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Special Contents 2 インタビュー vol.1 指示を待っているだけの薬剤師に未来はない。どのような薬剤師になりたいのか、自らのキャリアビジョンを真剣に考えてほしい

高田 智生 氏

  • ウエルシアHDグループ ウエルシア薬局株式会社
  • 執行役員
  • 人事総務本部 薬剤師・登録販売者採用教育部長
  • 明治薬科大学寄付講座客員教授
  • 帝京大学薬学部非常勤講師
  • 城西国際大学薬学部非常勤講師

現在、薬学生の多くが志望する薬剤師は、売り手市場と言われています。薬剤師資格を取得すれば、将来の安定が約束されるという声もあります。しかし、社会や時代の変化とともに、薬剤師に求められる役割もその資質も大きな変化の時期を迎えています。薬剤師を目指す薬学生は、何を考え、何を意識する必要があるのか。大手ドラッグストアチェーンを展開するウエルシアHDグループの執行役員であり、薬科大学の非常勤講師も務める高田智生氏に、薬剤師をめぐる現状と環境の変化、そしてこれからの薬剤師に求められることなどについて、お話しを伺いました。

—最初に、ドラッグストア市場の現状、将来的な展望についてお聞かせください。

ドラッグストア市場は右肩上がりであり、今後さらに伸びることが予測されます。その背景の一つに、院外処方箋を受け付ける保険薬局を併設するドラッグストアが増えていることが挙げられます。これまでドラッグストアは合併などによって規模の拡大を図ってきました。しかし厳しい価格競争にさらされたため、売上げや利益が低迷、その状況から脱却する打開策として保険薬局を併設するところが増加し、それが市場の追い風になっています。さらに一般薬、大衆薬と呼ばれるOTCや、薬事法の改正で機能性を訴求できる健康食品の取り扱いなど、健康は自分でケアするセルフメディケーションの時代において、ドラッグストアの存在は重要であり、その役割も拡大していくものと思われます。したがって、ドラッグストア市場は、人口減少化社会の中で淘汰は進むものの、市場としては伸長していくものと思われます。

—保険薬局を併設するドラッグストアが増加していることは、薬剤師の需要も拡大しているのでしょうか。厚労省の調査では供給過剰という指摘もあります。

現実的には、まだまだ薬剤師不足が続いている状況です。圧倒的な売り手市場と言ってもいいでしょう。そういった環境にあるから、薬剤師資格を取得すれば安泰と思ってしまう人が少なくありません。従来から薬剤師というのは、資格を武器に薬業界を転々と変える傾向がありました。資格があればどこでも働くことができる職業とされてきたからです。指示を受けて調剤を中心とした仕事をこなしていればよかったわけですし、それが薬剤師の役割とされてきました。そういった歴史が長く続いたため、資格取得=安泰という図式が成立し、今に至っています。現在は「引く手あまた」の状況かもしれません。しかし本当に近い将来、資格を持っていれば安泰なのではなく、医療人という強い認識や志が、より求められる時代になると思われます。

—具体的には、薬剤師に求められる役割はどのように変わってきているのでしょうか。

厚労省は「薬局の求められる機能とあるべき姿」(※近年の社会情勢の変化を踏まえた、望ましい形のかかりつけ薬局を推進するため、2014年厚生労働科学研究事業により取りまとめられた)の指針を打ち出しましたが、その中に明確に「セルフメディケーションの推進」を担うのが薬剤師の役割の一つとうたっています。セルフメディケーションは自分自身で健康を管理し、疾病を治療するセルフケアですが、その推進の背景には国家財政を圧迫する医療費の増加があります。医療費を抑制するため、重篤な病でなければ、過剰に病院(医師)にかからずに自分で疾病を治癒するセルフメディケーションが推奨されているわけです。そこで重要な役割を果たすのが薬剤師です。
薬剤師は処方箋に基づいた調剤(医療用医薬品)によって最適な治療を提供する役割がある一方で、適切なOTC(一般用医薬品)を提供する役割も担っています。医療用医薬品は急性疾患などの場合、その症状を和らげる対症療法的なものと言えます。それに対してOTCは対症療法と共に食事を含めた生活全般のアドバイスなどを通じ、健康を取り戻す根本療法と言えるものです。特に「第一類薬品」と「要指導薬品」のカテゴリーの医薬品は、薬剤師の対面による情報提供と薬学的知見に基づく指導が必要とされています。調剤に加え、OTCを通じた健康相談、情報提供、あるいはコンサルティングを通じて病気にさせない「未病予防」の実践などは、薬剤師本来の職能であり、今後、より求められてくると思われます。調剤にしがみついていれば安泰と考えている薬剤師に未来はありません。

—「在宅医療の推進」や「地域ケア包括システムの構築」など、日本の医療を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。薬剤師はそうした変化にどう向き合えばいいのでしょうか。

薬剤師は従来、医薬品の適正使用を確保し、安全性を守ることが業務の主流でした。いわば、基礎薬学的資質があれば安泰だったわけです。しかしたとえば在宅医療や在宅介護において、薬学的資質のみではそのミッションは果たせません。ドクターに同行し薬剤師としてどのようなケアができるのか、幅広い視野で対応していくことが求められます。 ドラッグストアの薬剤師の場合、その守備範囲はさらに拡大します。なぜならドラッグストアは医薬品、化粧品のみならず、食品、飲料、介護用品を含む日用雑貨まで品揃えしている生活のインフラという側面があるからです。在宅医療・在宅介護のニーズに幅広く対応できるのがドラッグストアであり、ドラッグストアの薬剤師と言えます。 またそのことは、2025年から導入される予定の「地域包括ケアシステム」(※住み慣れた地域での在宅を基本に、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に包括的な支援を行うシステム)とも密接にリンクしてきます。今後の日本の医療・介護の提供体制は、この「地域包括ケアシステム」という概念に基づき構築されると言っても過言ではありません。この地域包括ケアシステムにおいては多様な専門家や専門施設が参画しますが、地域住民のセルフメディケーションの全般に実践的に関わることができるのは、薬剤師をおいてほかにありません。これからの薬剤師には、地域医療の担い手という自覚と意識が求められています。

—これまでのお話を踏まえて、薬学生に向けて提言をお願いします。

今まで述べてきたように、これからの薬剤師は指示を待って与えられた業務をこなしているだけでは務まりません。基礎的な薬学的知識に加えて、医学的、薬物療法学的知識・技術、介護、福祉に関する知識が必要になってきます。薬剤師機能の多様化に積極的に対応する姿勢が求められてくるでしょう。 私は大学で教鞭をとる機会もあり、多くの薬学生に接してきました。その率直な感想を述べますと、一般常識に欠けている薬学生が多いと感じています。まず、新聞をはじめ、アンテナを高く張って多様な情報収集に努めてほしいと思います。ある大学で学生に尋ねた際、新聞を読んでいる学生は1割程度でした。新聞は一般常識を得るだけでなく、これから自分が進む医療分野に関する記事が必ずあります。医療費のことや保険のこと、ジェネリック医薬品や新薬のことなどさまざま。新聞のみならず、そうした情報に触れていくことで問題意識も芽生えると思います。問題意識があれば、必然的に薬剤師としてどうありたいか、どう将来のキャリアビジョンを描くか、考えるようになると思います。そこを出発点とし、医療人としてどのように社会に貢献していくかを考えること。それが、今後必要とされる薬剤師に成長していくために不可欠なことだと思います。

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