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注目記事2020.11.11

テレワークはもう常識? 変わりつつある金融業界の働き方

リモート飲み会、まだやっていますか? 一時期、あれほど流行したのに、今では誰もリモート飲み会なんて口にしなくなりました。やはり飲み会はリアルに集まってワイワイやるほうが楽しいですね。

一方でテレワーク、リモートワーク、在宅勤務はすっかり定着したようで、“ワーク + バケーション”のワーケーション、“ビジネス + レジャー”でブレジャーなどの新しい言葉も誕生しています。

果たして金融業界にもこうした新しいワークスタイルは浸透・展着するのでしょうか。

金融業界でテレワークが難しかったのは…

かつて証券業界に働く人たちは「オレたちはセブン-イレブンだから」と半ば自慢げ、半ば自虐気味に語ったものでした。セブン-イレブン、つまり朝7時に出社して退社は夜11時というハードワークぶりを自嘲したわけです。

すべてではありませんが、この例に象徴されるように金融機関は長時間労働の業種と一般的に見られていた時代がありました。

コロナ禍によってテレワークが注目されるようになっても、金融業界はなかなかその波に乗りきれなかったのは事実です。

銀行に代表される金融業界のテレワーク普及を阻む壁はいくつもあります。

代表的なのは、顧客情報遵守を含む厳しいコンプライアンスの統制でしょう。万が一にも自宅の作業で情報が流出するようなことがあってはならず、書類の持ち出しすら厳しく制限されています。仕事をするには出社するしかありません。

書類文化と押印文化も壁の一つでしょう。あらゆるやりとりが書類で行われ、そこにはハンコが不可欠であるため、「ハンコを押すためだけに出社する」「ハンコを押す人がいないと仕事が進まない」という現実があります。

もっともこの点は今後急速に進む中央省庁の“ハンコレス化”の影響で大きく改善されるでしょう。

働く人の“意識”も壁でした。もともと長く働く人は頑張っている人だ、という認識が日本には強くありました。チームで仕事をこなすメンバーシップ型雇用が主流だったため「顔を合わせて仕事をしないと不安」という意識も強く残ります。

もちろん、顧客との接点のほとんどが支店の窓口、という業態そのものもリモートワークの浸透を難しくしていたでしょう。

コールセンターでもテレワークが可能に

しかしコロナ禍を経てウィズコロナ、ポストコロナの時代に入り、金融業界でも働き方はずいぶんと変わってきました。

既にメガバンクを含む多くの銀行でテレワーク制度を導入。例えばみずほフィナンシャルグループは、銀行・信託銀行・証券など本社勤務の社員の25%を常時テレワークとすることを決定しました。

地方銀行でも、コロナ禍以前から北陸銀行、千葉銀行、富山銀行などでテレワークを導入。最近では山梨中央銀行が在宅勤務制度の導入を決定しました。

あおぞら銀行は2017年にテレワーク制度を導入。2019年には約2割の行員が、在宅・モバイル勤務を行いました。ちなみに同行では窓口で現金を扱わない「キャッシュレス店舗」をすべての店舗に広げる方針で、こちらも注目です。

興味深いのは、テレワークがコールセンターにまで広がってきたことです。

コールセンターとは、電話で消費者からの問い合わせなどを受け付ける部署。例えば損害保険会社なら個人の事故の情報や契約内容などを扱うため、万全のセキュリティ体制が求められます。また難しい問い合わせの場合は、ベテランの担当者や管理者によるスピーディーなフォローも欠かせません。こうしたことから在宅での対応は難しいとされてきました。

しかし損害保険ジャパンが全国の拠点で在宅でのコールセンター業務を導入。SMBC日興證券でも、コールセンターで顧客対応に当たるオペレーターの5割を12月までに在宅勤務にする予定です。

コールセンター業務をスムーズにこなすには豊富な業務経験が必要です。テレワークが可能になれば結婚や子育て、介護などで職を離れたベテラン社員の再活用も可能になるでしょう。コールセンターの100%テレワーク化はまだ難しいとされているものの、今後に注目したいところです。

出社は週1日だけというケースも

こうしたリモートワークの流れにとどまらず、働き方の多様化はさらに広がりをみせています。

例えば、みずほフィナンシャルグループでは、グループ6社の正社員を対象に週休3~4日制の導入を決めました。あいおいニッセイ同和損保では、在宅勤務可能日を増やし、週1日だけの出社を認める制度をスタートさせています。

新生銀行では、在宅勤務比率が高まっていることを受けて、通勤手当を廃止し、交通費の実費精算に切り替える方針です。

コロナ禍を契機に私たちの日常は大きく変わり、同時に働き方改革も一気に加速しました。首都圏のJRの終電時間が繰り上げられるというニュースが話題を集めたのもそうした流れを象徴するものでしょう。

まとめ

東京都の人口が3カ月連続で転出超過となりました。リモートワークが定着し、普段は地方の自宅で働いて、必要に応じて都内のオフィスに出社するというスタイルの広がりがその背景にあると考えられます。こうした流れは今後さらに進んでいくでしょう。