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対象別特集 キャリタス 薬学生

Special Contents 2 インタビュー vol.2 変革の時期を迎えた調剤薬局。薬剤師には地域医療の担い手としての覚悟と責任感が求められている。

前川 征人 氏

  • 株式会社アインファーマシーズ
  • 関東第一支店
  • 支店長

薬学生の就職先として高い人気を誇る調剤薬局。しかし、処方箋に基づいて薬を調剤し、患者さんに渡す仕事に終始していた時代は終わりを告げようとしています。社会環境の変化とともに、求められる機能もその役割も、大きく変わりつつあります。その中で、調剤薬局を目指す薬学生はキャリア形成をどのように考えていけばいいのでしょうか。全国に薬局を展開する株式会社アインファーマシーズの前川征人氏に業界の現状と環境の変化、薬剤師に求められることなどについて、お話を伺いました。

—最初に、調剤薬局を取り巻く現状についてお聞かせください。

現在、調剤薬局を取り巻く環境は大きく変わりつつあり、まさに変革の時期ととらえています。その背景の一つが、超高齢化社会の到来です。一般に「2025年問題」とも言われているもので、「団塊の世代」が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)に達することにより、介護・医療費など社会保障費の急増が懸念される問題です。10年後の2025年には高齢者人口は約3,500万人(人口比約30%)に達すると見られています(平成18年厚生労働省・委員会報告書)。もう一つが、社会保障費が国の財政を圧迫している点です。政府が2020年までに、プライマリーバランスの黒字化を目指していることを考えれば、介護・医療費をはじめとした社会保障費の削減は大きな政策的課題となっています。こうした超高齢化社会の到来とそれに伴う社会保障費の圧縮という社会環境の中で、調剤薬局に要請されてくることも必然的に変わりつつあります。端的に言えば、調剤薬局が従来以上の機能を発揮することが質の高い医療を実現し、さらには社会保障費の抑制にも貢献するものと考えられています。 また医療のあり方そのものも大きな変化の中にあります。従来の病院完結型医療から地域完結型医療に変化していく中にあり、薬局の役割はその重要度を一層増しつつあります。しかし、医薬分業が進み薬局の数も約5万7000件ある中で、最近の「薬歴問題(一部薬局で、薬剤服用歴を適切に管理しない状態で調剤報酬の請求を行っていた問題)」などもあり、「薬局」のあるべき姿が問われているのも事実です。薬局は、今までと同様の業務に留まるのではなく、時代環境に合わせて常に変化し、地域のため、患者さんのために何ができるのかを考え実践していくことが求められていると考えています。

—具体的には、調剤薬局に求められてくることはどのようなことなのでしょうか。

内閣府において、規制改革会議をはじめとする複数の会議の場で、今後の調剤薬局のあり方が議論されていますが、それらを集約すると、調剤薬局は患者さんの「かかりつけ薬局」になるべきということが示されています。従来、調剤薬局は病院の近隣にあるなど、その利便性が重視されてきました。いわば立地が患者さんにとって重要だった側面が少なからずありました。「かかりつけ薬局」というのは、立地ではなく調剤薬局の機能を発揮していくことで、質の高い医療を目指すものです。言い換えれば、薬中心から患者さん中心への転換といえます。服薬指導や患者さんから得た情報を活かした処方提案などを含め、患者さん情報を一元管理して薬剤師の専門性を活かすことが求められています。そうした「かかりつけ薬局」という体制が整えば、残薬や無駄な薬の重複投与の情報把握、ジェネリック医薬品の推奨などを通じ、医療費抑制にも寄与することができます。
さらに、調剤薬局に求められているのが「健康づくり支援薬局」という新しい姿です。それは、単に処方箋に基づいた調剤を行うだけでなく、地域の人々の健康づくりの相談拠点となることであり、病気の予防や健康づくりに貢献する薬局を認定する動きが始まっています。言うまでもなく、病気の予防や健康づくりは医療費抑制のための重要なポイントです。

—調剤薬局に求められるサービスやスキルは、どのように変わっていくのでしょうか。

すでに2014年から変化が始まっています。薬局薬剤師は調剤を行う前に、患者さんから残薬や併用薬、体調変化などの情報を聴取することが義務化されました。当然そこには、薬学的知見に基づく指導も含まれてきます。したがって今まで以上に、コミュニケーション能力は必須のものとなってきます。さらに、今後予想されるのは在宅医療への対応です。すでに導入されている「地域包括ケアシステム」は、在宅を基本にさまざまな専門家が連携して医療・介護を供給するシステムですが、従来と決定的に違うのは、薬剤師が薬局から外に出て、患者さんの家を訪問するということです。医師をはじめ、訪問介護士やケアマネージャーなどさまざまな職種の人と円滑に連携するには、コミュニケーション能力が不可欠であることは言うまでもありません。さらに連携を成り立たせる重要な要素が薬剤師としての専門性です。薬剤師資格というのは一つの専門性ではありますが、単なる基礎薬学的知見ではなく、より高い専門的なスキル・知識が求められてくると思います。

—ドラッグストアでも調剤薬局を併設する動きが活発ですが、そもそもドラッグストアと調剤薬局というのはどのような違いがあるのでしょうか。

基本的なことを言えば、出どころが異なるわけです。ドラッグストアはご承知のように医療に特化しているわけではなく、化粧品、食料品など生活全般に関わる商品を提供しています。小売業として地域の方にご利用されているという部分で、調剤薬局よりも一日の長があると思います。一方、調剤薬局は薬学の専門性を活かし、医療機関と連携して医療に従事する業態です。医療の専門性という観点から言えば、その蓄積された知見や歴史において、ドラッグストアよりも一歩先を行っていると思います。しかし、「地域包括ケアシステム」の導入に見られるように、両者とも、在宅も含めた地域医療の拠点として、地域の医療の質の向上を目指していくという意味で、同じ方向性を持っていると言えると思います。したがって、調剤薬局の薬剤師でもドラッグストアの薬剤師でも、今後要請されてくる役割・スキルに大きな相違はないと考えています。

—では、どういったことが、これからの薬学生に求められてくるのでしょうか。薬学生の将来のキャリア形成のための提案をお願いします。

社会環境の変化とともに医療の現場が大きく変わっていく中、時代や社会のニーズに応え、薬剤師として必要な責務をまっとうするには、生涯にわたって自己研鑽に努めなければなりません。その指針の一つとして業界団体や学会が認定する「認定薬剤師制度」があります。実務経験に基づいた一定水準以上の知識・経験を兼ね備え、研修や学術活動の実績を評価し認定するもので、「認定薬剤師」であることは現場力、臨床力を備えた高い専門性の証しの一つとも言えます。これからの薬剤師は、専門性を高めていくことが今まで以上に重要なことと考えています。さらに一定分野に特化した専門性も求められてくるでしょう。がん専門薬剤師や緩和薬物療法専門薬剤師、あるいはプライマリーケアやOTCなど、これからの薬剤師は自分の得意とする分野を持つことも必要だと思います。

—最後に率直にお伺いします。どのような人材、薬剤師を求めていますか。

これからの時代、調剤薬局は地域医療のインフラになっていくと思います。したがって、医療人として地域の医療を支えていく覚悟と責任感を持った人に期待しています。私は、薬剤師は「町の化学者」と考えています。専門性に裏付けられたスキルを有し、気軽に地域の人の健康などの相談に乗ってあげることができる化学者です。私自身薬剤師ですが、地域の人に頼られ、その期待に応えることに薬剤師として大きなやりがいを感じてきました。薬学生の方々にもそのやりがいを実感してもらいたいと思っています。私は薬学生の方々に会う機会が少なくないのですが、率直な印象として、皆さんしっかり熱心に勉強していると思います。薬学のみならず医療を取り巻く社会の動きに対しても関心が高く、どんな時代になっても、必要とされる薬剤師でありたいという高い理想を持っている方が多いと感じています。その理想を、ぜひ持続していってほしいと願っています。

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