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注目記事2021.01.13

コロナが変えた、お金と人間の関係

新型コロナウイルスの話題に終始した2020年。オリンピック・パラリンピックの延期をはじめ、さまざまな影響を社会にもたらしました。そんな変化を象徴するシーンが、年末年始におなじみのあの場所で見られたようです。

お賽銭もキャッシュレス

その場所とは初詣の神社。もともと“密”を避けるため分散参拝が呼びかけられ、出店も少なく抑えられましたが、加えてお賽銭のキャッシュレス化も話題となりました。

例えば、京都の東本願寺もお賽銭のキャッシュレス決済を導入。QRコード決済のバーコードが印刷されたパネルを設置し、参拝者はスマートフォンなどで読み取ってお賽銭の金額を入力する仕組みです。

もちろん、お賽銭だけにとどまりません。

お札やお守りを授けてくれる授与所でもクレジットカードなどのキャッシュレス決済に対応しているところは増えていますし、神戸市の生田神社ではスマホを使ったおみくじも導入しました。これはスマホをQRコードなどにかざして表示された番号でおみくじと引き換える方法です。

こうした対応を取っている神社仏閣は近年徐々に増えてきました。背景にはインバウンドブームによって訪日外国人が増え、キャッシュレス決済に慣れた外国人参拝客の利便性を考えて、という事情がありました。

そしてコロナ禍で迎える初めてのお正月となった2021年、非接触による感染拡大防止を目的としてお賽銭のキャッシュレス化がさらに進んだ格好です。

キャッシュレス決済は便利であることに加え、衛生面でもメリットが大きいことから、神社仏閣では今後さらに普及するのではないでしょうか。

「キャッシュは不潔」が常識に?

コロナ禍の最中には、脱ハンコも話題になりました。とはいえ、不合理なアナログの象徴のような言われようはハンコには少々お気の毒でした。

そして、ハンコに続いて次にやり玉に挙がりそうとささやかれているのが“名刺”です。紙が人の手から人の手へと受け渡されるのですから、確かにコロナ禍においては少々気がかりです。

しかしそうした見方をするならば、もっと不衛生で危険なものがあります。もうお気づきでしょうが、それは現金。キャッシュです。

2020年の春にはパリのルーブル美術館がキャッシュでの入場料の支払いを拒否したという話がありました。韓国では消毒のために紙幣を洗濯機で洗ったり煮沸消毒したりするケースが続出したそうです。

紙幣1枚に平均して2万6000個もの細菌が付着しているという調査結果があるなど、コロナ禍以前からキャッシュ、特に紙幣は“不潔”という認識は広く定着しています。

“不潔”ということで最も敏感に反応するのは当然のことながら飲食店。現金に触れた手でそのまま食材を扱う店がないとも限らず、そうなるとお店の衛生管理の話にとどまらず、お店が感染を広げる原因にもなりかねません。

このようにキャッシュは不潔というイメージをさらに強くしたのも、新型コロナウイルスの影響でしょう。

金融サービスのあり方も変わる

さて、コロナ禍で大きく浸透したのがリモートワークです。

当初はオフィスワーカーを中心に広がったリモートワークも次第に営業職へと拡大。「営業の仕事は人と会うことだから」と難色を示す人は少なくなかったようですが、取引先の要請に応じてやむを得ずリモートワークに移行したところ、営業職でも案外無理なく自宅からのリモート商談ができるとわかったというケースが多いようです。

この経験から「金融サービスもリモートで十分ではないか」と考える人が増えたのも自然なことでしょう。

金融機関もこの変化に対応。“対面”の意味を広くとらえ、必ずしもリアルでの対面サービスにとらわれなくなってきました。相手の顔の表情を見ながら話ができればオンラインでも問題ないと受け止められ、大手銀行を中心に資産運用や相続の相談などをビデオ会議(ビデオチャット)で行うサービスが増えています。

もともとネットでの取引が増えて、ここ数年銀行窓口への来客数は減り続けていました。コロナ禍を契機としたサービスのリモート化はその流れに拍車をかけることになるでしょう。

もちろん高齢者やITに不慣れな客は引き続きフェイス・トゥ・フェイスのサービスを求めるでしょうし、地方銀行や信用金庫など地域に根ざした人間関係を重視する金融機関も、リモートサービス一辺倒には踏み切りにくいでしょう。

このように業態によってばらつきはあるでしょうが、ポストコロナの時代は金融機関と顧客の距離感についても見直しすることになりそうです。

まとめ

ポストコロナのニューノーマルの時代、社会のさまざまな場面での変化はこれからも続くでしょう。お金と人間の関係もその一つ。お金そのものはなくならなくても、その位置づけや形態などはさらに変わっていくかもしれません。