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注目記事2018.10.17

名前に数字が入る銀行、その意味は?

先日、新潟県に本店を置く「第四銀行」と「北越銀行」の経営統合が発表されました。新しく誕生する予定なのは「第四北越フィナンシャルグループ」。これから2年かけて完全合併に移行する予定で、新潟県内でシェア約5割を占める巨大地銀が誕生することになります。

少子高齢化や人口減少、首都圏への一極集中などを背景に厳しさを増す地方銀行の経営環境。日銀の金融緩和策による低金利の長期化も逆風となって地銀を苦しめています。そうした中での生き残りを図っていくための経営統合となりました。

名前をめぐるややこしい事情

経営統合、合併の際に常に話題となるのが新銀行の名前ですが、今回も地域のナンバーワン銀行とナンバーツー銀行ということで、「第四」と「北越」を並べてつなげた名前に落ち着きました。無難と言えば無難な名前です。

ちなみに同じ新潟県には、そのほぼ中央部に「燕三条」という上越新幹線の駅と、「三条燕」という高速道路のICがあります。ほぼ同じ場所にあるのに、この微妙な違いは何でしょう。慣れないうちは混乱しそうです。

実は上越新幹線の建設が決まったとき、燕市と三条市は激しい誘致合戦を繰り広げ、折り合いをつけるために両市の境界に駅が設けられることになりました。その際、駅名はどちらを先にするかで紛糾し、結局、地元出身の政治家・田中角栄氏の仲裁によって駅名は「燕三条」、高速ICは「三条燕」ということで決着したのです(ややこしいことに、駅長室は三条市、高速ICの位置は燕市)。

そして、名前ということでもう一つ気になるのが「第四銀行」の「第四」という数字。実は名前に数字の入る銀行は日本にいくつかあり、“ナンバー銀行”などと呼ばれることもあります。この“ナンバー銀行”、実は名門の証でもあるのです。

“ナンバー銀行”は名門の代名詞

日本では明治時代の初期に国立銀行が誕生しました。国立銀行とは「国の法律によって立てられた銀行」ということで、国が経営する銀行ではなく、民間資本が法律に基づいて設立した銀行のことです。

このとき各銀行に、1から番号が設立した順に割り振られました。つまり1番目にできた銀行が「第一国立銀行」、2番目にできた銀行が「第二国立銀行」というわけです。そして、最初に設立された1から5までのうち、開業に至らず欠番となった「3」を除く4つの銀行が「ナンバー銀行」のオリジナルメンバーというわけです。

つまり今回経営統合した「第四銀行」はこのときに誕生した、名門中の名門銀行ということになります。ちなみに国立銀行は全部で153行設立されたので、「ナンバー銀行」は153まであったことになります。

多くが名前を変えて現在に

かつての「ナンバー銀行」で、現在でも銀行名に数字を残しているのはわずかに6行。香川県の「百十四銀行」、三重県の「百五銀行」、宮城県の「七十七銀行」、長崎県の「十八銀行」、岐阜県の「十六銀行」、そして新潟県の「第四銀行」です。

ちなみにそれぞれの名前は漢字の通り「ひゃく・じゅうし・ぎんこう」「しちじゅうしち・ぎんこう」などと呼びます。(なお、「八十二銀行」は「第十九銀行」と「六十三銀行」が合併して名付けられたもので、第三銀行は第二地方銀行なので、国立銀行時代の番号を名乗っているわけではありません)

では、現存する以外の「ナンバー銀行」はどうなったかというと、「第一国立銀行」は現在の「みずほ銀行」に、「第二国立銀行」は現在の「横浜銀行」に、「第五国立銀行」は現在の「三井住友銀行」にと、統合や合併を繰り返して名前が変わっています。

では、セブン銀行はかつての「第七国立銀行」なのかといえば、そうではなくて、「セブン&アイ・ホールディングス」が設立した比較的新しい銀行なのでご注意を…。

まとめ

時々、耳にする名前に番号のついた銀行。実は“ナンバー銀行”と呼ばれる、歴史ある名門銀行です。かつては153まで番号がありましたが、現存するのはごくわずか。多くが名前を変えて今に至っています。

新たに経営統合で発足した「第四北越フィナンシャルグループ」に番号が残っているのは、由緒ある名称へのこだわりや誇りの表れとみていいかもしれません。