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メーカーやサービス業に比べると、金融業界はこれまでの生活で関わる機会が少なく、今ひとつイメージがわかないという人も多いはず。
そういったみなさんに、「金融はなぜ社会にとって必要なのか」を感じ取ってもらうためのビギナーコンテンツを用意しました。
食わず嫌いをやめて、まずは1ページ覗いてみてください。

第2話

直接金融って何?

E先輩は、ワッフルの屋台を始めるんだってね。
そうらしい。起業だね。すごいなあ…。
今のうちに仲良くしておこう。成功したらたくさん食べられる(笑)。
機材なんかの準備はできたけど、開業資金があと50万円ほど必要らしいんだ。
少しなら貸してあげられるよ。金利を払って(第1話参照)くれるかな…?
借りるのではなく、出資してくれる人を探しているんだって。つまり、返さなくてもいいお金がほしいというわけ。
えっ、返してくれないの!そんなのあり?
どういうことか、説明してよ。
話は簡単さ。E先輩はワッフル販売の会社(株式会社)を設立して、出資を呼びかけている。それに応じて出資すれば「株主」、つまりオーナーの一人になれるんだよ。
E先輩が「個人」として事業を行う場合、資金は「借りる」ことしかできませんが、株式会社を設立すれば借り入れとは別に、株式を発行して「出資」を募ることができます。こうして集めた資金は「自己資本」と呼ばれ、返済の必要がなく、経営者が自由に使えます。
一方、会社が資金を「借りる」方法は2通りあります。1つは銀行などからの借り入れで、もう1つは債券を発行して市場から資金を集める方法です。いずれも返済の義務があります。債券にはいろいろな種類がありますが、会社が発行するものを「社債」、資金調達のために国が発行する債券を「国債」ということを覚えておきましょう。
株主には、どんなメリットがあるの?
まず、利益が出れば配当金がもらえる。さらに将来、会社が成長して投資対象としての魅力が増せば、株価が数十倍になることだってある。夢があるよね。
それなら今度、E先輩のワッフルを食べてみよう。おいしければ、株主になって応援してもいいや。
僕は経営の方針や今後の計画をきちんと聞きたい。賛同できれば応援しよう。
いいところに気づいたね。株式投資は会社が倒産すれば、お金を回収できないから、会社を評価することがとても大切なんだ。
証券取引所などに上場している株式は自由に売買することができ、その多くは市場(取引所など)を介して行われます。時価で取引されますから、券面に壱万円と記載されていても、5,000円だったり2万円だったりするわけです。会社が投資家から高く評価され、株主になりたいと思う人が増えれば株価は上がり、反対に評価が下がれば株価はどんどん下がります。
株式は市場で売買され、流通しています。とはいえ、投資家が市場に出かけて相手を探し、価格の相談をすることはできませんから、「証券会社」が投資家と市場をつなぎ、売買を成立に導きます。また、証券会社は株式など証券の発行においても会社と市場の間に入って、取引が公正かつ円滑に進むように調整します。
E先輩のビジョンはとても素晴らしかった。だから、株主になって応援しようと思う。
ワッフルはすごくおいしかったな。僕も出資するよ。
じゃあ、みんなでオーナーになろう。
だけど、待って。オーナーとしての責任はどうなるの? もしも会社が倒産したときに、責任を取らされたりはしないよね…。
だいじょうぶ。株主の責任は出資した金額を超えることがない。つまり、出したお金がなくなるだけ。もちろん、会社で働く必要もないんだよ。ただし、オーナーとして経営を監視していることを忘れないように。
なるほど! 株式会社というのは便利な仕組みなんだね。
資本主義が生み出した最大の発明とも言われているらしいよ。
そうだね。株式会社と資本市場の隆盛を抜きにして、近代から現代の経済成長を語ることはできないんだ。
そうした仕組みを金融で支えているのが、証券会社なんだね。
銀行を通さずに、株式や債券によってお金を融通することを「直接金融」と言います。証券会社はこうした金融モデルの健全な運用を担っていると言うことができます。
では、ポイントをまとめておこう。
  • 社会に資金を循環させるモデルは2つある。1つは第1話に示した間接金融で、もう1つは株式や債券など「証券」と「市場」の活用によって資金のやり取りをする直接金融。
  • 間接金融の主役が銀行ならば、直接金融の主役は証券会社ということになる。
  • ただし、直接金融の仕組みにおいては、融通に伴うリスクはすべて投資家、つまりお金を出した人が負う。証券会社はアドバイスや仲介を行うだけで、取引による結果責任を負うことはない。
  • 投資を行うためには対象をよく研究したり、金融の知識やルールを知っておくことが大切。
なるほど。僕たちはもっと勉強しなくてはいけないね。証券会社の人たちから、しっかりと教わろう!