ファンドマネージャーの仕事を知る
“FM”と聞いて、何をイメージしますか? “青と緑のコンビニ”や“ラジオ放送”を思い浮かべる方もいるかもしれませんね。
でも金融業界でFMと言えば、ファンドマネージャーのこと。金融のプロフェッショナルという形容詞とともに語られることが多く、ちょくちょく登場するテレビドラマの印象から、なんとなくヒールっぽいイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
そんなファンドマネージャーという職業のやりがい等についてご紹介します。
巨額の資金を動かすダイナミックさ
ファンドマネージャーとは、文字通り“ファンド(金融資産)”の“マネージャー(管理者)”のこと。ひらたく言えば、投資のプロです。
例えば投資信託会社では、様々な人からお金を預かり、その資金を投資に回して運用します。つまり「お金がお金を生む」という仕組みですね。その運用を行うのがファンドマネージャー。どんな運用をするか、すなわちどんな企業の株の売買をするか、どこの国の国債を売買するかということを判断して、お金にお金を生ませていきます。
元手となるお金、つまり様々な人から預かったお金は、数10億円という巨額なものになることも珍しくありませんから、運用が上手くいけば利益も莫大なものになります。そうしたダイナミックさはファンドマネージャーという仕事の大きな魅力でしょう。
そして、自分の仕事の成果がはっきり数字となって反映されることもやりがいの一つ。ファンドのパフォーマンスは、ファンドマネージャーの腕にかかっています。多くの場合、その数字が評価されて年収に反映されますが、外資系金融機関をはじめとして収入が多いこともファンドマネージャーならではの魅力です。金融業界を目指す多くの人が「いつかはファンドマネージャーに」と憧れるのも納得です。
女性ファンドマネージャーも急増中
もちろん預かった資金をどう運用すれば利益が出るか、確実なことは誰にもわかりません。そこでファンドマネージャーの重要な仕事の一つが、情報収集です。
ファンドマネージャーのパートナーには、アナリストという専門家がいます。アナリストは投資の対象となる企業などを訪問してインタビューを行い、その企業の将来性などについてレポートします。そのレポートをもとにファンドマネージャーは、どの企業に投資するのが有効かを判断していきます。
最近ではファンドマネージャー自身がアナリストも兼ねて自ら投資対象企業に足を運ぶケースも増えているようです。もちろんすべての業界、すべての企業に精通することは不可能ですから、特定の業界を担当し深く切り込んで業界内に人脈を築いて情報収集に役立てるという形になります。
言うまでもなく金融市場はグローバルに影響を受け、世界各国の動きが複雑にからみあって株式や債券なども動いています。例えば今年1月にメキシコの石油パイプラインが爆発しましたが、そんな地球の裏側の事故が日本の株式市場に影響を及ぼすわけです。文字通り「対岸の火事が人ごとではない」ということを肌で感じているのがファンドマネージャー。グローバルな視点が求められる仕事です。
逆に言えば、そうした情報処理能力や判断力が決め手となるわけですから、性別や年齢に関係なく実力だけで勝負できる職業でもあります。
ネット時代の今は家庭にいてもリアルタイムで世界の経済情報が得られますから、会社の机に長時間、縛られている必要もありません。そんな点から“女性こそファンドマネージャーに向いている”という声もあり事実、海外では女性のファンドマネージャーが当たり前のように活躍しています。
今後、日本でも女性ファンドマネージャーは間違いなく増えていくことでしょう。
AI時代のファンドマネージャーとは
さて「これから投資はAIの仕事になる」という声もよく聞かれます。その結果、将来的にはファンドマネージャーはAIに席を譲ることになる、という意見もあります。
しかし、必ずしもそうとは言い切れないのも事実。例えばアクティビスト投資です。アクティビストとは一般的に「物言う株主」と呼ばれますが、投資対象の企業の経営者に積極的に働きかけることで業績の向上を後押しし、株価の上昇に結びつけていくことがアクティビスト投資。こうした人と人のコミュニケーションはAIに任せられるものではありません。そのような役割を担うこともこれからのファンドマネージャーにとって重要な仕事となり、むしろAIはファンド運用のツールと位置づけられていくと考えられます。
まとめ
投資のプロフェッショナルがファンドマネージャー。グローバルな経済の動きを把握し、巨額の資金を運用して成果を上げていくというダイナミックさが大きなやりがいです。最近では女性のファンドマネージャーも増えています。
将来的に金融の世界でもAIの果たす役割が大きくなっていくと考えられますが、ファンドマネージャーの仕事がAIに取って代わられるというよりは、ファンドマネージャーがAIを使いこなしていく時代になるのではないでしょうか。