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注目記事2019.11.13

金融開放が進む中国 ~ その背景は?

アメリカがくしゃみをすると日本が風邪を引くと言われていた時代もありました。今やそれははるか過去のこと。現代では、中国がくしゃみをすれば、日本どころか欧州が風邪を引く、あるいは“世界が風邪を引く”とさえ言われるようになりました。

今や中国のGDPが世界に占める割合は約15%にも達し、存在感は高まる一方です。その中国が金融市場の開放を促進する動きを見せ、世界中から注目されています。

外資参入がますます容易に

今年の夏、中国政府は金融分野への外資参入に関する規制緩和を前倒し実施する方針を明らかにしました。これまで外資系企業による生保や証券への出資比率は51%までとなっていましたが、これを2020年までに100%まで認める方針です。

中国では2021年までに出資規制そのものを撤廃する方針を明らかにしていましたが、米国などから「なぜ3年もかかるのか」と前倒しを求められていて、それに応える格好での発表となりました。

これまで中国では、銀行については外資が全額出資できましたが、証券や保険は中国企業との合弁でなければなりませんでした。

こうした前倒しの追い風を受け、みずほフィナンシャルグループが中国での証券会社設立を検討するなど、日本の金融業界にも新たな事業展開のチャンスが訪れそうです。

健全な競争が生まれる

長引く米中摩擦などによって中国経済が減速しているのは明らかです。とはいえ、その市場は依然として巨大。日本と同様にこれからの中国では少子高齢化がさらに進み、資産運用へのニーズは高まるとみられています。

中国では製造業の開放は進んできましたが、金融についての開放は動きが鈍かったのも事実です。そのため外資系金融機関の中国への進出はなかなか進みませんでした。中国の金融機関にとってそれは競争相手が排除されることにつながったわけですが、結果的に成長や変革の道を閉ざすことにつながり、国際的な競争力の欠如という結果をもたらしてしまったのです。

過度な保護策が、産業の発展を阻むことは金融業に限ったことではありません。正しい成長を促すには健全な競争環境が重要な役割を果たします。

こうしたことへの反省から、中国では2010年代半ば頃から段階的に金融市場の開放を進めました。

もちろん米中の貿易摩擦を背景に経済成長が鈍化したことを受けて、海外から資本を引き入れる重要性が高まったことも、もう一方の背景としてあげられます。

いずれにせよ中国の金融開放は大きなインパクトを与えています。既にJPモルガンやゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなど世界的な大手金融機関が中国事業の強化に乗り出しています。

海外で活躍する金融人材として

昔に比べ金融機関の海外進出の機会は格段に増え、それに伴って海外で活躍する人材も大幅に増えました。

一因として国内産業が成熟化し、新たなビジネスチャンスを求めて海外に進出する企業が増え、それに伴って現地法人設立などの際に金融のプロの知見が必要とされることから、一緒に海外に出て活躍するケースが増えているのです。

中国の金融開放が今後さらに加速し、中国市場への海外金融資本の参入が今まで以上に熱を帯びてくれば、中国で活躍する人材がさらに求められるようになるでしょう。

最近、若い世代の“内向き志向”が指摘されますが、これから社会に飛び出していく皆さんには、ぜひ海外での活躍も視野に入れていただければと思います。

まとめ

経済成長の減速がはっきりしたとはいえ、中国はまだまだ巨大市場。GDPの1年間の増加額だけでもインドネシア一国に相当するほどです。

これまで中国は金融市場の開放に対して消極的でしたが、ここへ来ていよいよ本格的な開放に踏み切る動きが顕著に。日本も含め、海外の金融系企業にとって大きなビジネスチャンスが訪れようしています。

これから金融業界で活躍されることになる皆さんも、ぜひこの追い風のもと、海外での活躍にチャレンジしてみてはいかがでしょう。