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就活前に学ぶ金融講座

④投資銀行とは?

直接金融のための環境整備が早く進んだイギリスでは、かつて「マーチャントバンク」と呼ばれた証券引受業務を主に行う金融機関が、ロンドンの金融街ザ・シティに本拠を置いて隆盛を誇っていました。引受業務とは、企業などが証券を発行して資金調達を行う際に、それを一時的にすべて買い取り、投資家に販売していく仕事のことです。買い取った証券を売り残さずさばくためには、投資家のニーズや市場の動向などを見ながら最適な条件で起債する必要があり、市場取引の高度なスキルが求められます。
その後、アメリカでもマーチャントバンクを原型とする金融機関が直接金融の発展を担うようになり、「投資銀行(Investment Bank)」と呼ばれました。大手投資銀行の多くはニューヨークのウォール街に拠点を置き、金融の自由化、グローバル化を追い風に国際金融のリーダー的な役割を果たしました。

投資銀行も最初は証券引受業務を主力にしていましたが、時代とともに事業を広げ、現在ではM&Aの仲介や財務戦略の助言、資金調達のアレンジ,金融技術開発など、大手企業を金融・財務面から支援するためのさまざまなサービスを展開しています。
わが国では「投資銀行」と直訳しますが、日本の金融制度では「証券会社」に位置し、日本国内においても企業向け証券業務の分野で高い専門性を発揮しています。

Point of view

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アメリカの投資銀行はとても高い金融スキルを持った金融機関ですが、それゆえリスクの高い事業案件や投資に数多く取り組んでいます。2008年に起きたリーマン・ショック(投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻)は、そうした危うさを物語る出来事と言われました。その後、各社は利益追求の姿勢を見直し、リスク管理をより強化しています。

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エクイティ・ファイナンス、デット・ファイナンス、M&Aの分野においてプロ向けのサービスを提供することを、近年では「投資銀行業務」と呼ぶようになりました。わが国では大手証券会社が同様の業務を手がけており、大手銀行も一部の分野で大きな実績を挙げています。大手企業向けの金融業務では、国内の大手金融機関、アメリカの投資銀行、ヨーロッパの金融グループの投資銀行部門が競い合っています。