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注目記事2020.01.08

金融事務の魅力と、広がる活躍の場

金融業界の中でも特に人気の高い職種をご存知ですか? それは、金融事務です。ただ、「普通の事務とどこが違うの?」「経理や総務のことじゃないの?」という疑問をもたれる方が多いのも事実。わかったようでわからないというのも、金融事務という仕事の一面のようです。

金融業界の事務のスペシャリスト

金融事務とは、文字通り銀行・証券会社・保険会社など金融業界の事務を担当する仕事です。

銀行ならば、口座開設や預金受付、入出金処理、振込処理、照合、為替業務などの業務を担当します。証券会社ならば、証券口座管理業務、決算データ入力業務、トレーダーやアナリストのアシスタント業務などがあります。保険会社ならば、見積書・申込書の作成、契約内容のチェック、事故の受付、保険金の支払業務などを行います。

金融業界に限ったことではありませんが、銀行・証券会社・保険会社いずれの場合も、金融事務には正確さと迅速さが求められます。“お金”という重要なものに携わるわけですから間違いは絶対にあってはならず、ミスは許されません。だからといって時間がかかってもいいわけではなく、スピードも要求されます。

また、金融関連の知識も当然必要であり、時には窓口常務に携わることもあるため、コミュニケーション力やビジネスマナーも求められます。

“事務”という響きからパソコンに向かって黙々と業務をこなしていればいいというイメージをもつ方もいらっしゃるかもしれませんが、営業担当者との連携やチームワークが必要であるため、想像以上に人と関わることが多い仕事でもあります。

こうしたことから金融事務としての高いスキルを身につけておくと活躍の幅は大きく広がります。結婚や出産、介護などで仕事を離れても復帰しやすく、一生の仕事として活躍できます。金融事務の人気が高いのはこのあたりにも理由があるようです。

アウトソーシング企業で活躍する

金融事務に特化したアウトソーシングサービスを専門とする企業も活躍の場となります。いわば金融事務の外注先であり、これらの企業はBPO(Business Process Outsourcing)の専門家として高い評価を得ています。

当然、金融機関に所属せず、最初からこれらBPO企業に就職して金融事務のスペシャリストを目指すという働き方もあります。

金融業界には幅広い領域に複雑な規制が適用されています。規制産業の代表格といってもいいでしょう。特にIT化や異業種参入といった大きな変革の波が押し寄せている今、そうした規制も大きく揺らいでおり、様々な制度改正が常に行われています。

金融企業がそれらの規制変更に対応していくのは当然ですが、多岐にわたる事務作業も制度改正に対応していくのはかなり大変なことです。そこで金融事務のスペシャリスト集団であるBPO企業に一任することで自身の負荷を軽くしています。

例えば各種の申し込み手続きは、従来は書面でのやりとりが普通でした。しかし今ではパソコンやスマホを介して、ネット経由で行われることが珍しくありません。もちろん紙での申し込みもありますから、Webと紙の両方を正しく迅速に取り扱う必要があります。こうした変化は金融機関の事務作業を煩雑にし、顧客情報管理を複雑にしました。

これらの問題に対応するのがBPO企業です。単に事務作業の代行というだけでなく、金融機関に対して大きなソリューションを提供していることになり、存在意義が高まっているのも当然でしょう。

RPA時代の金融事務のあり方

高い専門性によるやりがいと安定性が魅力の金融事務ですが、一方で事務の自動化という大きなテーマが立ち塞がっているのも事実です。

金融業界では以前から事務の合理化・効率化には積極的でしたが、現在増えているのがRPAの導入に踏み切るケースです。RPAとはRobotic Process Automation、つまりAIやロボットを活用した自動化の仕組みのことです。

RPAに適しているのは、難しくはないが大量に処理しなくてはならない作業や、人間が行うとミスをしやすい作業と言われています。逆に言えば、膨大な繰り返し作業をミスなく行うことはRPAの得意技。金融機関での入出金処理業務や、口座開設などの手続き業務などはその典型ということになります。

例えば口座開設で多いのが、顧客が手書きした用紙を金融事務の担当者が読み取って、名前や住所などをシステムに転記するという作業です。一つひとつの作業は簡単ですが、膨大なボリュームになるとミスが発生しやすくなり、同時に絶対に過ちが許されないために何度も確認が必要という煩わしさがあります。こうした作業こそRPAの出番というわけです。

今後、金融事務に携わるスペシャリストたちは、むしろRPAをどう使いこなして付加価値の高い作業を提供していくかという方向に仕事の進め方を変えざるを得ないでしょう。より高い専門性が求められるようになっていくと考えられます。

まとめ

高い専門性が必要とされる金融事務は生涯活躍できる専門職として人気があります。金融機関での活躍のほか、BPO企業で力を発揮するという道もあります。今後はRPAをどのように活用していくかが課題となり、さらなる専門性が求められていくでしょう。