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重要度が増す一方のシステム監査の魅力とは

“内部監査”と聞いて、あなたはどんなイメージをもちますか? 伝票を1枚1枚めくりながらハンコの漏れがないかを確認したり、ミスを指摘して同じ会社の仲間からイヤな顔をされたり…。もしそんなシーンが浮かぶようなら大いなる誤解。今や内部監査は経営戦略にも影響を与える重要な機能なのです。

特に激動期にある金融業界において、ITスキルを駆使して活躍するシステム監査部門には、かつてないほどの期待が寄せられています。

社会インフラを支える重み

ITがビジネスにとって不可欠なものとなった今、そのIT自体が新たなリスクを呼び寄せるリスクとなっています。特に重要な社会インフラである金融業界においてITシステムの混乱はそのまま大きな社会不安に結びつきかねません。こうしたシステムリスクには次のような背景があります。

1つはサイバーリスクです。
インターネットが世界中をくまなく覆っている今、高度なサイバー攻撃技術を持った悪意ある敵が、世界中のあらゆる場所から攻撃してくるようになりました。もちろん金融機関も狙われています。もしサイバー攻撃によって銀行口座が操作されるような事態が発生したら社会は大混乱に陥るでしょう。

経営統合も大きな要因です。
金融業界に限ったことではありませんが、経営統合に伴っては異なるシステムの統合も必要となります。特に金融系のシステムは巨大であり、統合と一言でいっても容易ではありません。システム統合による混乱がたびたび報道されているのは皆さんご存じの通りです。統合によって証券、信託、保険、信販など異なる業態のシステムを適切に管理する必要も生まれてきます。

そしてテクノロジーの進化による影響も見逃せません。
例えばキャッシュレス決済など、テクノロジーの進化によって金融サービスは多様化・高度化する一方です。今後もAIやブロックチェーンなどを活用した新たなサービスが続々と登場するでしょう。そうした変化への適切な対応は不可欠です。

「最後の砦」としてのやりがい

金融業界においては、こうしたシステムリスクへの対応は重要な経営課題となっています。そこで脚光を浴びているのがシステム監査です。

監査法人やITベンダーなどシステム監査を担う外部の専門機関も数多くありますが、ここで注目したいのは内部監査として自社でシステム監査を担う部門。というのも繰り返しご紹介しているように、システムリスクへの対応を誤ると重大な問題を招きかねない今、経営陣のパートナーとしてその舵取りを任されているのが内部監査としてのシステム監査チームだからです。

監査には「3つのディフェンスライン」という考え方があります。第1のディフェンスラインが現場。各店舗やシステム開発・運営の最前線などです。第2のディフェンスラインが法務や財務などの間接部門です。システム監査は第3のディフェンスラインにあたり、高度な独立性と客観性を保ちながら第1・第2の取り組みを評価します。つまりシステムリスクに対する「最後の砦」がシステム監査なのです。

その責任の重さに匹敵するように、やりがいも非常に大きいのがシステム監査の仕事です。

例えばメガバンクグループの経営会議といった重要な場面で、内部のシステム監査の結果を報告する機会があります。あるいはシステム監査の結果、明確になった改善点について経営陣にその改善指導を提言することもあります。

さらに金融庁もシステムリスクへの対応強化を強く求めており、まさに国としての施策の一端を担っている実感も得られるでしょう。

金融エンジニアの新たな道として

正しくシステム監査を行うにはIT関連知識、特にセキュリティ面での最先端の知識に精通しているのは当然のこと。それだけでなく金融業界全体の動向や金融業の最前線の業務に精通していることも求められます。高度なプロフェッショナル人材が必要とされているのは間違いないでしょう。

そのため多くの金融機関で人材不足となっており、監査法人出身者、ITベンダー出身者、コンサルティングファーム出身者など、他業界からのキャリア入社組が多いのもシステム監査チームの特徴です。

新卒で配属されるケースは少なく、社内のシステム部門で開発や運営の経験を積んだ後、IT人材としてのキャリアステップの1つとしてシステム監査に異動となるケースが多いようです。

資格としては、国家資格である「システム監査技術者」と民間資格の「公認情報システム監査人(CISA)」があります。後者については国際的な認知度が高く、システム管理のプロフェッショナルとしての証明ともいえるでしょう。金融エンジニアとしてある程度のキャリアを積んだ後、取得を目指す人も多いようです。

まとめ

経営陣の近くでリスク対応に取り組むシステム監査。テクノロジーの進化に伴ってシステム間の重要性は今後ますます高まっていくことでしょう。エンジニアとして金融業界で活躍したいと考えている方にとって、将来の選択肢の1つとして想定するのもお勧めです。

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