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注目記事2019.11.06

東京は国際金融都市を目指す

国際金融都市と聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべますか?

ニューヨークやロンドンを思い浮かべる人が多いのではないかと思います。残念ながら真っ先に「東京!」と答える人は少数派でしょう。実は、こうした状況を変えようと、東京は「国際金融都市・東京」の実現に向けて本気で取り組んでいます。

ニューヨーク、ロンドンに大きく離される東京

国際金融都市とは、グローバルな金融機関が拠点を構えたり、株式や為替など世界の金融・資本市場の中心となる取引所が所在する都市のことです。

ニューヨークやロンドンは歴史的に株式・為替取引が多いことからも、その代表格といえます。最近では香港やシンガポールも存在感を高め、国際金融都市の仲間入りをしています。



国際金融都市は国際金融センターとも呼ばれ、その基準の一つとされているのが、イギリスのシンクタンクが発表する「世界金融センター指数」です。これは世界の100以上の都市・地域を対象に、金融センターとしての国際競争力を測るものです。

2019年9月に発表された最新版では1位がニューヨークで2位がロンドン。3位に香港、4位にシンガポール、5位上海とアジアが続いて、東京はその次の6位となっています。

やはりニューヨーク、ロンドンの2大都市は国際金融都市の不動のツートップ。イメージ通りの実力のようです。

それを追いかけるのがアジア勢で、中でも上海は2018年に東京の順位を追い抜き、上位勢に迫る勢いを見せています。中国のメディアは「国際社会が上海を国際金融センターとして認めるようになった」と分析。胸を張っています。

この中では、東京はツートップの“控え”のようなポジションというイメージです。

政治の安定性はあまり関係ない?

東京の国際金融都市を目指す動きの前に、他の都市についてちょっと見てみましょう。

「国際金融センター指数」ランキングの興味深いところは政治的な国情があまり反映されない点で、例えば市民デモが続く香港は政治情勢が揺れ動いていますが、3位という国際金融センターとしての地位は安泰です。また、ブレグジットを巡って揺れ続けているイギリスにおいてもロンドンは国際金融センターとして世界第2位の位置を堅持しています。

香港やロンドンを見ると、いったんその地位を築くと簡単には揺らぐものではないといえそうです。その意味で上海の躍進は特筆すべきところでしょう。

日本の場合、国情の安定性という点ではまったく問題はないのに、ランキングでは上海に抜かれて6位ということは、政治以外の環境、特にビジネス面での環境があまり高く評価されていないということがうかがえます。

興味深いのが韓国で、ソウルの「国際金融センター指数」のランキングはなんと36位。これは、韓国がソウルと釜山の両方を金融都市として発展させようとしたために力が分散してしまった結果とみられています。

国際金融都市としての地位を取り戻せ

2017年11月、東京都はアジアナンバーワンの国際金融都市としての地位を取り戻すために、「国際金融都市・東京」構想をまとめました。

ここでは、①魅力的なビジネス面、生活面の環境整備 ②東京市場に参加するプレーヤーの育成 ③金融による社会的課題解決への貢献、という3つの取り組みを中心に進められることが発表されました。

この一環として2019年4月には、官民連携で各種プロモーションを展開する組織「一般社団法人東京国際金融機構」(通称:FinCity.Tokyo)が設立されました。この機構にはメガバンクや大手証券会社、金融関連業界団体のほか、東京都も正会員として参加しています。

東京国際金融機構では、世界に向けて金融都市としての東京の姿を発信すること、国際的な金融機関などが日本に参加しやすいよう支援すること、東京の金融エコシステムをアップグレードすることなどを通じて、国際金融都市を目指して東京を海外にアピールしていきます。

東京がアジアでナンバーワンの金融センターとなり、ニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際金融都市となるのは、決して容易なことではありません。しかし、このまま香港、シンガポール、上海に水をあけられっぱなしでいいはずもありません。同機構のこれからに注目したいところです。

まとめ

既に東京都は金融庁などと協力して海外金融機関の誘致に力を入れています。また、「国際金融都市・東京」構想では、金融機関人材の育成が具体的な取り組みとして挙げられています。

国際金融都市を目指すこれからの東京で、金融人材の活躍する舞台は大きく広がっていくと期待されます。