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注目記事2016.08.03

保険ってどうやって成り立っているの?

就職希望人気企業ランキングなどで、毎年上位にランクインしている保険会社。就職先の候補にしている人も多いと思いますが、そもそも保険とはどんな仕組みで、保険会社はどのようにして利益を生み出しているのでしょうか? ここでは、身近だけれど、意外に知らないことも多い保険に関する「今さら人に聞けない」基礎知識をご紹介します。

いつ頃なぜ生まれたか?

まずは、保険がどのようにして生まれたのかをご紹介します。「人の生死に関し、一定額を支払う保険」である生命保険は、中世ヨーロッパで商人たちがつくった同業者組合「ギルド」が起源だといわれています。冠婚葬祭などで組合員に経済的な負担が生じた際に、遺族にお金を渡すなど、組合全体で負担を分担していました。

一方、損害保険は「偶然の事故などにより生じる損害をてん補する保険」です。発祥は、古代ギリシャ時代の海上輸送で、嵐や海賊などによる積荷の被害を、荷主と船主が負担し合ったことが始まりだといわれています。

相互扶助の精神が起源

いずれの場合も、基本的な考え方は「助け合い」です。将来、誰にでも起こりうる損害や経済的負担に対して、みんなで少しずつお金を出し合って備えるという「相互扶助」の精神から生まれた仕組みが保険なのです。集められたお金の一部は経費として使われますが、大部分は将来の保険金支払いのために積み立てられます。

保険はよく貯蓄と比べられますが、貯蓄は基本的に「個人」で徐々に貯めていくものなので、お金が必要なときにその必要額があるとは限りません。対する保険は、「大勢の人」が加わって行うもので、必要なときに必要な金額を得られるというメリットがあるのです。

保険料はどうやって決める?

実際に、保険料はどのように決まるのでしょうか? これには、次のような方程式があります。


「保険料」=「純保険料」+「付加保険料」


「純保険料」が被保険者や保険金受取人が受け取る金額の原資となり、「純保険料」の総額と実際に保険契約者に支払われる「保険金」の総額は同じになります。これを「収支相等の原則」といいます。「付加保険料」は、保険会社が自社を運営・維持するためにかかる費用のことです。社員の人件費や家賃などの経費を保険料に上乗せして計上されます。損害保険会社の場合は、代理店への手数料などもこれに含まれます。

では、この「純保険料」「付加保険料」はどのように算出されるものなのでしょうか?


●生命保険の場合

まず、保険会社が過去の死亡統計などから将来の死亡者数を予測する「予定死亡率」によって、加入者の保険料を割り出します。加入時の年齢などで、その人がいつ頃死亡するか(保険料を支払うか)、その準備にいくら必要かを計算して金額を決めます。基本的に、若いほど死亡率は低くなるため保険料は安くなり、年齢が高くなるほど死亡率も上がるので保険料は高くなります。

さらに、その人が生きている間に受け取る保険料をどれくらいの利率で運用できるかという「予定利率」を割り出し、割引額を算出します。ここでいう運用とは、集めた保険料で有価証券を売買したり、企業へ貸付することで利益を得ることです。「予定死亡率」で割り出した金額から「予定利率」による金額を割り引いた額が「純保険料」であり、保険金・給付金の支払いに充てる原資になります。


●損害保険の場合

損害保険における「純保険料」は、「大数の法則」と「公平の原則」によって設定されます。

「大数の法則」とは、ある事象の発生確率を算出する際に、数件のデータを分析するのではなく、大量のデータを分析することによって確率が一定値に近づくことをいいます。この法則にのっとって事故や災害などのデータを分析することで発生確率を予測できるようになります。

「公平の原則」は、保険が適用される可能性の高い人は高い保険料、確率が低い人は低い保険料として、みんなが平等になるようにすることをいいます。例えば、自動車保険の場合では、車種や被保険者の年齢で金額が変わります。過去に事故が多かった車種や、運転歴が浅い若年層ほど保険料は高めになることが多いといえます。

余れば配当金を出す

生命保険の場合は、毎年度末に預かった保険料と支払った保険金などの収支を保険会社が計算します。そこで、見込んだ死亡者数より実際の死亡者数が少なかったり、見込みより運用益が多く出たときなどは、利益が出ることがあります。

この利益を「余剰金」といい、配当金として契約者に支払われます。ただ、最近は無配当保険というものもあり、これに加入している場合は、保険料は安いのですが配当金は出ません。また、損害保険の場合は、基本的に掛け捨てなので、配当金がないのが一般的です。

まとめ

保険の基本的な仕組みを理解できたでしょうか? 「助け合い」の精神から生まれた保険は、現在では、人の生死から火災、自動車事故、医療に退職金や年金の運用まで、かなり幅広い範囲で「損失をカバー」するための役割を担っています。そういった社会貢献の観点も踏まえて、保険業界を研究してみるのもいいかもしれませんね。