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注目記事2017.06.01

生命保険と損害保険の違いとは?

私たちが生活していく上では、さまざまなトラブル・アクシデントが起こりますし、巻き込まれる可能性があります。その「何かあったとき」に備えるのが「保険」なのですが、一口に「保険」といっても、実に多くの種類があります。その際たる「生命保険」と「損害保険」の違いとは何でしょうか? それぞれの特徴を理解して業界・企業研究の参考にしましょう。

生命保険は「人」、損害保険は「モノ」に関わる保険を扱う

生命保険は病気やケガ、死亡などのアクシデントによって、自分や家族の生活が経済的に困難になった時に、まとまったお金を受け取れるように備えるのが「生命保険」です。いわば「人の命」に関わる損失を保障してくれる保険のことです。

生命保険会社は死亡時にお金を受け取る保険だけではなく、加入者の健康状態を対象とした商品をつくり、その範囲を広げていきました。それが病気やケガをしたときに必要な入院や手術費用をカバーしてくれる「医療保険」や、介護状態になったときに保障を受けられる「介護保険」などです。

また、将来必要となる資金を準備することを目的とした保険もあります。たとえば、老後の生活資金を積み立てる「年金保険」や、子どもの教育費を準備する「学資保険」などがそれにあたります。

一方、損害保険は偶発的な事故や災害によって発生した「モノ」に関わる損害を補償する保険です。例えば自動車保険は運転者や事故の被害者、対物事故の物的損害、所有する車自体に生じた損害などに備える保険です。

もう1つ代表的な保険として建物や家財を天災のリスクから守るための「住まいの保険」があります。火災、風水害、盗難などに対する「火災保険」と地震や噴火、それを原因とした津波などによる破損などに対する「地震保険」などです。

また、損害保険にも人の身体を対象とする「傷害保険」というのもあります。補償内容は生命保険の内容とよく似ていますが、傷害保険は損害保険の一種なので、偶然の事故や災害によるケガ・入院などでなければ保険金は支払われません。

保障と補償の違い

ここまで読まれていて気づいた方もいるかと思いますが、生保と損保では「ほしょう」の漢字が違います。


「保障」は権利、自由、安全、生活を守る = 人に関する保障 「補償」は損害や費用などを金銭で補う = 物に対する補償


という違いがあるので、生命保険には「保障」、損害保険には「補償」の漢字が使われています。

また、「生保」と「損保」は保険事故が発生した場合の保険金の支払い方も異なります。生命保険は保険金額がそのまま支払われますが、損害保険は契約している保険金額の範囲内で実際にかかった損失分のみが支払われます。この支払い方を「実損払い」と呼びます。

生命保険と損害保険の領域にまたがる「第三分野」の保険

保険業法によって人の生死に関して保険金を支払う生命保険は「第一分野」(終身保険・定額保険・養老保険など)、偶発的な事故によって被った損害を補償する損害保険は「第二分野」(自動車保険・火災保険・地震保険など)に分類され、生命保険会社は損保商品を、損害保険会社は生保商品を販売できませんでした。

しかし、2001年からケガや病気・介護などに対して保険金や損害補償金を支払うタイプの保険を「第三分野」(医療保険・がん保険・介護保険など)と規定し、生保・損保ともに取り扱えることになりました。

生命保険会社はもともと医療保険・がん保険・介護保険を販売できるので、第三分野の解禁で販売できるようになったのは傷害保険になりますが、積極的に販売を進めている動きはあまり見えません。

一方で損害保険会社は、かかった治療費の全額を支払う「実損てん補型」の医療保険など、損害保険の特徴を活かした商品などを扱うことができるようになりました。

まとめ

生命保険会社は第三分野の保険商品に損害保険会社が積極的に乗り出してきたことにより、資産形成を目的とした終身保険や養老保険、年金保険などには、金利の高い外貨建てで運用する商品が登場してきています。損害保険会社も若者の車離れなどもあり医療保険や介護保険の展開を進めています。

損害保険と生命保険の相互乗り入れなどによって一見垣根が曖昧に見える生保と損保ですが、保険の成り立ちが第一分野、第二分野のどちらかによって主軸とする領域があります。保険業界に興味がある学生は、保険業界の再編について細かく調べる事で、各社が今後注力していきたい領域、強み・弱みなどが分かりますので、いい業界・企業研究になるでしょう


出典 ※1:富士火災 〜「生命保険」と「損害保険」の違いとは?〜 ※2:アフラック 〜生命保険と損害保険の違いとは?〜