株式会社イワキ

株式会社イワキ(イワキ)のキャリタス限定情報

東証 正社員

株式会社イワキ

【機械|精密機器】

突然起こった危機

ことの発端は、イワキにとって大口顧客であるA社が、競合他社製品の採用試験を開始したことからはじまる。長年、イワキはプロジェクターの光源を冷却する組込み用小型ポンプRDシリーズ(ダイレクトポンプ)を納品してきた。しかし、新たな顧客要求は、現状製品を上回るポンプ性能であった。電源はDC24ボルトのまま変更なく、コスト低減、小型化、低騒音化、発熱に耐えること。そして試作機の提出まで、ほぼ1か月。この課題がクリアできなければA社新製品は今後、競合他社製品が採用されるかもしれない。しかも、A社の冷却部分ユニットは外注化される恐れがあり、外注化されたユニットが市場に出回れば、その他のメーカーも追随してイワキ製品を採用しなくなる可能性まで出てきたのだ。

3人の精鋭に託された課題の抽出

開発に成功したとしても、受注が継続できるかの保証はない。しかし、大きな売り上げとなる製品の受注ストップは、どうしても回避しなければならない。そこで、本件の開発プロジェクトのため、3名の技術者に白羽の矢が当たる。開発担当リーダーには小型ポンプの開発に実績のある針谷、小型渦巻きポンプに高い技術力を持つ小久保、そして、NRDシリーズの開発に携わり結果を出してきた根本である。現状製品より大きな能力を実現するには、モーターの能力を上げなければならない。ではモーターのパワーアップのために必要な課題は何か? 3人が中心となり、まずクリアしなければならない課題を事前に抽出していった。

いくつもの課題を技術力で並行解決

最初の課題は巻線の問題だった。性能アップのための巻き線を根本が自ら作り出す。将来の受注に向けて巻線を巻くための技術開発を、取引先に指導する役割も担った。次にイワキの電気制御の特化部署エレクトロニクス部(現研究開発部の一部門)で過電流に対する試験を行い、ある程度の結論が出たところで取引先に結果を持ち込み、最終的に取引先の保証を得る対応を取った。これらの他にも、回転数の増大による摺動部の摩耗対策、部品の調達や改造等、多くの課題を同時並行して解決していかなければならなかった。そして1か月後、こうした壁を乗り越えて試作機が開発されたのである。

期待を信頼に変えたALLイワキの力

後日、採否の結論の言い渡しを聞きに針谷と小久保はA社を訪れた。イワキのポンプは引き続きの採用が決定したのだ。試作機がA社の要求に応えられたのはもちろんだが、以前からA社内で課題であった低騒音化に対する解決策を小久保が正確に指摘し、解決したことによる、イワキ技術に対する信頼も今回の決定を後押ししていたらしい。根本の地道な実験の積み重ね、小久保の適切で正確な技術対応、そして針谷の全体コーディネート能力。今回の開発は、まさにそれら三位一体となった成果であるが、加えてイワキ全社を挙げての支援、とりわけ製品立ち上げ時の三春工場の製造、購買、管理の各部門の協力がなければ、開発も製品化も到底達成できなかったであろう。まさにALLイワキの力を結集したプロジェクトだったのである。

左から小久保淳一主管、根本雅史さん、針谷哲也課長