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注目記事2017.04.26

新卒の新入社員は生命保険に入るべき?

街で新社会人を見かける季節になりました。フレッシュなスーツ姿の先輩たちを見て「来年は自分も」などと、決意を新たにしている方も多いでしょう。ところで、新社会人といえば、みなさんは自分が企業に就職したら「生命保険」に入るべきなのか考えたことはありますか?  よく新入社員に生命保険は「不要」と言われます。それはなぜでしょうか? みなさんが“その時”を迎えた際の心構えとして考えてみましょう。 

新入社員は勧誘が多い

新入社員、特に新卒者の場合は、よく保険を勧められます。最も多いのが、保険会社などから女性の勧誘員(いわゆるセールスレディ)がオフィスに頻繁に来て勧誘するパターン。また、会社の先輩から知り合いの保険代理店の方を紹介されたり、会社で保険に関する説明会が開かれることもあります。


「社会人になったら保険ぐらいは入りましょう」

「若いうちに加入すると保険料が安くて得です」


など、かなり熱心に勧められます。これは、大学を出たばかりの新入社員は、生命保険に入っていないことが多いため、保険会社としては新規顧客を獲得するために、みなさんへアプローチしてくるわけです。

そもそも保険とは?

では、こういった勧誘を受けて、勧められるままに保険に入っていいものなのでしょうか? 

生命保険には、契約内容によっては月々数千円から1万円近い保険料を支払うものもあります。もちろん、何か「お金で困る事態」があった時に助けてくれるのが保険です。しかし、社会人として独立したとはいえ、会社に入ったばかりのみなさんには、保険料の額によってはかなりの負担になるでしょう。

これについてはまず、そもそも保険とはどういったものかを知っておく必要があります。

保険は、「自分の貯金でまかなう事が難しいリスクに対し備えるもの」というのが原則です。保険の成り立ちについては、別の記事「保険ってどうやって成り立っているの?」で詳しく紹介していますので参照して下さい。

ここでいうリスクとは、例えば奥さんや子供がいる一家の大黒柱の方が死亡すると残された遺族が金銭的に困る、といったことが挙げられます。また、病気やケガにより高額な治療費が必要になる、といったことも考えられます。若いみなさんは病気のリスクはさほど高くないですが、仕事やスポーツでケガをする恐れは十分にあります。

そういったリスクに備えるためにあるのが生命保険です。前者の場合が死亡保険、後者の場合は医療保険がそれにあたります。

死亡保険は新入社員には不要

まず、死亡保険の場合はどうでしょう。

もし、みなさんが不幸にも亡くなられた場合、悲しむ方は大勢います。ですが、そもそも「亡くなったら生活に困る家族」はいないという方がほとんどですよね。そう考えると、死亡保険に入る必要はないと言えます。

仮に、もし加入するとすれば、ご両親にお葬式代の負担を掛けないために200万円〜300万円くらい保障される保険料が安価なタイプに加入すれば十分でしょう。


医療費は国や会社の制度で十分

医療保険はどうでしょう? 加入する必要があるかどうかの判断には、まず、「国の社会保険制度」を理解しておきましょう。

国の社会保険制度には、
1.健康保険
2.雇用保険
3.年金保険
4.労災保険

などがあります。1〜3の保険料は、社員と会社が共同で半額ずつ負担します。自分(社員)の負担分は給与から毎月差し引かれますので、どれくらい払っているのかは給与をもらった際に配られる給与明細を見れば分かります。また、4は会社の全額負担です。

これらのうち、医療費に関わるのは、1の健康保険と4の労災保険です。健康保険は、病気やケガまたはそれによる休業、出産や死亡といった事態があった場合に、必要となる思わぬ出費について保障する公的な医療保障制度です。医療費を一部負担してくれたり、各種の給付金などの支給もあります。

労災保険も、病気やケガ、死亡時などに対し保障する制度です。仕事中や通勤中に事故・災害にあった場合に適用され、それ以外の場合は健康保険が適用になります。

日本の社会保険制度は、諸外国に比べても高いレベルを誇っています。つまり、あえて生命保険に入らなくても、みなさんはすでに国の保険で守られているのです。

また、入社した会社の福利厚生制度も知っておくことをお勧めします。特に、従業員だけが加入できる団体定期保険があれば、一般の生命保険よりもかなりお得に加入することができます。もし、保険会社の保険に入る場合は、こういった制度を利用する手もあります。

ちなみに、がんなどの重い病気になって高額な医療費が必要になったらどうでしょう? その場合も、国では「高額療養費制度」を設けています。これは、1カ月の医療費の負担額に上限を設けているもので、それを超える場合は国から保障してもらえるのです(国が認定していない治療法や薬を使う自由診療は除く)。

まずは貯蓄を考える

生命保険は、「一生のうちで家の次に高い買い物」だと言われます。場合によっては、収入に対し保険料の負担額が大きくなりすぎる可能性が十分にあるのです。

将来、家庭などを持ち、「まさかの時」に家族がお金に困らないように備えるにはとても役立つものではあります。ですが、若くて独身のうちは、無理に高額な保険に入るよりも、まずは少しでも貯蓄をすることをお勧めします。生命保険の加入は、結婚して子供を持ったときなどに考えても遅くはありません。

もちろん、「若いうちに入ると将来的に保険料は安くなる」のは確かです。もし、そういった理由で保険に入る場合は、比較的保険料が安い掛け捨ての医療保険などを中心に検討する方がいいでしょう。

病気やケガについては、病院を退院後も長期に自宅療養が必要で働けない場合も考えられます。ですが、これについても国の保障で健康保険から給与の3分の2が最長1年半支払われます。

それでも不安に思う場合は、最近多くの保険会社で「就業不能保険」とか「所得保障保険」などと呼ばれる保険を扱っています。これは、病気やケガで長期の自宅療養が必要な場合に、衣食住などの生活コストを補償してくれるものなので、検討してみるといいでしょう。

生命保険の月々の保険料は、手取り給与の3〜5%以内におさめるのが理想だといわれます。もし、新社会人になって保険に入る場合は、月々支払う保険料を十分に考慮し、無理のない範囲で加入しましょう。