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注目記事2017.05.10

「ミドルオフィス(ミドルバック)」は金融機関内のお目付役

金融機関の職種に「ミドルオフィス(ミドルバックと呼ばれることもあります)」というものがあることをご存じでしょうか? 銀行や証券会社などの仕事ですぐに思いつくのは、企業への融資や顧客への株式販売などで利益を生む営業部門ですが、実はミドルオフィスも金融機関でとても重要な役割を担っているのです。どんな職種なのか紹介します。

金融機関の3つの職種

金融機関には、大きく分けて3種類の職種があります。顧客や市場などを相手に収益を稼ぐ営業部門が「フロントオフィス」。営業部門が売買した商品の記録や決済などを行う事務部門が「バックオフィス」です。

今回紹介する「ミドルオフィス」は、これらフロントオフィスとバックオフィスをつなぐ役割を担っている部門です。企業などによりその業務は様々ですが、いくつか例を紹介しましょう。

営業や企業のお目付役

ミドルオフィスの業務には、主に次の3つが挙げられます。


1.リスクマネジメント

会社の不正チェック、損益や収益の管理、信用・市場リスクの報告、コンプライアンス(企業が果たすべき法令遵守)のための内部管理などを行っています。企業の健全な経営を維持するために必要なものが多く、金融機関におけるミドルオフィスのメインとなる業務です。


2.営業部門のサポート

フロントオフィスのサポートも重要な職務です。トレードや株式の売買などで営業部門が行った契約が、滞りなく行われるようにチェックし、フォローすることが主な役割です。また、想定外のトラブルが生じた場合に、迅速に対応するのもミドルオフィスです。


3.プロジェクト管理

営業部門が立てる収益目標などを実現するための戦略立案なども行います。業務内容や企業体制の見直しや改善、情報システムの開発・運用など、多岐にわたるプロジェクトに関わります。

ミドルオフィスは最近できた職種なのか?

ミドルオフィスが行う業務内容については企業によって分類はさまざまですが、前述したように、直接的な顧客への営業活動はせず、フロントとバックの橋渡し的な役割と、リスクマネジメント、レポートティング、営業サポートといった分野に特化した業務を行っていることからフロントオフィスというより、バックオフィスとしてグルーピングされることが多かったようです。

しかし最近の金融業界では、提供・提案する商品メニューの多様化や、綿密なリスクマネジメントの調査に伴い、バックオフィスから切り離してより上記の専門性に特化するような部隊としてミドルオフィスの重要性が高まってきています。

求められる資質とは?

ミドルオフィスには、金融に関する詳しい知識はもちろん、それ以外にも多岐にわたるスキルが求められます。

例えば、リスクマネジメントを行うためには、法令遵守や企業倫理などコンプライアンスに関する知識が必要ですし、データ分析能力や検証能力も求められます。

営業部門のサポートには、万が一のトラブルに対処するために高度な専門知識はもちろん、どのような時にも即座に判断を下せる状況判断能力が重要です。また、多くの人と関わるため、高度なコミュニケーション能力も必要になってきます。

業務内容の改善などプロジェクト管理で必要な資質は、問題発見力やリーダーシップなどです。また、物事の全体を見渡せる広い視野なども求められます。

外資系でも雇用は比較的安定

ミドルオフィスは、実際に収益を稼ぐフロントオフィスほど華やかなイメージではありません。しかし、特に外資系金融機関の場合は、フロントオフィスは実力主義で給与が高い分、市場環境などの影響で職を失うリスクが高いのも現状です。

それに対して、ミドルオフィスやバックオフィスは、外資系金融でも雇用は比較的安定していると言えるでしょう。ミドルオフィスで培った管理能力などや、バックオフィスで習得した決済業務などのスキルは、金融機関に必要不可欠だからです。

就活には英語力が重要

金融機関の新卒採用募集では、外資系金融機関はもちろん、日系金融機関でもメガバンクなどは部門別の採用をするところもあります。

もし、それら企業が募集するミドルオフィスを就活する場合は、外資系金融ではもちろんですが、日系金融機関でも英語力を磨いておくといいでしょう。最近のミドルオフィスでは海外拠点と連携することも多く、日系金融機関でも英語で会話したりメールしたりする業務が少なくないからです。

まとめ

金融機関の就活では、花形的なフロントオフィスがやはり人気ですが、多岐にわたるスキルが身に付くと言う意味では、ミドルオフィスも魅力的な仕事です。

もし、あなたがサポート役を得意とし、分析能力など前述のミドルオフィスに求められる資質に自信があれば、むしろフロントオフィスよりも向いているかもしれません。

自分のキャリアプランや資質を考慮した上で、もし合っていればミドルオフィスも選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。