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注目記事2016.10.12

「出資」「融資」「投資」それぞれ何が違うの?

金融業界でよく耳にする「出資」「融資」「投資」という言葉。いずれも「第三者にお金を出す」という意味で使われるため、似たようなニュアンスに思われがちですが、実は大きく異なった意味を持っています。それぞれがどんな意味を持ち、どんなときに使われるかなどを解説してみましょう。

出資も融資も投資の一部

まずは、投資について。投資ファンドや株式投資、債権投資など、さまざまなシーンで使われます。投資とは、ある人や企業などへリターンを期待してお金を出すということです。その意味で言えば、出資も融資も投資の一部となります。誰に、どのようなリターンを求めるかなどで、出資する投資なのか、融資する投資なのかが変わってくるのです。

出資は事業の成功を期待した投資

次は、出資について。出資とは、事業の成功や成長を期待してお金を出すことです。例としては、株式投資が挙げられます。投資家が「企業の株を買うこと」=「出資」です。この場合、投資家は出資した株数に応じて「利益配当請求権(配当を受ける権利)」を得たり、「株主総会における議決権を行使する」ことができます。

ただし、この場合に投資家は出資したお金を原則的に返してもらえません。株式を買いたいという第三者に売却することはできても(譲渡制限付き株式を除く)、自分が買った株を企業に買い取ってもらうことはできないのです。この点は、後述する融資との大きな違いになります。

逆に、株式出資をしてもらう企業側の立場で見てみましょう。会社を起業したり、資本金を増やす際などに出資してもらうということは、「返済の必要がないお金をもらう」ということです。銀行などから借り入れる場合(融資)は元本の返済や利子を支払う必要がありますが、出資の場合は不要です。そのため、出資のほうが資金繰り的には楽だと言えます。

その分、出資した投資家へは、前述の通り株式数に応じた「議決権(経営権)」を付与することになります。そのため、仮に企業側より多い投資額を持つ投資家がいる場合は、社長よりもその投資家が経営の実権を握る、といったケースも出てきます。また、会社の成果(利益)に応じて、企業は投資家に「配当金」を支払う必要もあります。

融資は返済を前提にお金を出すこと

融資を分かりやすく説明すると、投資する側から言うと「お金を貸すこと」、投資を受ける側から言うと「借金」です。

まず、投資家側から見ていきましょう。融資の投資行為で一般的な例は「債権の購入」です。国債や社債などがそれで、これらは満期になると投資元本は返済されます。また、満期までの間は一定の利子を受け取ることもできます。銀行預金も広い意味では同じで、預金者(=投資家)が銀行にお金を貸しているということになります。そのリターンとして、利息を受け取ることができるというわけです。

融資をするリスクとしては、事業の破綻などで貸した相手が返済不能になることがあります。相手が企業で倒産したら回収は難しいですし、個人の場合も自己破産などになると回収ができなくなります。

逆に、融資を受けた側から考えてみましょう。例えば、銀行から融資を受けた場合、受けた側は毎月(年)借りた金額の元本+利息を返済していく形になります。出資の場合と違い、元本の金額すべてを一定期間までに返済する必要がある上に、利子も支払わなければなりません。

ちなみに、利息は借り手側に担保があるかどうかや信用力、借入額の大きさなどで変わります。キャッシングやカードローンなど無担保ローンの金利が高く、購入した家や土地を担保に入れる住宅ローンの金利が安いのはこのためです。

企業が融資を受けるメリットは、出資のように投資額に応じた「株主総会での議決権」を渡す必要がないことです。融資をしてくれた投資家(銀行など)に、経営に対する法的な権利を取られることは基本的にありません。ただし、返済が滞った場合などは、投資家が経営に口を挟むこともあります。

まとめ

このように、単に「お金を出す」行為でも、使う言葉により意味や内容が大きく変わってきます。これらは就活ではもちろん、就職後の仕事の現場でも重要となる金融業界、金融ビジネスの基礎用語です。それぞれの意味をしっかりと認識し、ちゃんと使い分けられるようにしておきましょう。