(客観的合理性と社会的相当性を欠く取消しだった場合)。
就職活動に懸命に取り組む皆さんにとっては、不当な内定取消しのことなんて考えたくもないと思いますが、こうした情報も豆知識として押さえて、自信をもって就職活動に臨んでもらえたら幸いです。
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PROFILE
英明法律事務所
浦辺 英明弁護士
解雇問題、従業員の処遇問題、残業代請求問題、ハラスメント問題など、幅広く人事労務分野における活動を行っています。著書に「Q&Aで納得!労働問題解決のために読む本」(日本労務研究会編・共著)など。