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注目記事2019.08.28

金融業界でフリーランスとして活躍する

フリーランスやノマドワーカーと呼ばれる働き方を選ぶ人が増えてきました。スキルを磨き、自分の腕一本で生きていくというイメージが強く、憧れる方も多いことでしょう。

一方で、金融業界といえば組織中心の世界。なにごとも組織単位で動くイメージがあり、フリーランスやノマドワーカーとは相容れないニュアンスもあります。しかし、実際はそんなことはなく、金融系のフリーランスとして活躍するスペシャリストも多くいます。

20人に1人がフリーランス

多様で柔軟な働き方の一つとされるフリーランス。その名前の由来は、中世イタリアやフランスの傭兵部隊にあるそうです。

報酬に納得すれば、どの君主のためにも闘う兵が「フリー・ランス」、つまり「自由な槍」と呼ばれ、それが特定の組織に雇われずに様々なプロジェクトを渡り歩いて自らのサービスを売る職業の人のことをさすようになったそうです。

では、日本にはどのくらいの数のフリーランスがいるのでしょうか。

実は日本にはフリーランスを直接の調査対象とする統計は存在しないようで、2019年7月に内閣府がアンケート調査を通じて推計した人数が唯一の公的なデータとされています。

それによるとフリーランスとして働く人の数は、推計で306万人から341万人とのこと。これは国内の就業者全体の約5%に相当する数字だそうで、ざっくり言って働く人の20人に1人がフリーランスということになります。

もっとも、ここには副業でフリーランスとして働いている人も含まれており、本業がフリーランスという場合に限れば人数は228万人。就業者全体の約3%です。

これは米国の6.9%に比べれば半分以下の数字ですから、やはり日本ではフリーランスはかなり少数派ということになりそうです。

例えばこんな金融フリーランス

現状、フリーランスは少数派とはいえ、「働き方改革」が日本経済の最大のチャレンジと位置づけられている中、今後は今まで以上に多様な働き方が推奨され、副業の解禁も進むことから、組織に頼らずに生きていく人は増えていくと見られています。

では、金融業界の中ではどうでしょうか。フリーランスと聞くとクリエイティブな仕事というイメージが強いため、金融業界ではなかなか想像しづらいかもしれませんが、いないわけではありません。例えば独立FP(ファイナンシャルプランナー)はその代表です。

FPとは、簡単に言えばお金にまつわる専門知識をもとに人々の相談に乗る仕事です。銀行や保険会社、証券会社などに属して、顧客に対してアドバイスを行う業務に就いているケースが一般的ですが、独立して自分で顧客を開拓し、フリーランスとして活躍している人もいます。

最近では例の「老後2000万円問題」をきっかけに貯蓄にまつわる関心が高まっていることからFPの活躍する場は増えており、顧客へのアドバイス業務だけでなく、講演会やセミナーなどの講師としてのニーズも高まっています。人気が出れば、書籍を出版することもあります。

また、以前もこの欄でご紹介しましたが、IFA(Independent Financial Advisor=独立系金融アドバイザー)として活躍する道もあります。IFAとは、特定の金融機関には所属せず、独立・中立の立場で顧客の資産運用のサポートを行うプロフェッショナル。料理にぴったりのワインをすすめてくれるソムリエのような存在ということで、“金融商品のソムリエ”といわれることもあります。

さらに、フリーランスを自営業者というニュアンスまで広げれば、保険の代理店として独立する道もあります。この場合は「フリーランス=社長」というわけで、複数の会社の保険の販売をしながら組織を大きくしていくことも可能です。

まずは基礎をしっかり磨く

このように組織の強い業界というイメージの金融業界でも、フリーランスとして生きていく道がないわけではありません。

ちょっと変わったところでは金融業界に特化したフリーのSE(システムエンジニア)として活躍しているケースもあります。

金融のシステム開発には、複雑な金融の仕組みや業界用語などに精通している必要があり、ITのスキルを武器にしつつ、そうした金融業界の知識を活かすことで、いくつものプロジェクトを渡り歩くのがフリーの金融SE。まさにプロフェッショナルといえるでしょう。

もちろんFPであれ、IFAであれ、SEであれ、実際にフリーランスとして独立して成功するには、相応のキャリアや人脈、社会的信用が必須なのはいうまでもありません。

例えば、老後の生活に向けて大切な資金の運用を相談するときに、社会人経験の浅いFPがアドバイザーとして選ばれる可能性は低いわけです。まずは組織の中でしっかり金融のプロとしての基礎を磨き、その上で独立のタイミングを待つのがいいでしょう。

まとめ

「働き方改革」を追い風に、これからの社会ではフリーランスとして活躍する人はますます増えていくことでしょう。若いときは組織の中でしっかり自分の「槍=武器」を磨き、満を持して独立して成功を手に入れるという生き方も、決して夢物語ではありません。大きなビジョンのもと、そうした長期的な視点で人生を描くのはとても大切なことです。