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注目記事2019.12.25

公認会計士と金融業界

公認会計士という仕事について、皆さんはどんなイメージをお持ちですか? 

公認会計士に対してしばしば使われる表現が「市場の番人」。企業の会計に不正がないか目を光らせ、資本市場の健全性を保つことが公認会計士のミッションだからです。

一般的に弁護士・医者と並ぶ「三大国家資格」の一つとされているほど社会的ステータスが高いのが公認会計士。実は金融業界とも非常に親和性の高いことが特徴です。

必要とされるスキルが共通している

公認会計士の重要な仕事が監査です。

これは簡単に言えば、企業の会計処理に間違いがないかを調べ、ミスがあれば指摘し修正してもらうという業務です。時には悪意のある会計処理が行われることもあるため、厳しい目で不正を見抜くことが要求されます。

監査の際、公認会計士は財務諸表を読み解くことから始めます。実は銀行においてもこれは同様で、特に融資を行う際には相手先の企業の財務諸表をよく確認し、経営状態を正しく判断することが不可欠です。

また、銀行や投資銀行、証券会社などでは投資業務やM&Aに力を入れていますが、その際には企業価値を評価する「バリュエーション」や、企業の財務状況を精査する「デューデリジェンス」という業務が必須です。この際も公認会計士が持っているのと同様のスキル、知識が必要とされます。

さらに、公認会計士は監査に際して企業の事業内容や業界動向、産業構造、国の制度などを理解しておく必要があります。これもやはり銀行員が融資業務を行う際に必要とされる力です。

このように公認会計士の仕事に必要なスキルは金融機関の仕事で必要とされるスキルと共通する点が多く、両者の親和性は非常に高いと言えるのです。そのため公認会計士の資格を持っている人材を積極的に採用する金融機関が多いほか、公認会計士として数年活躍した後に金融機関に転職する人材も少なくありません。

企業活動がグローバル化、複雑化する中において、非常に高いレベルの会計知識が求められるようになってきたことから、こうした傾向には今後さらに拍車がかかると見られています。

正義感こそが最大のモチベーション

さて、公認会計士のやりがいとは何でしょうか。

実は、これが案外難しい答えなのです。というのも、前述したように公認会計士の最も重要な仕事である監査は、企業の会計処理を確認すること、つまり“間違い探し”のような側面があるからです。

企業の経理担当者の立場からすれば、いくら専門家とはいえ公認会計士という“外部の人間”からミスを指摘されるのですから気分のいい話ではありません。それが原因で上司から叱責されることもあります。そのため監査の業務において公認会計士は、あまり感謝されることはなく、場合によっては恨まれる可能性すらあるのです。

また、膨大な量の文書を作成することも公認会計士の仕事の特徴です。なぜ文書が必要かというと、近年、大企業による不正会計が頻発していることから、公認会計士としては「ちゃんと会計監査を行った」という説明をしておかなければ、「不正を見抜けなかった会計士が悪い」と責められることになりかねないからです。そのためあらゆる作業について、どのような監査をしたのか、しっかり文書を残さなくてはならないわけです。いわば自己防衛ですね。

このように公認会計士の仕事には非常に大変な面が多いのですが、それでも監査業務に取り組むモチベーションは、ひとえに“市場を守り、国民経済の健全な発展に貢献する”という使命感に尽きます。いわば強い正義感が公認会計士を支えていると言っていいでしょう。

それに加えて、高い専門性を身につけることができる、多くの企業の監査を経験することで様々なビジネスの仕組みを学べる、相手のミスを指摘し訂正させるという難しい経験を通じてコミュニケーションスキルを磨くことができる、という魅力もあります。これらは、いわば自己成長の魅力ということになります。

いうまでもなくこうした能力は金融業界でも高く評価されるため、公認会計士から金融業界への転職は歓迎されるのです。

キャリアプランの選択肢が広がる

そんな公認会計士ですが、実は現在、深刻な人手不足に直面しています。大きな理由が膨大な仕事量に伴うハードワークさです。

一つには、今もご紹介したように不正会計・不適切会計の増加に伴って文書作成量が増えたり、一つひとつの作業に今まで以上の精緻さを求められるようになったりしたためです。もう一つが、起業ブームの中で株式の公開を目指す企業が増え、その対応に多くの人手が必要となったことです。

こうした忙しさを嫌って、監査法人を退職する公認会計士が増えており、それがさらに忙しさに拍車をかけているというのが今の状況です。

これを逆に考えると、かつては花形職種とされて狭き門と言われていた公認会計士へのハードルが下がったことになります。これから公認会計士を目指そうという方には大きな追い風が吹いていると言えるでしょう。

さらには公認会計士としてのスキル、経験を積んだ人材が金融業界で高く評価されることから、まずは公認会計士として自分を磨き、その後は金融業界に転じて成功を目指す、というキャリアビジョンを描くことも可能です。こうした選択肢を考えてみるのもいいことでしょう。

まとめ

公認会計士は社会的なステータスも高く、いわゆる“士業”の代表的な存在です。金融業界との親和性が想像以上に高いことも特徴の一つです。そのため公認会計士から金融業界に転職するケースも増えており、キャリアプランの一つとして考えてみるのもいいかもしれません。