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注目記事2019.03.06

いよいよ本番? キャッシュレス経済

今や“キャッシュレス経済”は、すっかりおなじみの言葉となりました。メディアに関連ニュースが登場しない日はなく、2020年に向けて訪日外国人がさらに増えていくと予想されることから「2019年はキャッシュレス元年」とも言われています。

お年玉やご祝儀もキャッシュレスに

日本はキャッシュレス化の波に乗り遅れている──。最近よく耳にする指摘です。

確かに中国や韓国をはじめとしてアジア各国ではキャッシュレス化が加速しており、例えばシンガポールでは屋台の支払いもキャッシュレス化が進んでいます。そのシンガポールでは最近、最大手の銀行が「お年玉もQRコードで」と提案。大きな話題となりました。

シンガポールでは旧正月に「紅包(アンパオ)」と呼ばれるお年玉を配る習慣がありますが、提案されたのは現金のかわりにQRコードを袋に入れて手渡そうという仕組みです。「紅包」に古いお札を使うのは縁起が悪いとされていることから、旧正月前には新札への両替を希望する客が行列をつくります。そうした煩わしさをなくすためにQRコードの利用を銀行自身が提案しているわけです。

お年玉の袋を開けてみたらQRコードだったというのはちょっと味気ないかもしれませんが、それも一時のこと。無駄な手間が省けるということで、今後普及しそうです。

新札を用意する手間を省くという意味では、日本の場合、結婚式のご祝儀などもいずれQRコードに変わっていくかもしれません。

ちなみに、すでに中国では結婚式のご祝儀にQRコードを使用する例が増えており、日本でもパーティーの会費などを事前に支払うためのアプリが登場し、結婚式のご祝儀にも使えるのではないかと注目されています。冠婚葬祭のキャッシュレス化は、案外早く浸透する可能性があります。

高齢者にも広がる

さて、キャッシュレス経済と聞くと、新しいテクノロジーやトレンドに敏感な若い層が中心というイメージがありますが、実は高齢者の間で急速に浸透しているというデータが発表されました。

総務省の統計によると、70歳代以上の電子マネー平均利用額は直近5年間で87%も増え、全世代の平均伸び率を大きく上回っていることがわかったのです。多くの電子マネーは一度に入金できる上限が設定されているため、現金を下ろして持ち歩くよりも安心というメリットが高く評価されているとみられます。

また「年を取ると指先での細かな動きがしづらくなる」という高齢者ならではの事情から、レジの前で現金を数えなくて済む電子マネーの便利さが支持されているという面もあるようです。


「高齢者は現金へのこだわりが強い」「キャッシュレス経済に不慣れ」というのが従来の見方でしたが、実際はまったく逆。抵抗なく受け入れていることがわかります。

スマホを使ったQR決済などはまだこれからですが、電子マネーへの抵抗がないことをみると、QR決済も案外早く広がっていくかもしれません。

店舗もメガバンクも対応に加速

キャッシュレス経済普及のカギを握るとされているのが、利用者というよりも受け取る側、つまり店舗です。特に地方の中小の店舗ではキャッシュレス化への対応が遅れています。キャッシュレス決済には専用の端末が必要となり、その導入コストが中小店舗にとってかなりの重荷となっているのです。

そこで店舗側の負担を減らそうという動きも目立っており、既存のレジを応用するだけで対応できるようにしたり、タブレットやスマホをレジ代わりに使うシステムを提供したり、複数の決済手段に一台で対応できる端末を開発したりと、きめ細かなサポートが誕生しています。

さらにメガバンクの一角を占めるみずほ銀行が、QR コードを活用したスマホ決済サービス「J-Coin Pay(ジェイ コイン ペイ)」の提供をこの3月からスタート。約60の金融機関と提携し、いつでも・どこでも使える新しいプラットフォームを目指し、将来的には法人間の決済にも使えるサービスも検討していくとのことです。

「スマホの上にATMを載せたようなもの」とされるこのサービスのインパクトは大きく、今後の展開に注目したいところです。

まとめ

キャッシュレス後進国と言われる日本。しかしここへ来て本格的なキャッシュレス経済の普及期を迎えようかという動きが顕著です。まさに2019年は「キャッシュレス元年」として大きく前進する1年になりそうです。