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外国為替取引、価値が決まる仕組みとは?

「円高」や「円安」、「1ドル=●●●円」など、外国為替相場に関する話題やニュースは、よく耳にすることのひとつですよね。「米ドルなど海外通貨に対する日本円の価値」ということは何となく分かると思います。ですが、実際このような為替相場(為替レート)は、どのようにして決まっているのでしょうか? レートを左右する外国為替取引の仕組みなどをご紹介します。

外国為替取引とは?

まず、外国為替取引について解説しましょう。

外国為替取引を簡単に言うと、二国間の異なる通貨を交換する取引のことです。日本円を米ドルや豪ドル、ユーロ、ポンド、スイスフランなど外国の通貨と交換するのはもちろん、米ドルとユーロ、豪ドルとポンドなど日本円を介さない取引も含まれます。

ちなみに、取引で日本円をドルに交換する場合は「ドル買い」または「円売り」と言い、米ドルを日本円に交換することを「円買い」や「ドル売り」と呼びます。

為替レートとインターバンク市場

為替レートとは、通貨と通貨を交換する際の交換比率のことです。外国為替取引は、取引する者同士が直接行う相対取引が基本なので、為替レートについてもお互いが合意すればいくらでも構いません。

ですが、それではさまざまな取引レートがありすぎて困ることが生じます。例えば、企業の株価は基本的にその国の通貨で値段付けされます。日本の企業ならもちろん円です。ところが、海外の投資家などが、日本の企業の株を買いたい時に、米ドルや豪ドル、ユーロなどに換算すると幾らなのか? といったことを知る必要がありますが、ある一定基準に基づいたレートがないと価値が分かりにくくなります。

そこで、外国為替取引の為替レートの場合、通常は銀行同士が取引する「インターバンク市場」でのレートが使われます。このレートは、株式と同じく銀行やディーラーなどが行う取引の需要と供給のバランスにより決まります。


中国の相場は変動しない

外国為替レートは、需要と供給のバランスで変動すると書きましたが、これは変動相場制を導入している国であることが前提です。日本やアメリカなど、先進国の通貨は概ね変動相場制を導入していますので当てはまりますが、中国の通貨である人民元は、基本的に為替レートの変動はありません。これは、中国が固定相場制を導入しているからです。ほかにも、発展途上国の通貨に多く、アメリカや日本など先進国も1973年までは固定相場制を導入していました。

変動相場制の場合は、その国の通貨当局が為替市場に介入し為替レートの変動を原則的に上下1%内に抑えます。そのため変動は基本的にありません。中国も人民元の切り上げは行いましたが、現在も固定相場制を維持しているので為替レートが変動しないのです。

為替レートは国の経済力を反映

前述の通り、為替レートは通貨の需要と供給のバランスで変動します。例えば、円と米ドルの取引で1ドル=110円だった為替レートが、円がたくさん買われることで1ドル=100円になれば「円高ドル安」に、米ドルがたくさん買われて1ドル=120円になれば「円安ドル高」になる、といった感じです。

この為替レートがその国の経済力(通貨の強さ)を示すといわれています。従って、上の例のような円と米ドルの為替レート変動の場合、


円高ドル安=円が強くなった
円安ドル高=ドルが強くなった

と言い換えることができます。

こういった為替レートの水準が変わる要因にはさまざまなものがあります。

例えば、


1.金利差
2.景気動向や物価
3.政治的安定度
4.実需

などです。

1と2は、「ファンダメンタルズ」と呼ばれ、その国の経済による要因です。ほかにも、経済成長や国際収支、為替介入などもこの要因に含まれます。3は、戦争やテロによる政情不安、政治家の発言などにより為替レートが変動することを指します。4の実需は、企業が貿易や資本取引など、商取引により為替の取引を行うことです。また、これとは別にヘッジファンドや機関投機家による投機取引などが、為替レートの変動を起こす要因になる場合もあります。

為替レートの計算方法

為替レートは、一般的に「クロスレート」という方法で計算されます。これは、米ドルを基準通貨として各国の取引レートを相対的に計算するというやり方です。

例えば、

1ドル=100円、1ドル=0.8ユーロ

といった取引がされている場合、ドルをベースに円とユーロの為替レートを計算します。つまり。この例の場合は「0.8ユーロ=100円」とし、


0.8ユーロ×1.25=1ユーロ→100円×1.25=125円

1ユーロ=125円

とするわけです。このように、米ドルをベースにすることで、変動相場制を導入している国であれば、簡単にその国の為替レートを計算することができます。

前述の通り、外国為替取引は、例えば円という通貨の価値を出すと言っても、米ドルやユーロ、豪ドルなどさまざまな通貨と取引されています。つまり、それぞれの取引で円の価格(価値)がバラバラなのが基本です。それでは、現在の円の価値はとても分かりづらくなります。また、取引通貨すべてを基準にして為替レートを出そうとすると、膨大な数の組み合わせが必要となります。

そこで、世界的に取引量が多い米ドルを基準通貨に設定することで、その他の国の通貨価値を分かりやすくし、計算もやりやすくしているのです。

まとめ

海外旅行に行ったことがある方なら、出発前に円を来訪国の通貨に両替した経験があると思います。そして、帰国後に円に戻す際、為替レートが出発前と変わっていると「儲かった」とか「損をした」といった経験をお持ちでしょう。外国為替取引も、基本的にはこの「両替」と同じだと思えば、もっと身近に感じられると思います。円の価値=日本経済の強さを示す重要な指針のひとつでもある外国為替レート、今後さらに興味を持ってみると「日本の今」がよく分かると思います。

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