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注目記事2019.01.09

東証1部がより狭き門に? 今年の東京証券取引所は要注目

晴れ着姿の若い女性が立ち並ぶ、華やかな雰囲気の中で行われる証券取引所の「大発会」(だいはっかい)。新年の風物詩としてすっかりおなじみの光景です。2019年も1月4日に行われ、1年の取引の始まりが告げられました。さて、今年の経済・金融はどんな動きを見せるでしょうか。

今年は天皇即位に改元という一大イベントが予定されています。これに伴って春のゴールデンウィークは10連休に。景気は大いに刺激され、お祝いムードもあって経済的には、かなり上向くのではないでしょうか。さらには東京オリンピックの前年ということで準備に拍車がかかり、関連イベントも盛り上がるでしょう。

アップルショックの波乱はあったものの、「大発会」の華やかな空気は例年通りのようでした。

もっとも証券取引所の代表格である東京証券取引所は、第1部市場のあり方を見直すという動きがあることから、変革を前に気を引き締めていこうという雰囲気も感じられたようです。いったいどのような動きがあるのでしょうか。

日本最大の証券取引所

日本の企業の総数は、関連省庁の算出方法によって違いがありますが、一般的に約400万社とされています。このうち、株式を証券取引所で売買される会社が上場会社。日本で最も売買高の大きい証券取引所、つまり日本最大の証券取引所が東京証券取引所(東証)です。

この東京証券取引所は、下記の6つに分けることができます。

・東証1部
・東証2部
・マザーズ
・JASDAQ スタンダード
・JASDAQ グロース
・TOKYO PRO market


国内外を代表する大企業・中堅企業が上場する中心的な株式市場が、東証1部(市場第一部)。実績や信用、ブランド力など、あらゆる面から“一流企業”と目されるのが東証1部に株式を上場している企業です。

就職活動においても東証1部が重要なキーワードなのは間違いなく、多くの方が東証1部上場企業を第一志望としていることでしょう。もちろん東証1部上場企業以外にも優良企業は多数ありますが…。

東証1部企業は本当に選りすぐりの一流企業?

東証1部上場企業の数は2,131社(2018年12月21日現在)。全国約400万もある企業の中の、ごくわずかな企業だけが東証1部に上場しているわけで、まさに選りすぐりの一流企業と考えていいでしょう。

ところがこの2,131社という数ですが、実は東京証券取引所の他の市場(東証2部、マザーズなど)の企業の総合計(1,526社)より多いのです。それどころか海外の市場と比べても東証1部企業の数は“ダントツに多い”というのが事実です。

つまり、選りすぐりの一流企業という評価も本当だろうか、という見方が出てくるのも仕方のないこと。そこで最近浮上してきたのが、「東証1部上場企業の数をもっと絞ってもいいのではないか」という考えです。

具体的には、現在は20億円以上とされている時価総額の基準を500億円から1000億円程度に引き上げてはどうかという声があり、仮に1000億円以上という基準に変更すると東証1部上場企業は一気に4分の1近くの約620社にまで絞られてきます。

さらに、成長企業向けステップアップ市場と位置づけられている「マザーズ」から東証1部に移行する際は時価総額40億円が基準とされるのに対し、多様な業態・成長段階の企業向け市場と位置づけられる「JASDAQ」から移行する場合は250億円が基準となっており、その仕組みがわかりにくいとも言われています。この点を解消するためにも、東証1部の基準の見直しが言われているのです。

チャレンジ意欲を取り戻すためにも

東証1部上場企業ともなると、一流企業の仲間入りという意識が生まれ、成長意欲やチャレンジャー精神が薄れがちになると言われています。すべての企業がそういうわけではありませんが、あながち的外れな指摘でもないでしょう。また、投資マネーが集まりやすいので企業価値の向上をおろそかにするのではという指摘もあります。東証1部上場の基準を見直すことで、こうした状況の是正を図ろうという狙いがあります。

また、先進諸国の中でダントツに多い上位企業を絞ることで、“優良企業の中のさらなる優良企業”が明確になり、投資家が投資の判断をしやすくなるでしょう。

とはいえ現在、東証1部に上場済の企業にしてみれば、今から基準を変えられるのは、いわゆる“ゴールの位置をずらす”という仕打ちにも感じられ、強い反発が生まれそうです。そのため基準の変更は簡単ではないとも見られています。

いずれにせよこうした変革の空気が生まれてきたことは間違いなく、証券市場全体にも何らかの影響を及ぼしそうです。

まとめ

約400万社とされる日本の企業。その中のトップに位置すると目されるのが、東証1部上場企業です。その数は2,131社ですが、実は先進国の中でこれはダントツに多い数字で、東証1部上場の基準を絞るべきではないかという声が出ています。

例年のように華やかな「大発会」で幕を開けた2019年の証券取引所。今年の動きには要チェックです。