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クレジットカードを支えるプロセシング業務とは

本格的なキャッシュレス時代を迎え、現金を使わない決済手段もずいぶんと多様化してきました。特に交通系やペイ系の電子マネーが脚光を浴びています。しかし日本のキャッシュレス決済で圧倒的に多いのは、クレジットカードを使った決済。社会人ともなれば財布に数枚のクレジットカードを収めている人も珍しくありません。そのクレジットカードの便利さを支えているのがプロセシング業務です。

「ツケ払い」は日本におなじみの文化

クレジットカードといえば、定期券サイズのプラスチックのカードがおなじみです。ところがクレディセゾンが発表したのは、カードのないクレジットカード。どういうことかというと、クレジットカードの入会から決済まで、すべてスマートフォンで完結させるというサービスです。

スマホ決済に慣れた若年層の取り込みを狙うとともに、カード表面の会員番号などをのぞき見されて不正利用されるリスクを防ぐという狙いもあるようです。

クレジットカードのバーチャル化とも言えるこのサービス。どうやら日本のクレジットカードはさらに進化を続けそうです。

クレジットカードが誕生したのは1950年代のアメリカ。「現金が手元になくても食事ができる」という点がセールスポイントでした。食事をする人=ダイナーということで、こうして誕生したダイナーズクラブが世界で最初のクレジットカードとなり、それが日本にも広がりました。

そもそも日本には昔からクレジットカードに似た仕組みはありました。それが「ツケ払い」です。特に「月賦」は高額な買い物を現金一括払いではなくて月々で分割して購入するという仕組みで、江戸時代には既に定着していたようです。 クレジットカードが日本に普及した背景には、こうした日本独自の習慣もあったのでしょう。

クレジットカードを支える3つの仕事

クレジットカードを使うと、商品はその場で手に入れることができ、支払いは後日となります。まさに「ツケ払い」そのものです。利用者は欲しいものをすぐに手に入れることができるというメリットがあり、お店には販売機会を逃さずにすむというメリットがあります。

そのメリットを得る代価として、利用者は金利などを上乗せして払い、お店は手数料を払うという仕組みです。

この仕組みが成立するためにクレジットカード会社が行っているのが「イシュイング」「アクワイアリング」「プロセシング」の3つの仕事です。それぞれをご紹介しましょう。

◆イシュイング

カードの発行を行うことです。英語のIssue(発行する)から生まれた言葉です。クレジットカードを発行する企業のことはイシュアーと呼ばれます。


◆アクワイアリング

クレジットカードの利用できる加盟店を開拓したり、加盟店を管理したりする業務のことです。アクワイアリングによって加盟店が増えれば増えるほど手数料収入が増えますから、収益を左右する重要な業務です。


◆プロセシング

会員管理や加盟店管理に関する業務を総称してプロセシングと呼びます。例えばカード利用者からの問い合わせへの対応などもプロセシングの業務に含まれます。 クレジットカードのビジネスにはこの「イシュイング」「アクワイアリング」「プロセシング」の3つの業務が不可欠となります。


最近ではカード会社がコスト削減のためにプロセシング業務を外注化することが多くなっていますが、実は注目したいのがこのプロセシング業務なのです。というのも、プロセシング業務こそ今後の成長余地の大きいビジネスと考えられ、専業で取り組む企業も誕生しているからです。

特に米国ではプロセシング業務のアウトソーシングは早くから定着しており、その受け皿となっているのがサード・パーティー・プロセッサーと呼ばれる専門業者です。

大きなポテンシャルを持つプロセシング業務

プロセシング業務は決済や顧客管理、コールセンター運営など多岐にわたります。直接的に利益を生む業務ではないためにカード会社にとってはノンコア業務と位置づけられ、アウトソーシングの対象になりやすいのです。

プロセシング業務を行うためにはITシステムの活用が不可欠であり、運用には高度なノウハウが必要となります。そうした環境を構築できたプロセシング専門事業者は多くのカード会社や金融機関からプロセシング事業を請け負うことでビジネスを拡大させています。

QR決済などのキャッシュレスが急速に進む現在、プロセシング業務へのニーズも高まる一方で、ビジネスチャンスは拡大する一方です。サード・パーティー・プロセッサーはもちろんのこと、クレジットカード会社自身がプロセシング事業の請負に力を入れるなど、市場は大きく広がっています。金融 × ITを代表する領域の一つとして、プロセシングは将来性の高いビジネスなのです。

まとめ

キャッシュレス決済の代表的な手段であるクレジットカード。「ツケ払い」文化のある日本では早くから浸透してきました。クレジットカードの仕組みを支える機能として重要なのがプロセシングですが、最近ではプロセシング業務を専門に請け負うプレーヤーが増え、そのビジネス領域が拡大しています。その将来性には注目したいところです。

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