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注目記事2020.01.15

ステーブルコインが与えるインパクト

一時期非常に盛り上がったのに、急速にしぼんでしまって一過性の“ブーム”として終わったかのようにみられている仮想通貨。その一方で注目されているのが、仮想通貨にはない強みを持っているとされるステーブルコインです。特徴や将来性などについて、考えてみましょう。

仮想通貨は投機の対象?

仮想通貨が世界的なブームとなったのは2017年のことでした。2018年にはブームもピークに達し、仮想通貨投資によって資産総額が1億円を超えた人が“億り人”と呼ばれるなど、まさにバブルと呼ぶしかない盛り上がりとなりました。その後、ブームはいったん収束。2019年には再び仮想通貨の価格が上昇し、ブームの再来かと思われましたが、期待したほどの盛り上がりとはなりませんでした。

仮想通貨ブームが去った大きな理由の一つが相次ぐ不祥事でした。仮想通貨交換業者のシステムの不備を突かれて外部からの不正アクセスがあり、わずか数時間のうちに巨額の流出が起きてしまったのです。これによって「仮想通貨は危険」というイメージが広がりました。

新しいテクノロジーの誕生・普及には負の側面に目をつぶることもある程度はやむなしでしょう。しかし、瞬時にして巨額の資産が流出するという事態に金融庁も業務改善命令などを通じて介入せざるを得ませんでした。

それでも、仮想通貨は一攫千金を狙う投機対象=危険というイメージを拭い去ることはできず、世の中の不信の目の中、今では停滞気味となっています。

安定性が最大の強み

仮想通貨が圧倒的な支持を受けたのは、ブロックチェーンによって「改ざん不可能」「中央集権的ではない」といった側面が評価されたためでした。その一方で、ボラティリティの高さがデメリットとされました。それゆえに生じる不安定さが、人々の不信につながっているのです。

ボラティリティとは「価格変動の幅」のことをいい、「ボラティリティが大きい」という場合は「価格が乱高下する」ことを意味します。当然、ボラティリティが大きいとハイリスク・ハイリターンとなり、投機的な側面が強くなるわけです。

ボラティリティのこうした弱点を補った、つまり価格変動がない仮想通貨もあります。それがステーブルコインです。ステーブルコインのステーブル(stable)とは「安定した」「変動しない」「着実な」という意味です。別名「ペッグ通貨」とも呼ばれますが、ペッグには「釘を打って安定させる」という意味があり、キャンプでテントを張る際にペグを地面に打ち付けて安定させるように、米ドルのような法定通貨と同等の価値を維持する通貨のことを指します。

ステーブルコインには価格変動による損失リスクがないため、不安なく使うことができます。一方で、国や政府などの中央管理者がいないために低コストでスピーディーな取引ができるという仮想通貨ならではのメリットもあります。

こうしたことから仮想通貨に代わってステーブルコインが注目されるようになりました。日常生活での買い物など実生活でも使いやすいのはステーブルコインとされています。

例えばお年玉を仮想通貨でもらったら、価格変動が大きいため翌日には暴落してしまうかもしれません。しかし、ステーブルコインならばそんな心配はありませんから、安心して貯めておくことができます。もちろん投機目的ならば大きな変動があってもいい、つまりボラティリティが大きい方がいいわけですが、実生活で使うには安定性こそが大切なのです。

将来に大きな期待

とはいえ、現時点で日本ではステーブルコインは仮想通貨に該当しないというのが金融庁の解釈です。今のところは通貨というより“商品券”のようなイメージといえるでしょう。

一方で、国際的な連携のもとで日本がステーブルコイン開発をリードすべきとの見方が強くなり、もっと前のめりに取り組むべきではという空気が出てきました。

例えばGMOインターネットでは日本円と連動したステーブルコイン「GYEN」を2020年上半期に提供することを発表しました。日本円と連動するということで円ペッグ通貨となります。

また、エクスコインとエクスチェンジャーズも今後はステーブルコインの利用が広がるとの見通しのもと、ステーブルコイン「xcoin」の発行を発表しました。既に京都のスタートアップ企業、LCNEMは日本円連動のステーブルコインを発行しています。

ステーブルコインが流通するようになると、マネーロンダリングに利用されるのではないかという懸念もあります。しかし、決済や送金の利便性が高いことから、一気に普及が広がっていく可能性も秘めています。今後の動きには注目したいところです。

まとめ

実生活でも安心して使えるということで注目されるステーブルコイン。これまで仮想通貨に対しては投機的なイメージが強く、利用をためらう人がほとんどでしたが、ステーブルコインは価格変動がないために安心して使えるという点が大きなメリットです。いずれ本格的に普及していくかもしれません。