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注目記事2020.03.25

70歳定年時代を前に、金融業界の働き方は?

人生100年時代を迎えた今、本格的なエイジレス社会の構築が求められています。その一つが定年の延長。今や65歳までの定年延長どころか、70歳定年も現実味を帯びるようになりました。金融業界においてもその流れは同じ。この変化に伴って働く側も意識を変えていくことが求められています。

『今や65歳まで働く』が当たり前

「定年退職」とは、あらかじめ決められた年齢に達すると雇用契約が解除となる制度のことです。

かつては60歳定年が一般的でしたが、2013年に高年齢者雇用安定法が改正され、企業には「65歳までの定年の引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置を実施することが求められるようになりました。そのため現在では65歳まで働くことが普通になっています。

実際、厚労省の調査によれば、調査した企業の99.8%が高年齢者の雇用を確保するための措置を導入しており、今ではほぼすべての企業で65歳まで働ける制度が導入されています。




それどころか労働人口に占める65歳以上の割合も年々増加しており、エイジレス社会は着実に現実のものになってきていることがわかります。


今年2月には、「定年年齢を70歳以上まで引き上げる」などの項目を含んだ高年齢者雇用安定法のさらなる改正が閣議決定されました。意欲と体力があればさらに長く働ける社会が実現しそうです。

実質定年50歳とは、どういうこと?

日本の定年制は明治時代からあり、当時は55歳定年が一般的だったようです。それを思うと人が働ける期間はずいぶんと延びたことがわかります。

そもそも定年とは、「年齢によって有無を言わさずに会社を辞めてもらう制度」と解釈できます。個人の能力や実績は一切考慮されません。つまり、年齢差別でもあるといえます。

ちなみにアメリカではThe Age Discrimination in Employment Actという法律で、年齢を理由とした差別が禁止されているため、日本のような定年制がありません(一部の公共的な職業をのぞく)。

アメリカにならえば、年齢差別の撤廃という意味でも定年制度はなくなるのが望ましいといえるでしょう。

もちろん金融業界でも定年延長の流れがはっきりとしてきました。地方銀行や信託銀行が特に高齢者の活用に積極的で、メガバンクでも60歳から65歳への定年延長を検討するところもあります。人口減で新卒採用が厳しくなる中、豊富な経験を持つ人材を活用しようとするのは当然の考え方でしょう。

一方で「銀行員の定年は実質50歳」ということもよくいわれます。これは定年退職の前にやってくる役職定年や職位退職のことを指しています。

役職定年・職位退職とは、50歳から55歳くらいで管理職の職務を解かれるというもの。もちろん具体的な内容は企業によって異なりますが、例えば「55歳までに部長になっていなければ管理職を解く」というようなケースです。有り体にいえば、“出世してなければ降格”になるわけです。

従って65歳、70歳と定年が延長されたところで、順調にキャリアの階段を昇っていなければあまり意味はない、という身も蓋もない見方ができるかもしれません。

つぶしが利く人材として

もちろんこれから社会に出て行く皆さんにとって定年なんていうのは、はるかに遠い将来のことですからピンとはこないでしょう。40年後には金融業界や産業構造がどう変わっているかもわかりません。さらには定年なんていう概念や制度そのものがなくなっている可能性すらあります。

しかし、「金融はつぶしが利く」とよくいわれるように、金融業界で知識やスキルを身につけておくことは、そのまま市場価値の高い人材へと成長することにつながります。

財務や会計の知識はどの企業、業界でも活かすことができますし、法人営業を通じて養われる企業の経営を見る目は大変に貴重なものです。

これからは70歳まで働く時代が到来するわけですから、皆さんは40年以上も社会の第一線で活躍することになります。ぜひその長い時間を中身の濃いものにすることで後悔することなく定年を迎えられる、そんな充実した社会人人生を送ってください。

まとめ

『サザエさん』の波平さんの年齢は54歳という設定だとか。見た目はすっかり隠居間近なご老人ですが、今の感覚では54歳なんてまだまだ現役真っ盛り。キャリアの階段をさらに駆け上っていくべき年齢です。定年など気にせずさらに頑張れるわけですから、いい時代になったといえるでしょう。