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注目記事2017.05.02

銀行はシャッターが閉まってから何してる?

みなさんは、銀行がなぜ午後3時に閉まるのかご存じですか? また、閉店後はどんな仕事をしているのでしょうか? 「まさか3時に閉めて帰っている? 」なんて思う方もいるかもしれませんが、いえいえ実はそこからが忙しいのです。ご存じない方のために、ちょっと紹介してみましょう。

なぜ午前9時から午後3時なのか?

まずは、なぜ銀行の営業時間は午後3時までなのでしょう。それは、法律で定められているからです。銀行法施行規則 第16条に

「銀行の営業時間は、午前九時から午後三時までとする」

という規定があるのです。銀行は、最も規制が厳しい業種のひとつ。新規参入に係る免許審査及び免許付与後の監督上の対応などには厳しい法律の規制がありますし、様々なことに対し監督官庁の許可や申請が必要です。営業時間ひとつをとっても、法律で規定されているのです。

ただし、最近では、銀行や支店によって午後3時以降も営業しているところもあります(りそな銀行の場合で平日全店午後5時まで営業)。これも特に法律違反ではなく、前述の法律に但し書きで

「営業の都合により延長することができる」

という規定があるのです。要するに、法律では「午後3時までは開けておきなさい」という規定になっていて、それ以降の営業も認めているということです。

閉店後は資金の照合などを行う

次に、銀行では午後3時以降なにをやっているのか? についてです。

銀行の窓口では、例えばお客様が預金したり、引き出すことで、お客様と銀行の間に「資金のやり取り」が発生します。そして、これらのやり取りは必ず伝票に基づいて行われます。銀行口座に入金する場合は「入金伝票」、逆に口座から引き出すときは「出金伝票」に記入します。

銀行では、こういったお金のやり取りに関し、伝票を集計した金額と実際に動いた資金の額が合っているのか、また実際の処理が合っているのかなどを、営業時間後に毎日必ずチェックしているのです。

1日にどれだけの資金が入り、どれだけの資金が出ていったのかを集計し、銀行にどれだけの資金があるのかを確認する。こういった「照合作業」を毎日行うことが、銀行の信用の根源となっています。

この照合作業で、もし伝票処理や金額の入力ミスなどがあると大変です。その原因を追及し、場合によっては深夜まで帰れないこともあるようです。

現金輸送の準備や送金作業なども

「照合作業」以外にも、現金の輸送準備もあります。銀行の金庫には、支店などにもよりますが、現金を預金総額と同じだけ置いているところは基本的にありません。1度に全ての預金を下ろす人は少ないですし、預ける人もいるわけですから、預金額全ての現金を金庫に入れておく必要はないのです。

逆に、不必要な現金を金庫に置いておいても、銀行の収益はあがりません。日本銀行の当座預金に預けたり、企業への融資や住宅ローンの貸し付けで金利を稼ぐなどの方が、銀行にとっては収益が上がるのです。

そこで、銀行では必要な額だけを残し、それ以外の現金は本店や現金が少ない支店に送ります。閉店後の仕事には、このような輸送の準備も含まれるのです。

また、銀行には手形や小切手、配当金、税金、交通違反の反則金など、様々なものが持ち込まれます。これらに対しては、例えば小切手や手形を交換所へ送付したり、税金や公共料金を管轄する官公庁や企業に送金することも必要です。営業時間後には、こういった作業も行われています。

このように、銀行では閉店時間後も多くの業務があります。「照合作業」など重要な仕事があるという意味では、銀行の本当の仕事は「午後3時から始まる」といってもいいかもしれません。

午後3時以降の仕事が様変わり

ところが、最近は銀行の閉店後の仕事に変化が出てきているようです。

特に、変わってきたのが「照合作業」です。最近は、こういった作業の手間を軽減するために、機械化や自動化が進んでいます。これらにより、行員のミスなどによる現金の過不足は発生しにくくなっているのです。また、仮に過不足が発生しても、いつ誰がどんな機械操作を行い、現金の受け渡しを行ったかが瞬時に把握できるために、ミスの特定も容易になっています。

そのため、作業はより正確で、より短い時間でできるようになっています。前述の「金額が合わないと深夜まで帰れない」といったことは、最近ではかなり少なくなったようです。銀行員=長時間労働というイメージは、もはや昔のものとなっていると言えるでしょう。

また照合作業以外の仕事として、投資信託などの金融商品やローン、融資などの営業活動、融資の判断業務なども行っています。

それらの仕事では、例えば企業への融資担当であれば、取引先企業へ営業に出かけたり、会社へ提出する融資稟議書(取引先への融資の許可をもらうための書類)を作成するなどが主な業務です。こういった仕事を担当する場合は、閉店時間と関係なく仕事をしている人がほとんどだと言えます。

まとめ

近年、銀行では窓口での入出金による手数料や預かった資金の運用など、従来のビジネスモデルだけでは十分な収益を挙げられなくなっているのが現状です。

そのため、特にメガバンクでは海外の拠点との連携やM&Aなどを積極的に行ったりしています。また、地方銀行でも地元企業への融資などのほかに、事業継承や企業支援といったコンサルティング的な仕事も行うようになってきています。

ここ数年でかなり変化し、多様化も進んでいる銀行の業務。ですが、いずれにしろ午後3時の閉店後も、行員の方々が忙しく働いていることには変わりありません。金融機関への就職を目指している方は、そういったことをしっかり頭に入れておきましょう。