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財務諸表で見る企業評価

これから企業への就職を目指す人なら誰でも知っておいて損はないのが財務諸表の見方です。

財務諸表とは、企業が会計年度ごとに、「お金を集める」「お金を投資する」「利益を上げる」といった活動をどのように行ったかを説明した書類です。

  • 損益計算書 Profit and Loss Statement (略して P/L)
  • 貸借対照表 Balance Sheet (略して B/S)
  • キャッシュフロー計算書 Cash Flow Statement (略して C/S)

という3つの書類で構成されていて、これらによりその企業の営業成績や財務状況が分かります。大企業のほとんどは、決算書類の中で株主などに向けて公開しています。

実際に、仕事の現場では取引先の経営状況が健全かどうかなど、企業価値を測るために使うことも多いですし、就活でも気になる企業を知る手段のひとつになります。ここでは、そういった財務諸表の基本的な読み解き方を紹介しましょう。

どこから入手するか?

財務諸表は、企業が公開している決算書類、「有価証券報告書」かそのダイジェスト版である「決算短信」の中にあります。これらは、企業のホームページ内にあるIR情報、または有価証券報告書などの開示書類を閲覧できるサイト「EDIENT」からダウンロードすることができます。

財務諸表で企業評価する場合は、最新の年度とその前年度のデータを比較したり、競合他社のデータとも見比べたほうが、その企業を浮き彫りにしやすいと言えます。そういう意味では、さまざまな企業の情報をひとつのサイトで検索できる「EDIENT」のほうが、各企業のホームページを検索するよりも簡単です。

損益計算書では営業成績を読み取る

財務諸表の中で、損益計算書はその企業の収益と費用の状態を記した書類です。その決算年度における営業成績、つまりどれくらい儲けたかが読み取れます。
下の表は、実際の書類より項目を減らし、簡単な数字にして分かりやすくした例です。重要な項目は次の6つになります。

売上高
営業活動により企業が稼いだお金を売上と言い、その合計のことです。その企業の規模を測れます。
売上総利益
売上高から仕入れなどの費用(売上原価)を引いたものです。
営業利益
売上総利益から経費(販売費および一般管理費)を引いたものです。
経常利益
営業利益に本業以外の収支(営業外収益-営業外費用)を足したものです。
税引前当期純利益
経常利益に特別損益(特別利益-特別損失)を足したものです。
当期純利益
税引前当期純利益から税金(法人税など)を引いたものです。この項目の数字が、企業の営業活動の成果、つまり儲かったか否かの判断基準になります。

注意したいのは、売上高だけでは、儲けているか判断できないということです。売上高が高くても、費用が多ければ儲けているとは言えません。そこで売上高利益率にも注目しましょう。これは

売上高利益率=売上総利益÷売上高

で求められます。一般的には、10%以上あれば儲かっていると言われています。上表の場合、売上総利益70億円÷売上高350億円=売上高利益率20%となります。この企業は、かなり収益を上げていると言えます。

貸借対照表で企業の安定性が分かる

その企業の会計年度における資産、負債、純資産の状態を示す書類です。どのように資金を集め、どのように保有しているかという、財政状況が分かります。特に、負債が収益に対し大きくないかなどに注意しましょう。
下の表は貸借対照表の例です。やはり、分かりやすくするために項目を減らし、数字を簡単にしています。重要なのは以下5項目です。

流動資産
資産とは、会社が集めたお金のことです。流動資産は、そのうちの有価証券や預金など、1年以内に現金化ができる資産を意味します。
固定資産
土地など長期にわたり保有するような資産のことです。
流動負債
負債とは、分かりやすく言うと企業の借金のことです。そのうちで、1年以内に返済しなければいけないもののことを言います。
固定負債
社債など、1年以後に返済が必要な借金のことです。
純資産
投資家から集めた資金と今までの会社の利益を合計したものです。

貸借対照表では、負債の部と純資産の部を足した「負債・純資産合計」額が、資産の部にある「資産合計」額と等しくなり、これを総資本と呼びます。また、純資産は自己資本とも言われます。

これらの数字により、企業の安定性を測る自己資本比率も分かります。総資本に占める自己資本の比率が高い企業のほうが、安定しているということです。この比率は、以下の数式で求められます。

自己資本比率=自己資本(純資産)÷総資本

一般的に、自己資本比率が20%以上ないとリスクが高いと言われます。上表の企業の場合は、純資産2,000億円÷総資本7,500億円=自己資本比率26.6%になります。安定性をきちんと確保していると言えるでしょう。

キャッシュフロー計算書でお金の流れを見る

企業のキャッシュ=お金が、その会計年度の期首にいくらあり、期末にいくら残っているか、要するにお金の流れが分かる書類です。倒産リスクなどを読み取ることができます。

重要な項目は以下の3つです。

●営業活動によるキャッシュフロー
本業による収入と支出の差額が分かります。

●投資活動によるキャッシュフロー
株などの取得や売却によるお金の流れが分かります。

●財務活動によるキャッシュフロー
お金が不足した分をどうやって補ったのかが分かります。

上記のうち、営業キャッシュフローが少ない、またはマイナスの場合は、その企業は資金繰りがうまくいっていない可能性があり、倒産などのリスクがあると言えます。

投資活動によるキャッシュフローがマイナスの場合は、その企業は設備投資などに資金を積極的に回している可能性が高いと言えます。特に、成長企業などは、積極的にお金を借りることが多いので、マイナスになる傾向があります。ただし、営業活動によるキャッシュフローの範囲を超えていると、過大投資をしている可能性もあり、その場合はリスクが高い企業ということになります。

まとめ

財務諸表は、ほかにも各書類の数字を組み合わせることで、さまざまな企業価値の評価を行うことができますが、まずはそれぞれの書類をきちんと読み解くことから始めましょう。

難しい言葉と数字が羅列された書類なので、最初は少し難しく感じるかもしれません。しかし、言葉の意味が分かり、数字に慣れてくれば、少しずつ読めるようになってきます。一度ぜひトライしてみてください。