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注目記事2019.5.29

“遺言”を巡る新しいムーブメント

これから社会に出ようかという若い皆さんにとってはピンとこない話題かもしれませんが、実は日本は今「多死社会」の時代を迎えています。既に2005年には死亡数が出生数を上回っており、毎年120万人から130万人ほどが亡くなっています。

こうした状況の中で注目されているのが“遺言”の存在。普段の生活の中ではあまりなじみがなく、ミステリーやドラマの中だけの存在のように思われがちですが、実はこれから金融業界を目指そうとする皆さんにとっても“遺言”は要チェックです。

増えている「遺言代用信託」

ドラマや映画などでよく目にするのが、お金持ちの親が亡くなって、遺された子供たちが醜い相続争いを繰り広げるシーン。お約束の展開ですが、遺言状を前にして受け取るお金を争う場面は大いに盛り上がります。

遺言(法律上は“いごん”と言います)は、自分の死後に生じる財産の処分等について、あらかじめ意思表示をしておく文書です。自分の意思で財産を配分するための、唯一の手段といっていいでしょう。

ただ、しっかりとした遺言があっても、実際に財産が家族等に配分されるまでには手続きにある程度の期間が必要です。この手続きを経ないと、亡くなった人の銀行口座からお金を引き出そうと思っても簡単にはできません。そこで最近利用が増えているのが「遺言代用信託」という仕組みです。

信託銀行がサービスを提供

「遺言代用信託」とは、信託銀行などに財産の管理や運用を委託し、自分が亡くなった後でも家族などがスムーズに財産を引き継ぐことができるようにする仕組み。例えば「自分が亡くなったらお葬式の費用として長男の口座に300万円を振り込むこと」といったように指定しておけば、依頼された信託銀行などはすぐにその手続きを行うので、遺された人も不便を感じないわけです。

さらに、年金のように定期的に一定額を渡すようにもできるので、例えば遺された配偶者の生活のために毎月お金が振り込まれるようにする、といったことも可能です。ドラマ等によくある、莫大な遺産を相続して生活がすさんでしまった、などというような心配も不要になるわけです。

この「遺言代用信託」を利用する件数は年々増えており、信託協会の調べによると、新規受託件数は2009年には13件だったのが2012年以降急増し、2016年には15万件近くにも達して、2017年には上半期だけで15万件を突破しています。

そして、件数が増えるに従って、ビジネスとしての可能性にも着目されるようになり、最近は信託銀行だけでなく地方銀行も力を入れるようになりました。その背景には何があるのでしょうか。

顧客のつなぎ止めに期待

「金の切れ目が縁の切れ目」ということわざを聞いたことがあるでしょう。“お金があるうちは仲良くしてもらったが、お金がなくなったら手のひらを返すように冷たくされた”というような意味で使われています。実は「多死社会」とは、まさに「金の切れ目が縁の切れ目」の社会でもあるのです。

つまり金融機関と長く付き合ってきた高齢者が亡くなるということは、得意先を一つ失うということであり、「多死社会」とは金融機関にとってみれば自分自身の死活問題につながりかねないともいえるのです。

そこで、そうした優良顧客のつなぎ止めに力を発揮すると期待されているのが「遺言代用信託」。相続が発生すれば、遺された家族は遺産を相続するために同じ金融機関に受取口座を用意しなくてはならず、それが“親から子へ”“相続人から被相続人へ”と自然な形でのバトンタッチにつながるわけです。

この点に着目したのが、地方人口の減少による収益減という逆風にさらされている地方銀行です。資金流出の食い止めに「遺言代用信託」が有効ではないかとの考えで、信託銀行と提携して「遺言代用信託」の取り扱いを始めるケースが出てきました。

実は「遺言代用信託」を行うには信託免許を持っていなくてはならず、地方銀行で信託免許を持っているのはごく一握り。そのため信託銀行と提携することで地方銀行は「遺言代用信託」の取り扱いを始めることになります。信託銀行にとっては取り扱い件数の増加につながり、地銀にとっては顧客の口座を手元に置いたまま、新しい顧客サービスを提供できるというわけで、Win・Winの関係が生まれています。

まとめ

「多死社会」だからこそ生まれてきた新しいビジネスチャンスは数多くありますが「遺言代用信託」もその一つです。取扱件数は急増中で、業界としても今後さらに力を入れていくことになりそうです。

地域社会と家族ぐるみの付き合いを得意とする地方銀行にとっても有望な商品といえるのではないでしょうか。

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