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“リフレ”って何? 日本経済が輝きを取り戻すために

“リフレ”という言葉が最近、新聞紙面を賑わせています。ネットで調べて「リフレとは足の裏などを押して疲労を改善する療法」という説明を見つけ、「要するに足裏マッサージ?」と首をかしげた方もいるかもしれません。

もちろんここで言うリフレは立派な経済用語。アベノミクスを語る上で避けては通れない重要な言葉の一つです。

世間がざわつく

日本銀行の最高意思決定機関が政策委員会。その中で金融政策の運営に関する事項を審議・決定する会合を金融政策決定会合といいます。金融政策決定会合は年に8回開催されますが、7月末に行われた会合の決定が世間を騒がせました。

「きわめて低い長期金利の水準を維持する」と明確に約束した一方で、「金利の一時的な上昇は容認する」とも決めたのです。読んだだけでわかるように、これは相反する内容です。社会の反応も「ちぐはぐ」「玉虫色」と、かんばしいものではありませんでした。

そうした反応の中に「リフレ派への配慮もあるのでは」と、“リフレ”という言葉が出てきたのです。

ちょうどいい値上がり=リフレ

そもそも“リフレ”とは何でしょうか。

よくご存じのインフレ(インフレーション)は、ものの値段が上がってお金の価値が下がることです。「通貨膨張」とも訳されます。

反対に物価が持続的に下がることをデフレ(デフレーション)と呼びます。こちらは「物価収縮」と訳されます。アクセル全開で突っ走るのがインフレならば、怖がって急ブレーキを踏んでばかりなのがデフレとも言えるでしょう。

このデフレ状態から脱却したものの、インフレと呼ぶほどでもない状態のことを“リフレ”と呼びます。わかりやすく言えば、デフレでもインフレでない中途半端な状態。

物価が上がりすぎるのは困りものですから、インフレは歓迎できません。かといってデフレは景気が縮小している状態ですから、これもあまり嬉しくはありません。ということで、その中間の“リフレ”がちょうどいい状態と思えます。アクセルもブレーキも上手に使いこなした快適運転というわけです。何事もほどほどがいいのは、世の常ですね。

そして、この“リフレ”の状態が一番いいから、常に“リフレ”でありたいと主張する人々のことを「リフレ派」とも呼びます。

デフレからの脱却は

さて、日本経済は1990年代のバブル崩壊後、長い低迷期に入りました。いわゆる“失われた20年”です。

この20年間、就職氷河期やフリーターという言葉が流行り、若年層の雇用の喪失や非正規雇用者の増加が続きました。2000年以降は消費者物価の下落傾向が顕著で、デフレ傾向が強まりました。

失われた20年に至った原因ははっきりしませんが、バブル崩壊で生じた不良債権の処理を先延ばしにしたこと、デフレへの効果的な対策が取られなかったことは、大きな原因と指摘されます。

この失われた20年から脱却することを目指して打ち出されたのがアベノミクスです。アベノミクスでは、それまでのデフレからの脱却を合い言葉に様々な矢が放たれました。ここで取り入れられたのがリフレ政策なのです。

ところが物価は思うように上がりませんでした。2%の上昇率を目標に大規模な金融緩和が続けられたものの、達成は難しい状況です。現在日銀は消費者物価上昇率の見通しを、2019年度は1.8%から1.5%に、2020年度は1.8%から1.6%に改めました。このように目標を下げるのは珍しいことです。

物価上昇が思うように進まないことから「リフレ派」と呼ばれる人たちがいらだちを見せているとの声もあります。

まとめ

7月下旬の金融政策決定会合を受けて、この先経済状況がどのように変わっていくのか見守りたいところです。2019年10月には消費税が10%へと引き上げられることも日本経済に大きな影響を与えそうです。

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