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2018年2月、米国のFRBの第16代議長にジェローム・パウエル氏が就任しました。前議長のイエレン氏は米国経済の回復や株価上昇の功労者と言われており、その後継者であるパウエル氏もイエレン氏の路線を踏襲するものと見られています。このように経済ニュースでも頻繁に耳にするFRB。一体どんな組織なのか、改めて考えてみたいと思います。
実はFRBは株式会社だった
FRBとは「連邦準備制度理事会」と呼ばれ、簡単に言えば米国の中央銀行に相当する機関です。ところが日本の中央銀行とは異なる面も多く、なかなかややこしい存在と言えます。
日本の中央銀行は日本銀行ですが、米国では複数の組織の集合体が中央銀行の機能を果たしています。具体的にはボストン、ニューヨーク、フィラデルフィアなど12の地区に置かれた「連邦準備銀行」で構成された株式会社が「連邦準備制度理事会」。つまり12の組織の集合体がFRBなのです。
「FRBが株式会社?」。意外に思われる方も多いことでしょう。
FRBは12の銀行の集合体であり、その銀行はすべて株式会社ですので、FRBも100%民間の会社です。政府はその株をまったく有していません。民間銀行でありながら通貨の発行と管理を行うのですから、非常に大きな影響力を持っていることになり、違和感を覚える方も多いかもしれません。
日本の場合、日本銀行は法律に定められている認可法人で、株式の多くを政府が保有しています。この点が両者の大きな違いです。
世界の金融に大きな影響力
米国では建国以来、インフレから資産を守りたい資産家と、都市に富が集中することに反発する農村部が対立。しかし、1907年の金融危機を契機に銀行家や政治家が連邦準備制度の構想を本格化させていきました。そして、1913年の連邦準備法の成立でFRBの設立が決まりました。
FRBは通貨の発行と管理のほか、民間銀行の預金を預かる、民間銀行の監査を行う、小切手の処理を行う、米国政府機関の預金を預かるなどの機能を持っています。中でも重要なのが金融政策の決定に関与することです。
具体的にはFRBの理事と、各地区連邦準備銀行の総裁が参加する委員会で決定されます。この委員会では多数決によって金融政策が決定しますが、実際にはFRBの議長が議論をリードし、議長の意にそぐわない決定が下されることはまずないとされます。それほど大きな影響力を持つのがFRBの議長で、大統領に次ぐ権力者と呼ばれることがあるのも納得です。
イエレン氏から議長を引き継いだパウエル氏がどんな人物か、世界中が注目するのも当然のことでしょう。
まとめ
米国の中央委員会と聞くと、FRBは私たちの生活とは遠い存在のように感じてしまうかもしれません。しかし、実は世界経済に大きな影響を与える存在なのです。FRBの金融政策をいち早く読み解く「Fedウォッチャー」と呼ばれるプロフェッショナルが存在するほど、その考え方や発言は重要です。普段から新聞記事などで、FRBの動きには気を配っておきたいものです。