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財部 誠一ジャーナリスト

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<第1回>2016.07.27
英国のEU離脱(Brexit)のとらえ方

道理上、ありえないことを「ひょうたんから駒が出る」というが、英国のEU離脱(Brexit)はまさに、それだった。

6月23日、EUからの離脱の是非を問う国民投票が英国で行われ、52%の得票で離脱派の勝利となった。まさかの「離脱」に世界の金融市場は震え上がった。東京→香港→ロンドン→ニューヨークと、世界の株式市場はまさかのBrexitに動揺し、急落した。手持ちのポンドやユーロの先行きを心配するあまり、パニックになった人々がいっせいにドルとの交換に走れば、世界中の銀行でドル不足が起こり、金融不安に陥るかもしれなかった。だが、幸いにも金融市場は一瞬動揺しただけで、落ち着きを取り戻した。



対照的に、英国政界は激しく動揺した。



もともと今回の国民投票は、EUからの移民に職を奪われ、それが格差の理由だと考える労働者たちのうっぷんを晴らし、つまりガス抜きのために、デイビッド・キャメロン首相(保守党)が利用したものだ。「残留」に決まっていると、たかをくくっていたのだろう。まさかの「離脱」決定に、キャメロンは首相を辞任してしまった。当然の身の処し方といえる。



英国内を驚愕させたのは、煽情的に離脱を煽り、国民投票に勝利した2人の政治家たちのその後だった。「離脱派」のリーダーで、次期首相候補ともいわれていたボリス・ジョンソン元ロンドン市長と英国独立党のファラージュ党首だ。EU域内からの移民流入にストップをかけさえすれば、労働者の不満は解消すると問題を単純化。ポピュリズムの権化となったが、彼らは離脱後の英国がどんな道を歩んでいくのかについて、現実的なプランを何ひとつ考えていなかった。

だからジョンソンは「離脱」決定直後からだんまりを続け、早々に次期首相選からの撤退を表明する始末。ファラージュにいたっては国民投票前に声高に叫んでいた公約が実現できないことを認め、大批判を浴びた末に党首を辞めてしまった。

なんともおそまつな結末だが、Brexitの決定は重大だ。国家の進路を国民投票に委ねること自体が愚かだったといわざるをえない。大衆はいつの時代でも情緒的で、それを逆手に取った政治家に簡単に利用されてしまう。ヒットラーが国民投票を繰り返すことで、究極の独裁者になっていったというのが歴史的真実だ。そんな国民投票を政局争いのツールに使ったキャメロン首相の決断は歴史に残る愚行である。

英国のEU離脱(Brexit)までの道のりは見えない。長く複雑なEUとの離脱交渉はこれから始まる。規定上は2年で完了することになっているが、そんな短時間でまとまるとはとうてい思えない。最終的に英国はどうなるのか、英国のいないEUの姿がどうなるのか。非常に長い時間軸のなかで考えていかねばならない。





今後予想されるリスクはEU加盟国間で離脱のドミノ倒しが起こることだ。最終的にはEU解体の危機にまで発展しかねないという見方もあるが、あらかじめ予想された危機が起こった試しはない。

英国にもEUにも知恵はある。どう対処していくのか。それはこれからの問題だ。英国の国民投票だけで欧州の未来がすべて決定づけられてしまうわけではない。

真実は多様だ。マスコミが報道するのは、ものごとの一断面にすぎない。見る人によって、見る角度によって、真実はまったく違う光を放つ。

学生はしがらみがない。どんなニュースもただ受け入れるのではなく、自由な発想で、独自の見立てをしてほしい。それが魅力的な社会人になるためのいいトレーニングになる。

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Profile

財部 誠一
Takarabe Seiichi

慶應義塾大学法学部卒業後、野村證券に入社。同社退社後、3年間の出版社勤務を経てフリーランスジャーナリストに。BS11の経済番組「財部誠一の異見拝察」に出演中。経済政策シンクタンク「ハーベイロード・ジャパン」を主宰し、取材レポート「ハーベイロード・ウィークリー」で取材したばかりのレポートを提供、多くの経営者やビジネスマンに好評を得ている。オフィシャルサイトでは「経営者の輪」、「借金時計」などを展開。近著に「京都企業の実力」「“再生か死か”~組織が変わる瞬間~」、「“メイド・イン・ジャパン”で勝つ経営」など。