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注目記事2022.09.07

成長と挑戦が企業変革のカギを握る

金融業界を取り巻く環境は厳しさを増す一方です。少子高齢化の波が従来のビジネスモデルから“稼ぐ力”を奪い取り、FinTech企業に代表される異業種からの参入は競争の一層の激化を生み出しています。そんな中で各社が取り組んでいるのが人事制度の改革。人材こそ成長力の源泉という本質はいつの時代も変わりません。

大きな危機感が背景に

これまでの金融業界のビジネスモデルは、量的な拡大競争を前提としたものでした。それが人口減少や低金利によって頭打ちとなっています。例えば、預金の金利競争や融資枠競争などでは顧客のニーズをとらえられなくなりました。潜在的なニーズを掘り起こすためのコンサルティング力の向上が必須となっています。

一方で、働く側の意識も大きく変化。ワーク・ライフ・バランス重視となり、仕事とプライベートを明確に分ける意識が高まり、時短勤務や在宅勤務、遠隔地での勤務などワークスタイルそのものも多様化しています。

もちろんビジネスモデルを大きく変えるのは簡単なことではありません。まずは強い問題意識を持ちながら、企業体質そのものを変えていくことが求められます。

金融業界各社が人事制度の変革や新規事業の創出などに取り組む姿勢を明確にしているのもこうした危機感の表れといえます。

プロフェッショナル人材の育成

変革のキーワードとなるのが「挑戦」です。まずは人材育成についての挑戦を考えてみましょう。

従来、金融業界といえば大量採用された新卒人材が出世競争を戦い、同期の中で勝ち残ったものが役員を目指すというモデルが一般的でした。しかしこれでは画一的な価値観、能力を持った人材しか育たず、時代の変化に対応できなくなっていきます。

特に「就社」の意識が低く、転職への抵抗感も薄い若い世代をつなぎ止めることもできないでしょう。そこで重要となってくるのが一人ひとりの市場価値を高めていくことを重要視した人事施策です。

例えば、会社が用意した資格取得やスキルアップのための勉強ではなく、自らの意思で取り組む自己啓発をバックアップする仕組みです。もちろん、多様な通信講座の中から好きなものを選んで受講できる仕組みは以前からありましたが、重要なのはキャリアデザインと密接に紐づけられた自己啓発プランとすることです。

東京海上日動火災保険では毎月2万円を給与に上乗せすることで、資格取得やスキルアップの後押しをしています。その対象は全社員。つまり職種や階層にかかわらず、すべての社員が自らキャリアデザインを考え、自己啓発に取り組むことが求められるわけです。

その結果、全社員がプロフェッショナルとなるための意識を持ち、会社の変革を担う原動力となっていくことが期待されています。社員の成長と挑戦を後押しする制度を通じて、会社の成長と挑戦も進んでいくことでしょう。

新規事業創出の仕組みづくり

一方で、企業自身の「挑戦」となるのが新規事業の創造です。

従来のビジネスモデルの枠にとどまらずに新たなビジネスを生み出していくことは、さらなる成長のために必須です。特に非金融事業者が金融事業へとドメインを拡大してきた今、守りの姿勢から攻めの姿勢へと転じるためにも、新規事業の創造は重要です。

新規事業創造での難しさは「正解がわからない」という点です。今までになかったビジネスに挑むのですから、前例もなければお手本もないのが当たり前。道のない荒野に自ら道を開いていく覚悟が必要でしょう。

つまり、ここでも人材の意識を変えることで、新たな事業機会を生み出そうとする仕組みや文化の創造が求められるわけです。損保業界で特に目立つのがデータを活用した新規事業の創出です。

豊富な保険商品と長年のサービス展開によって、損保各社は顧客や事故・災害などの豊富なデータを保有しています。加えてテクノロジーの発達によって、例えば気候変動関連のデータなど、従来にない新しいデータも活用できるようになりました。

これらのデータを「資源」ととらえることで新しいサービスを創出する動きが加速しています。前述の東京海上日動でも価値創造戦略のもと、自然災害に関する新たな保険商品の開発や、盛り上がりを見せる宇宙ビジネスを背景に月面探査用の保険商品を開発するなど新たな挑戦を行っています。

こうした企業としての挑戦も、社員一人ひとりの挑戦の結果として生み出されたものです。

まとめ

例えば車の自動運転やメタバースなど、損害保険業界に大きなインパクトを与えるイノベーションは続々と生まれるでしょう。その変革期を乗り越えていく原動力は人材に尽きます。社員の成長と主体的な挑戦を促す仕組みづくりはますます重要な課題となっていくでしょう。