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就活前に学ぶ金融講座

第4章

公的金融の役割と形も理解しておこう
- 公的金融機関と政府系金融機関

日本銀行の役割と独立性

「公的金融とは何ですか?」と聞かれたときに、多くの人は日本銀行、略して日銀を思い浮かべるのではないでしょうか。 日本銀行は銀行券(通貨)の「発券銀行」であると同時に、「銀行の銀行」「政府の銀行」という国の金庫番のような役割を担っています。また、「物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資すること」「決済システムの円滑かつ安定的な運行を確保し、金融システムの安定に資すること」という2つの目的の達成に向けて、金融政策の運営を行っている機関でもあります。 とはいえ、金融政策において、政府と一定の距離を保つことが必要であるとされるため、「日本銀行の通貨および金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」と法律によって規定されています。ちみなに、日本銀行は政府55%、民間45%出資の株式会社です。

政府系金融機関の種類と役割

公的な機能を持つ金融機関には、経済や産業の発展、および国民生活の安定を目的とし、民間の金融機関のサービスが届かない部分を補うとともに、国の金融政策に沿ったサービスを提供している機関が4社(組織)あります。政府が全額または一部を出資していることから「政府系金融機関」と呼ばれています。

日本政策金融公庫

歴史的に重要な役割を果たしてきた3つの金融公庫が2008年に統合して設立されました。小口の事業資金融資や国の教育ローンの取り扱い、地域活性化支援などの「国民一般向け業務」、中期資金融資など「中小企業向けの業務」、食の安全の確保などにつながる「農林水産者向け業務」を事業の柱としています。また、大規模災害発生時などにおいては、金融秩序の混乱を回避するための役割を担います。

日本政策投資銀行

公的金融機関ならではの「大口かつ長期の融資」と、「融資・投資・コンサルティングの一体型金融サービス」の提供を通じて、日本の産業界の国際競争力の強化、エネルギーの安定供給、産業構造転換の支援などを推進しています。そのほか、新興企業の育成や地域産業の活性化に必要なリスクマネーの出し手としても、民間のサービスを補う取り組みを進めています。

国際協力銀行

グローバルなビジネスの推進を通じて、日本の産業界の競争力の強化や、企業が取り組む国際大型プロジェクト、中小企業の海外事業展開などの支援をしています。また、地球温暖化防止など地球環境の保全を目的とする海外事業の推進や、国際金融秩序の混乱を防止するための国際機関との調整・協調・支援にも取り組んでいます。

商工組合中央金庫(商工中金)

政府と民間が共同で出資する唯一の政府系金融機関で、「中小企業の、中小企業による、中小企業のための金融機関」を強く意識した活動を展開しています。国の制度融資を利用した支援のほか、融資だけでは終わらない一気通貫の経営サポートを、ときには地域の金融機関との連携を通じて進めています。また、地域の金融機関ではカバーできない領域を補う役割も担っています。

日本の経済成長を支えた政府系金融機関

国の政策に沿った「政策金融」を行う金融機関は、昭和の経済成長期において重要な役割を果たしました。国内の基幹産業の復興・発展を後押しし、エネルギー資源の安定供給や、中小企業の活動の助成、農林水産業の近代化の促進など、数え上げればきりがありません。
日本経済が成長の軌道に乗った後は、国際貢献というスローガンに沿って、途上国へのさまざまな援助なども続けてきました。
しかし、時代が進むにつれて「政策金融を担う機関は当初の役割を終えた」とする声が高まったことから、公的金融を時代に合う形で提供しようと、2008年に組織統合による再編が行われ、4つの機関による体制がスタートしました。
さらに、日本政策投資銀行と商工組合中央金庫の2機関は、2020年から2022年頃をめどに政府株を売却し、現在の役割を維持したまま民営化に向かう予定です。

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