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柏木 理佳NPO法人キャリアカウンセラー協会理事・桜美林大学北東アジア総合研究所客員研究員

“適性”を見つけて金融業界で輝く!キャリアデザイン指南

<第10回>2017.4.12
今後金融業界に求められる人物像と学生の間に身につけてほしいスキル

グローバル化の加速に伴い企業の国際化が進み、外国人採用が増加すれば語学力はあくまで基礎的なスキルとなり多様化する企業、組織のあり方や仕事に柔軟に対応できる、より高度なビジネススキルが必要になってきます。

また、次々と日進月歩で新技術が開発され国境だけでなく業界、企業、文化の境がなくなりスマホやパソコンさえあれば、たとえ地球の裏側であってもリアルタイムな情報がダイレクトに取得できるようになった今日。だからこそこれから社会で活躍する人にとっては、グローバルな視野と最先端の技術や昨日までなかった出来事にフレキシブルに対応できる柔軟性が求められます。

最終回となる今回は、グローバル社会で遺憾なく実力を発揮するために、学生時代に身につけておいてほしいスキルとともに、今後金融業界に求められる人物像を考えていきましょう。

「優秀な人ほど謙虚で自己主張が控えめ」は、日本独自の価値観

日本の組織や日本人の強みはチームワーク制にあると言われます。例えばテレビドラマや小説でも、「チームが一致団結して目標に向かって突き進む」というストーリーよくありますね。でもこれは、日本人ならではの仕事の進め方なのです。

加えて、私も外国の企業で働いていた時に「あなたの意見は言っていることが曖昧で、どうしたいかがよくわからない」と言われたことがありました。よりよい製品(結果)を作る(得る)ため、日本人が何気なくしている会話の「AもいいけどBにもいい面があるよね」といった曖昧な会話は日本人特有のものなのですが、確かに言われてみれば、AがいいのかBがいいのか自分の結論を伝えず会話を終わらせていると相手は戸惑うでしょう。

要は多くの外国人にとって、結論や真意がどこにあるかわからない日本人の言葉選びは、非常に“まどろっこしい”と感じるようなのです。「Aがいい、その理由はこれまでにない革新的で売れると思うから」と結論と理由だけを求めているのです。

確論かつ、起承転結で構成された話術を身につけておく

では、グローバル社会で活躍するために具体的にどんなスキルを身につけておけばよいのでしょう。
最近は「〜みたいな」「といった感じ」「〜的な」という意思を明確に表さない、あいまいな話し言葉が多くなっています。だからこそ就活生であればライバルと一線を画すために、確論で話ができる話術を日頃から身につけておくことがポイントになってきます。

実践的方法としては、まず話の起承転結を頭の中で組み立て、伝えたい内容を整理する習慣をつけること。もっと具体的に言うと「結論を先に言う」「何を伝えたいかを明確にする」になります。

こうした会話術は面接の時にも役立ちます。「会社の業績に貢献するプランが自分にはあります。そのプランとは、採用された際には消費拡大プロジェクトを立ち上げ、5年後を目標に純利益を2倍にする結果を残すことです」といったように、確論に落とし込んだ明確なアピールは、面接官の心に強く刺さることでしょう。

また、社会人になってからは、専門知識や見識がその人のパーソナリティを形成しますが、「世界的に大変な出来事」という“なんとなく知っている”認識で話をすると、逆に細かい質問をされマイナスになることも。

例えば、「リーマン・ショック」とはどのような現象で、どのような影響を及ぼしたのかを分析し詳細に語れる」という専門性に加え、「世界的な金融危機は過去にどのようなものがあったか」といった見識を養っておく必要もあります。また、「リーマン・ショック」という表現は、証券業界などでは専門的ではないと思われ「サブプライムローン問題に端を発した住宅バブル崩壊、リーマンブラザーズ破綻による株式暴落、金融危機」などとしたほうがより専門的であると思われる場合もありますので、産業新聞などを読み業界の専門的な表現も研究しておくと、なおよいでしょう。最終的には用語の正しい理解や表現のみでなく、「自分はどう思うのか」という自分なりの見解や主張もしっかり言えるよう日々トレーニングを重ねておくと、面接の際に役立ちます。

様々なシーンにアンテナを張り、気づきをメモする

企業の国際化に伴い、旧態依然とした組織形成が様変わりすることで、銀行の営業担当が英語力をかわれ、外為部門から白羽の矢が立つこともあるでしょう。また、ドキュメンテーション力やプレゼンテーション力をかわれて、畑違いの金融商品を企画するクリエイティブ色の強い部署に異動する可能性もあります。

将来そうした思いもよらない変化に対応するためにも、若いうちから感性を磨き様々なシーンにアンテナを張っておくことが大事になってきます。そのときに備えた一例として、身近なアイテムであるおサイフケータイや電子マネーについても、「◯◯の機能がついていたらもっと便利なのに」「残高がすぐに解ればいいのに」といった“気づき”をメモしておく。こうした習慣を今から身につけておくことで、課題提案力、問題解決力が自然と培われるはずです。

さらに、金融業界を志す人は金融新聞だけでなく経済新聞や一般紙の社会面などにも目を通し、なおかつファッション、IT、最新アプリ・グッズなどのトレンド情報誌にも目を通しておくくらいの目配りがこれからの時代は必要になってきます。

こうした「メモ法」や「情報収集」は、スマホ世代だからこそ生まれるアイディアや、柔軟な思考回路の中で生み出される“気づき”が、将来新たなサービスに転化する可能性を秘めているからです。

AI、フィンテック、ソーシャルレンディング、IoTといったように新たな用語が次々と誕生するなかで、私たちは新しい情報を日々収集し、知識を深めていかなければなりません。そうしたなかで、社会人として臨機応変な対応力をもとに活躍していくためには、学生生活の中でしっかりと自らのキャリアをデザインし、様々な分野へアンテナを張り、相手に的確に意思を伝えられるコミュニケーション力を養うことが非常に重要になってきます。

豊かな感性と柔軟な思考力をもつ学生・若手社会人にこそ、貪欲に自分自身のレベルアップを図ってほしいと思っています。

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柏木 理佳
Rika Kashiwagi

神奈川県横浜市生まれ。豪州の大学へ進学後、香港に居住。1994年に北京首都師範大学(漢語科)へ留学後、シンガポールで会社設立などに携わる。その後、豪州ボンド大学院経営学にて修士号取得(MBA)、2007年に嘉悦大学准教授に就任。2015年には育児をしながら桜美林大学院国際学研究科「中国民営企業における独立取締役の監査・監督機能-日中比較及び研修機関の役割の-考察」にて博士号取得。現在は、NPO法人キャリアカウンセラー協会理事。桜美林大学北東アジア総合研究所客員研究員。主な著書に「30分間で天職が見つかる本」(PHP研究所)、「TOEIC400点だった私が 国際舞台で“デキる女”になれた理由」(日本経済新聞出版社)など。