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財部 誠一ジャーナリスト

ジャーナリスト・財部誠一が解説、
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<第4回>2016.09.07
三菱自動車の不祥事から、企業体質について考える

ガソリン1リッターで何キロ走れるか。燃費性能の良さは軽自動車の命だ。


1キロでも2キロでも燃費を上げたいと軽自動車メーカーはしのぎを削っている。先行するダイハツやホンダなどライバルメーカーに追いつきたいばかりに、三菱自動車は軽自動車4車種で実態よりも7~17%も高い虚偽のデータを国交省に届け、カタログに記載し、販売店をあざむき、消費者を騙していたことが今年5月に発覚、メディアでも大騒ぎになった。これが三菱自動車の“燃費不正” 問題である。

その後、国交省が改めて燃費を測定したところ、「パジェロ」や「RVR」など8車種でも燃費不正が行われていたことが分かり、改めてこの問題の根深さが浮き彫りになった。

このスキャンダルを耳にした多くの人は「また三菱自動車か」と思ったに違いない。2000年にも三菱自動車はリコール隠し事件を起こしている。最終的には69万台にも及ぶ大規模なクルマのリコール(不具合情報)を国交省に届け出ず、ユーザーを危険にさらしたまま放置した事件である。それを機に、経営危機に陥った三菱自動車を三菱グループが支え、再建は順調に進んでいたが、まさにそのとき、今回の“燃費不正”問題が起こった。



なぜ不祥事は繰り返されたのか。


燃費不正に直接関わったのは開発部だったが、そもそも燃費改善目標値を2年間で5回も引き上げた経営サイドに問題があったという指摘も少なくない。燃費を向上させるためには、従来とは違う工夫をしなければならない。具体的には部品の改良や新しい装置の開発といったことが求められるが、こうした作業は常にお金とセットだ。つまり燃費を改善すると、原価が上がってしまう。それでは販売価格に影響を与え、競争力がなくなってしまう。

だが、三菱自動車は開発予算を引き上げることなしに、燃費だけ上げろという無茶な指示が開発部に投げられたのだ。

ただし、無茶な指示だったから燃費データを偽装してよいということにはまったくならず、開発部の不正工作は決して許されるものではない。

だからこそ、三菱自動車のたび重なる不祥事の原因をその企業体質に求める声が多くある。確かに三菱自動車の企業体質は複雑だ。“リコール隠し”後は、三菱グループ出身者が主要な経営ポストを占める一方、開発部をはじめとするエンジニア集団はプロパーの独壇場。社内には経営幹部にモノが言いにくい空気があるばかりではなく、経営陣とエンジニア集団とのコミュニケーション不足が常態化していた。今回の“燃費不正”事件の解明に経営が手間取ったのはその象徴と言えるだろう。

不祥事を避けるためには企業の情報公開が必要だ。それは単に社外に情報を発信していれば事足りるというものではない。むしろ社内のあらゆる部門間で情報を共有することが重要だ。そのためには特定の部署に人を固定させるのではなく、部門間の人材交流を絶やさないことである。情報の共有とは人材の共有にほかならない。

就活生が企業研究をする際にも、この視点が大切になるだろう。社内の風通しが良いかどうかは、情報共有ができているか否かを知る手がかりのひとつである。部門間の人材交流はあるか。情報共有はあるか。そんな視点で企業を眺めてほしい。

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Profile

財部 誠一
Takarabe Seiichi

慶應義塾大学法学部卒業後、野村證券に入社。同社退社後、3年間の出版社勤務を経てフリーランスジャーナリストに。BS11の経済番組「財部誠一の異見拝察」に出演中。経済政策シンクタンク「ハーベイロード・ジャパン」を主宰し、取材レポート「ハーベイロード・ウィークリー」で取材したばかりのレポートを提供、多くの経営者やビジネスマンに好評を得ている。オフィシャルサイトでは「経営者の輪」、「借金時計」などを展開。近著に「京都企業の実力」「“再生か死か”~組織が変わる瞬間~」、「“メイド・イン・ジャパン”で勝つ経営」など。