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物価の安定と金融システムの安定が政策目標
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中央銀行

提供:日本銀行

わが国では日本銀行が金融制度の根幹を担う「中央銀行」の役割を果たしている。日本銀行は「発券銀行」として紙幣を発行する一方で、「銀行の銀行」としての民間取引業務や、政府の預金口座を持つ唯一の「政府の銀行」として国庫金の取り扱いを行っている。こうした3業務を通じて「物価の安定」と「金融システムの安定」を図ることが重要な役割であるとされる。EUでは欧州中央銀行(ECB)、米国では連邦準備制度理事会(FRB)が同様の役割を担っている。

01
安全で効率的な決済システムの整備と運営

日本銀行は「物価の安定」と「金融システムの安定」という2つの政策目標の下で、「国の基幹となる決済サービスの提供」や「紙幣の発行」など幅広く業務を展開している。

「私たちの仕事は地道な作業の積み重ねが大切とされる一方で、創造性がとても問われます。探究心や知的好奇心を強く持ち、常にアンテナを高くして情勢の変化をいち早くキャッチすることが大切です」

経済学、法律学、情報工学などさまざまな背景を持つ人たちが、それぞれの能力や創造力を発揮することにより、それらが互いに触発され、融合することで新たな価値が生まれ、大きな力となって業務や組織を前進させる。決済機構局決済システム課の須合智広課長は、「日本銀行はどこの部署にいても、それを実感できる組織です」と話す。

須合によると、決済システム課の仕事においては「未来志向」「利用者目線」「公共性」の3つの視点が重要であり、どれをとっても創造的発想が欠かせない。たとえば、日本銀行と金融機関を結んで、資金決済などをオンラインで処理する基幹システムの整備・運営においても、そうした姿勢を見ることができる。日本銀行は1988年にこのオンラインシステムを稼動させた。「日銀ネット」だ。これにより、全国の金融機関との間で日々行われている資金のやり取りがコンピューター処理に置き換えられ、利便性や安全性が大きく向上した。現在、その取扱高はおよそ190兆円(1営業日平均)にのぼる。

「決済」とは、モノやサービス、あるいは証券などとお金を交換して取引を成立させる行為だ。いわば、経済活動の原点とも言える。そうした決済は金融機関に集約されて巨額なものになり、最終的には、日銀ネットを通じた金融機関同士の決済で日々完了する。「こうした仕組みに綻びが生じると経済活動が機能しにくくなりますから、安全で効率的なシステムの構築と運営が求められます。同時に環境変化に対応した変革や改善も必要です。デジタルトランスフォーメーション(DX)の広がりによって、キャッシュレス決済など新しい形態が浸透し始めていますので、そうした変化への対応も考えていかなければなりません」

環境変化、技術革新、グローバル対応など情勢を正しく把握して、より良いインフラを整備する唯一無二の仕事。それゆえ「創造性と未来志向が重要です」と須合は語る。

02
環境変化に対応する中央銀行としての取り組み

金融ビジネスでは数年前からフィンテック(FinTech)への取り組みが注目されるようになった。金融とIT技術の融合によって誕生した新しい領域のことだ。こうした環境変化に中央銀行としてどのように対応していくのか、それを考えるとき「利用者の目線がカギになる」と須合は言う。

「従来の金融サービスは、顧客にとっては、ともすれば、一方的に供給されるものという意識がありました。フィンテックの広がりは顧客のニーズが供給の形を決めるという逆の動きを作り出しました」

くわえて、公的機関としての日本銀行には決済をより安全で効率的な方向に導くという役割がある。決済システムは民間の活力や市場のメカニズムを活用して運用することが基本だが、民間では手の届きにくいところや、負の外部性(ある意思決定が市場を経由せず他の主体にマイナスの影響を与えること)がある下では、公的な主体の関与が必要だ。そこには「公共性」の視点に基づく、中央銀行としての適切な判断が求められる。

同時に、各国の中央銀行や関係当局とのグローバルな連携も重要度を増している。決済分野だけを見てもマネーロンダリングなどの不正の防止や危機対応、暗号資産の取り扱いやデジタル通貨の在り方など、各国で議論しながら協調して進めるべき取り組みはいくつもある。決済システム課ではそうしたグローバルな会合に、若手職員を積極的に参加させている。

03
人材の成長を育む広いフィールドと風土

2000年入行の須合は、キャリアの大半において金融政策の立案を担う企画局と、経済情勢の分析を行う調査統計局の仕事に携わってきた。2021年6月からは決済機構局に移り、決済システム課を率いている。「企画部門では政策や制度についての実践的な立案を学びました。内容を支える金融理論が身に付いていないと仕事が前に進まないことを実感した日々でした。調査部門では日本の経済・物価情勢を分析し、政策判断に繋げることを、くり返し経験しました。ビッグデータを用いた最新の分析手法を身に付けたことも今後のキャリアに役立つと思います」 米国の大学院への留学や欧州中央銀行(ECB)への出向も経験している。ECBでは市場の動向や制度の分析を手掛ける一方で、ユーロ圏の各国の意向を調整・集約して合意に導く仕事をいくつも手掛けた。

「まとめる力や調整力が身に付いたことは言うまでもありませんが、そこで知り合った人たちとの人的ネットワークが大きな財産となりました。決済部門に移ってからも、ECB時代の仲間たちと密に連絡を取り合っています」

日本銀行は国内に32の支店、海外に7つの事務所を持ち、地域の状況に連動した活動を行っている。そのほか、政府機関や国際機関への人材派遣も少なくない。国内外に幅広い人脈を築くチャンスが多いことも、中央銀行という組織の特徴だ。「日本銀行には先輩、同僚、後輩などとの議論を大切にする風土があります。そこで得た知識や刺激が、新しい政策や分析を生み出しているのです」

日本経済の発展のために何かをしたい、という意志を持って入行した須合は、20年経ったいま「経済を向上させる一助になれている実感がある」 と胸を張る。

日本銀行

[ 事 業 内 容 ]「我が国の中央銀行として、銀行券を発行し、通貨・金融の調節を行うこと」「金融機関間の資金決済の円滑確保を図り、信用秩序の維持に資すること」と規定。
[ 資 本 金 ] 1億円
[ 従 業 員 数 ] 4,624名(2022年3月末現在)

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