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財部 誠一ジャーナリスト

ジャーナリスト・財部誠一が解説、
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<第5回>2016.09.21
米国大統領選挙の行方

オリンピックと米国大統領選挙は4年に一度、同じタイミングでやってくる。リオ・オリンピックも終わり、11月8日の投票日まであと2カ月となった米国大統領選。本来なら民主、共和両党の大統領候補どうしが激しくデッドヒートを繰り広げているはずだった。ところがいまひとつ盛り上がらない。民主、共和両党の大統領候補2人の好感度があまりにも低く、米国メディアも「史上最も不人気な候補どうしの争い」と書きたてる始末だ。



なぜか。



ヒラリーはファーストレディであり、ニューヨーク選出の上院議員も二期務め、前国務長官でもある。これ以上はない最高の経歴をもつが、それだけにヒラリーは従来の政治を象徴する政治家でもある。本来なら「女性初」の大統領誕生の可能性に米国人が熱狂してもよさそうなものだが、そうはなっていない。国務長官時代に私的なメールを使い国家機密を危うくさせたことや、超富裕層の代表格であるウォール街(金融界)に近いことなどが民主党支持の若者に嫌悪感を与えた。対照的だったのがヒラリーと最後まで民主党大統領候補の指名争いを演じたバーニー・サンダース上院議員だ。みずから「民主社会主義者」を名乗り、大学の授業料無料化を訴えて、学生たちから熱狂的な支持を受けた。

「サンダース現象」をかろうじておさえて、ヒラリーが指名を勝ち取ったとはいえ、サンダース支持者の中には、それでも「ヒラリーにだけは投票しない」という若者が少なくない。



共和党の指名争いを制したドナルド・トランプも人気薄だ。
「メキシコ国境に巨大な壁(グレート・ウォール)を築き、犯罪者ばかりのメキシコ人の入国を阻止。もちろん壁の建設費はメキシコに払わせる」
「イスラム教徒は入国させない」
その過激な排外主義は白人低所得層の反移民感情や米国民のテロへの恐怖心とも結びついて予想外の「トランプ旋風」を巻き起こし、共和党の大統領候補の指名を獲得したまでは良かったが、そのエキセントリックな言動は、共和党内に根強いしこりを残した。決定的だったのは、指名獲得後の戦没者遺族を愚弄する発言だった。



米軍の一員としてイラク戦争に従軍した息子を、2004年に亡くしたイスラム系の一般市民をトランプが公然と侮辱した。トランプ批判をしたことへの反発だが、大統領候補者が一般市民を、それも国のために命を落とした息子の遺族を愚弄するなど聞いたことがない。これを境に、トランプの不人気は加速した。

それまでは「史上最も不人気な候補どうし」互角の戦いをしていたのに、ヒラリーに大きく水をあけられてしまった。9月2日公表されたロイターの世論調査によれば、支持率はヒラリーの43%に対してトランプは35%。8%と二人の差は広がっている。

これでヒラリー当確というほど単純にはいかないが、不人気対決となった今回の大統領選挙は、米国民が重度の政治不信に陥っていることを象徴している。だがそれは米国だけの現象ではない。英国のEU離脱にもみられるように、既存の政治システムそのものへの不信感が世界中に広がっている。
米国の新大統領はどう応えていくのか。米国大統領も世界の大きな潮流と無縁ではない。広く世界のニュースにも目配りしながら、選挙の行方を見守りたいものだ。



これで連載は終了するが、学生の皆さんにぜひ心がけてほしいことがある。それはニュースの字面を追いかけないということだ。一般常識として記憶しておけば良いというものではない。ニュースは考えるヒントだ。ひとつのニュースは世界とつながり、いま世界で起きている現象と無縁ではない。ひとつのニュースの背景を深く考えることで、目の前の現実もまたより鮮明に見えてくるのである。

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Profile

財部 誠一
Takarabe Seiichi

慶應義塾大学法学部卒業後、野村證券に入社。同社退社後、3年間の出版社勤務を経てフリーランスジャーナリストに。BS11の経済番組「財部誠一の異見拝察」に出演中。経済政策シンクタンク「ハーベイロード・ジャパン」を主宰し、取材レポート「ハーベイロード・ウィークリー」で取材したばかりのレポートを提供、多くの経営者やビジネスマンに好評を得ている。オフィシャルサイトでは「経営者の輪」、「借金時計」などを展開。近著に「京都企業の実力」「“再生か死か”~組織が変わる瞬間~」、「“メイド・イン・ジャパン”で勝つ経営」など。