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注目記事2016.06.01

国内にある外資系金融は、どんな企業?

そもそも外資系企業とは?

経済産業省の『外資系企業動向調査』によると、資本の3分の1以上に外国資本が入っている企業を「外資系企業」としています。

つまり、日本で誕生し、日本で経済活動を行い、従業員の大半が日本人であったとしても、外国法人・外国人の出資比率が34%を超える企業は、外資系企業ということになります。

国内の外資系企業数は2015 年 3 月末時点で3,332 社(前年度比5.7%増)。業種別に見ると、卸売業が1,317社で全産業の39.5%を占めており最多、次いでサービス業、情報通信業と続きます。また母国籍別に見ると、ヨーロッパ系企業が1,464社(シェア43.9%)、アメリカ系企業が862社(同25.9%)、アジア系企業が792社(同23.8%)となっています。

外資系企業全体の売上高は47.7兆円(前年度比3.2%増)、働く従業者数は63.8万人(前年度比4.6%増)。今後1年間の雇用見通しは、「現状を維持する」と回答した企業が61.4%、「増員する」と回答した企業が35.0%で、合計97%近くの企業が、人材採用にポジティブな意識をもっています。

外資系金融の現況は?

外資系企業のなかでも外資系金融の現況を、6系統に分けて見ていきましょう。

①銀行系
世界経済は回復傾向。でも国際展開規制で先行き不安!?

2008年のリーマン・ショックが発端となった世界的な金融危機を受け、各国は大規模な金融緩和政策を実施。市場に膨大な資金が供給され資産の価格が上昇、日米欧の主要金融機関の業績は回復しました。

しかし、同じくリーマン・ショックの影響により、銀行に自己資本比率の強化を求める国際的な金融規制「バーゼル3」や、高リスク商品への投資を制限する米国の「ボルカールール」など、金融業の国際展開に対する規制も強化されました。投資業務は縮小を迫られ、新たなビジネスモデルを模索しています。

●代表的な外資系企業

JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、モルガン・スタンレー、ウェルズ・ファーゴ、ゴールドマン・サックス、中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行、HSBC、ドイツ銀行、BNPパリバ、RBS(ロイヤルバンク・オブ・スコットランド)、バークレイズ、クレディ・アグリコル、ロイズ・バンキング・グループ、ソシエテ・ジェネラル、サンタンデール、UBS、ウニクレディト、クレディ・スイス、BTPN、アユタヤ銀行、BDOユニバンク、カナディア銀行



②クレジットカード系
クレジットカードは米国、デビットカードは中国が強い

『会社四季報 業界地図2016年度版』によると、世界シェアは、VISA(米・取扱高約898兆円)、MasterCard(米・取扱高約553兆円)、AMERICAN EXPRESS(米・取扱高約126兆円)が圧倒的で、3社を合わせたカード発行枚数は約45億枚にも達します。一方、即時翌日払いのデビットカードでは銀聯カード(China UnionPay)が存在感を発揮し、約50億枚の発行規模に。

そんななか、日本唯一の国際ブランドであるJCB(取扱高約23兆円)は、インドのNational Payments Corporation of Indiaと提携。アジアを中心に規模を拡大しています。

●代表的な外資系企業

VISA、MasterCard、AMERICAN EXPRESS、Discover Financial Services、Diners Club、China UnionPay(銀聯カード)



③生命保険系
日系企業が伸び悩み、外資系企業が勢力拡大

日系企業が主力商品にしていた死亡保険は、少子高齢化の影響などで契約減が続き、大手は海外市場に活路を求める状況に。

一方で、外資系企業は存在感を増しつつあります。アフラック(米)は、日本郵政と提携して取り扱い郵便局数を拡大。メットライフ生命(米)はAIG系アリコを買収。プルデンシャル・ファイナンシャル(米)もAIGスター生命、AIGエジソン生命を合併。『フォーチュン グローバル500 2015』によると、売上高世界首位のアクサグループ(仏)はネット直販に注力。それぞれ収益拡大を図っています。

●代表的な外資系企業

プルデンシャル・ファイナンシャル、アクサグループ、AIGジャパン・ホールディングス、メットライフ生命、アフラック、エヌエヌ生命、マスミューチュアル生命、チューリッヒ生命、マニュライフ生命



④損害保険系
外資は影響力小。日本企業が海外に進出

世界的には、バークシャー・ハサウェイ(米)、アリアンツ(独)、ミュンヘン再保険(独)などがシェアを占めますが、日本市場では日系企業がほとんどのシェアを占めます。

日系メガ3社のうち、東京海上ホールディングスは米英の保険会社を相次いで買収。MS&ADインシュアランスグループホールディングスはアジア事業を強化。そして損保ジャパン日本興亜ホールディングスも英仏の保険会社に出資・買収するなど、それぞれ海外事業が収益を拡充。保険料収入に占める海外比率は、3社とも約3割に達しています。

●代表的な外資系企業

バークシャー・ハサウェイ、アリアンツ、ミュンヘン再保険、AIGジャパン・ホールディングス、アクサグループ、チューリッヒグループ



⑤投資ファンド系
全体的に減退傾向。なかには攻勢に出るファンドも

金融庁の『ファンドモニタリング調査の集計結果について(2010〜2015)』によると、2兆円だった運用財産額は1.5兆円を割り込み、業界全体の勢いは一時期に比べて減退。特に外資系ファンドにその影響は大きく、RHJインターナショナル・ジャパンは事実上撤退し、サーベラス・ジャパンは大幅に規模を縮小しました。

その一方で、元財務官僚の藤井良太郎氏を代表に迎えて反転攻勢を仕掛けるペルミラ(欧州)や、「友好的」アクティビストを名乗るタイヨウ・ファンド(米)など、好調な企業も存在。日系では村上系のファンドが息を吹き返すなど、浮き沈みの激しい業界といえます。

●代表的な外資系企業

カーライル・ジャパン、ペルミラ、サーベラス・ジャパン、ローンスター、KKRジャパン、ベインキャピタル、WLロス・アンド・カンパニー